無限等比数列
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅲ (1) 極限 ア (ア)「数列の極限について理解し,数列{}の極限などを基に簡単な数列の極限を求めること。」。このノートは、数列 の極限が の値でどう分かれるかと、それを使った を含む式の極限を扱います。
0. どういうまとまりか
項が限りなく続く等比数列を無限等比数列といいます。その基本になる数列 の極限は、公比 の値によって 4 通りに分かれます。
数列の極限の計算では、 が 0 に収束することと並んで、 のとき が 0 に収束することが土台になります。
| の値 | 数列 の極限 | 収束・発散 |
|---|---|---|
| 発散(正の無限大) | ||
| 収束 | ||
| 収束 | ||
| 極限はない | 発散(振動) |
分かれ目は次の 3 つ。
- 収束する条件は 。右端の は入り、左端の は入らない
- は「負の無限大に発散」ではなく振動。符号が交互に変わるので、どちらの無限大にも向かわない
- が文字のときは、、、、 に分ける。 のときは で割って を作る
1. 数列 の極限
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(1)-ア-(ア)
の 乗が、 を大きくするとどうなるかを、 と との大小で分けて覚えます。
数列 の極限は、 の値によってどう分かれるか?(4 つの場合)
のとき正の無限大に発散、 のとき 1 に収束、 のとき 0 に収束、 のとき振動(極限はない)
は限りなく大きくなり、 は 0 に近づき、 は と振動する。
数列 が収束するための の条件は?
のときは で 1 に収束する。 のときは で振動するので入らない。
数列 が 0 に収束するための の条件は?
()
のときは収束するが、極限値は 1 で 0 ではない。
のときと のときで、数列 の振動のしかたはどう違うか?
のときは と 1 を交互にとる。 のときは符号が交互に変わりながら、絶対値が限りなく大きくなる
どちらも振動で、極限はない。 を「負の無限大に発散」としない。
のとき となることは、どう示すか?
()とおくと、二項定理から 。右辺が正の無限大に発散するので、 も正の無限大に発散する(追い出しの原理)
二項定理の展開 で、残りの項はすべて 0 以上。
のとき、 の値は?
0
で、 だから。 が発散するときは、 で割ってこの形を作る。
2. を含む式の極限
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(1)-ア-(ア)
や が混じった分数式は、 の多項式の分数式と同じ考え方で、いちばん速く大きくなる項で割ります。
のように、 乗の項を含む分数式の極限は、どう変形して求めるか?
分母の項のうち、底の絶対値がいちばん大きいものの 乗(この式なら )で、分母と分子を割る
割ると のように、底の絶対値が 1 より小さい 乗が現れ、0 に収束する。
や のように、指数が そのものでない項は、極限を求める前にどうするか?
指数を にそろえる(、)
底と係数がはっきりしてから、いちばん大きい底の 乗で割る。
が文字のとき、 を含む式の極限は、 をどう場合分けして求めるか?
、、、 の 4 つに分ける
のときは が 0 に収束する。 のときは分母と分子を で割り、 が 0 に収束することを使う。 は値を代入して調べる。
3. 無限等比数列が収束する条件
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(1)-ア-(ア)
初項 、公比 の等比数列の一般項は です(数学B)。 との違いは、初項が 0 の場合があることです。
無限等比数列 が収束するための条件は?
または
のときは、すべての項が 0 なので、 が何であっても 0 に収束する。
無限等比数列 が収束するとき、その極限値は?
または のとき 0、 のとき
のときは、すべての項が 。
初項や公比が の式で表された無限等比数列が収束するような の範囲は、どう求めるか?
「 公比 」を の不等式として解き、それに「初項 」となる を合わせる
公比の不等式は、 公比 と 公比 の連立不等式。左は等号なし、右は等号ありで解く。
練習問題
問 1 を求めよ。
3
方針 分母も分子も正の無限大に発散する不定形。分母の中で底がいちばん大きい で分母と分子を割ると、 が現れ、これは 0 に収束する。
- 指数をそろえる。
- 分母と分子を で割る。
- なので、 は 0 に収束する
- 分子は に、分母は に収束するので、極限値は
問 2 を求めよ。
(負の無限大に発散する)
方針 も も正の無限大に発散するので、 の不定形。底の大きい でくくって積の形にする。
- でくくる。
- なので、 は正の無限大に発散する
- なので は 0 に収束し、中かっこの中は に収束する
- 限りなく大きくなる正の数に、 に近い数をかけるので、負の無限大に発散する
問 3 数列 が収束するような の値の範囲を求めよ。また、そのときの極限値を求めよ。
。極限値は、 のとき 0、 のとき 1
方針 とみれば数列 なので、収束する条件は 。これを の不等式として解く。極限値は、 のときと のときで違うので、分けて答える。
- 収束する条件は、
- 各辺に 1 をたして、
- 各辺を 2 で割って、
- のときは なので、極限値は 0
- のときは なので、すべての項が 1 で、極限値は 1
ここで間違えやすい 左端の を入れない。 のとき公比は で、 と振動する。
問 4 のとき、 を求めよ。
のとき 、 のとき 0、 のとき
方針 の極限は の値で変わるので、 と 1 の大小で場合を分ける。 なら は 0 に収束するのでそのまま極限をとり、 なら で割って が 0 に収束する形に直す。
- のとき、 も も 0 に収束する。極限値は
- のとき、、 なので、どの項も 。極限値は 0
- のとき、分母と分子を で割る。
- なので、 は 0 に収束する。極限値は
ここで間違えやすい には も含まれる。 のとき そのものは振動するが、 は 0 に収束するので、手順 3・4 はそのまま通る。 だけを書いて を落とさない。
問 5 無限等比数列 が収束するような の値の範囲を求めよ。また、そのときの極限値を求めよ。
、。極限値は、 のとき 、 のとき 2、それ以外のとき 0
方針 初項 、公比 の無限等比数列。収束する条件は「初項 」または「 公比 」なので、公比の連立不等式を解き、それに初項が 0 になる を合わせる。
- 初項が 0 になるのは 。このときすべての項が 0 で、0 に収束する
- 公比の条件は 。これを 2 つの不等式に分ける
- 左の不等式 は、。 から、、
- 右の不等式 は、。 から、
- 手順 3 と手順 4 の共通範囲は、、
- これに手順 1 の を合わせて、、
- 極限値を求める。公比が 1 になるのは、手順 4 の等号が成り立つ と のとき。このとき、すべての項が初項 に等しいので、極限値はそれぞれ と 2
- それ以外の では、初項が 0 か、公比の絶対値が 1 より小さいので、極限値は 0
ここで間違えやすい 公比の条件だけで答えると が抜ける。 のとき公比は だが、初項が 0 なのですべての項が 0 になり、収束する。