接線と法線
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅲ (2) 微分法 ア (エ)「導関数を用いて,いろいろな曲線の接線の方程式を求めたり,いろいろな関数の値の増減,極大・極小,グラフの凹凸などを調べグラフの概形をかいたりすること。」。このノートは、分数関数・指数関数・対数関数のグラフや、円・楕円・媒介変数で表された曲線に引く接線と法線の方程式を扱います。
0. どういうまとまりか
接線の傾きは微分係数 です。数学Ⅱと式の形は同じで、変わるのは微分する関数の種類と、曲線の表し方です。
の形でない曲線(円・楕円・媒介変数で表された曲線)でも、接点での さえ求まれば、同じ式で接線が書けます。
| 場面 | 立てる式 |
|---|---|
| 曲線上の点 における接線 | |
| 同じ点における法線() | |
| 曲線上にない点から引いた接線 | 接点を とおき、接線が与えられた点を通る条件から を決める |
| 方程式 で表された曲線 | 両辺を で微分して を求める |
| 媒介変数 で表された曲線 | |
| 2 曲線が接する | 共有点で 座標と接線の傾きがともに一致する |
分かれ目は次の 3 つ。
- 「点 A における接線」は A が接点、「点 A から引いた接線」は A が接点とは限らない。後者は接点を文字でおく
- 法線の傾き は のときだけ。 のとき法線は
- 2 曲線が接するとは、共有点をもつだけでなく、そこで傾きも一致すること。条件は 2 本要る
1. 接線と法線の方程式
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-ア-(エ)
接点と傾きが分かれば直線は決まります。接点で接線と垂直に交わる直線が法線です。
曲線 上の点 における接線の方程式は?( は で微分可能)
点 を通り、傾きが微分係数 の直線。
曲線上の点 A における法線とは何か?
点 A を通り、A における接線と垂直に交わる直線
垂直な 2 直線の傾きの積は なので、接線の傾きが ()なら法線の傾きは 。
曲線 上の点 における法線の方程式は?( のとき)
接線の式の傾き を に取りかえた形。
のとき、曲線 上の点 における法線の方程式は?
接線が 軸に平行()なので、法線は 軸に垂直な直線になる。 の式は分母が 0 になって使えない。
2. 曲線上にない点から引いた接線
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-ア-(エ)
通る点が与えられても、その点が接点とは限りません。接点が分からないときは、接点の 座標を文字でおきます。
曲線 上にない点 から曲線に引いた接線は、どう求めるか?
接点を とおいて接線 を作り、これが を通る条件 から を求める
求めた を接線の式に戻す。 が複数あれば接線も複数ある。
「点 A における接線」と「点 A から引いた(点 A を通る)接線」の違いは?
「における」は A が接点。「から引いた」「を通る」は A が接点とは限らないので、接点を文字でおく
A が曲線上にあっても、「A を通る接線」には A 以外の点で接するものが含まれることがある。
3. いろいろな表し方の曲線の接線
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-ア-(エ)
円や楕円は の形に直さなくても、方程式のまま両辺を で微分すれば が求まります。このとき は の関数とみるので、 を で微分すると合成関数の微分で になります。
媒介変数表示とは、、 のように と をそれぞれ別の変数 の式で表し、 を動かして点 に曲線を描かせる表し方です。
方程式 で表された曲線の接線の傾きは、どう求めるか?
を の関数とみて方程式の両辺を で微分し、 について解いて、接点の座標を代入する
のように、 の式を微分したら をかける。
円 上の点 における接線の方程式は?
両辺を で微分すると で、 のとき 。 のときも、この式は接線 を正しく表す。
楕円 上の点 における接線の方程式は?
両辺を で微分すると で、 のとき 。 を に、 を に置きかえた形と覚える。
媒介変数 を用いて 、 と表された曲線の、接線の傾き は?
( のとき)
を消去しなくてよい。接点の座標も、同じ の値を 、 に入れて求める。
4. 2 曲線が接する条件と共通接線
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-ア-(エ)
2 つの曲線が 1 点を共有し、その点での接線が一致するとき、2 曲線はその点で接するといいます。共有するだけでは交わっているのと区別がつかないので、傾きの一致まで式にします。
2 曲線 、 が の点で接する条件は?
かつ
共有点であること( 座標が一致)と、そこでの接線の傾きが一致することの 2 本。未知数が 2 つ( と定数)あっても、この 2 本で決まる。
2 曲線 、 に、異なる点で接する共通接線は、どう求めるか?
それぞれの接点の 座標を 、 とおいて接線を 2 本書き、傾きどうし・ 切片どうしが等しいとおいて 、 を求める
と が同じ直線になる条件。接点が同じとは限らないので、文字を 2 つ使う。
練習問題
問 1 曲線 上の点 における接線と法線の方程式を求めよ。
接線 、法線
方針 点 は接点なので、 での微分係数を傾きにして接線を書く。法線は同じ点を通り、傾きが接線の傾きの逆数に をかけたもの。
- 微分する。
- での接線の傾きは
- 接線は
- 右辺を展開すると なので、
- 法線の傾きは、 の逆数に をかけて
- 法線は
- 右辺を展開すると なので、
問 2 原点から曲線 に引いた接線の方程式と、接点の座標を求めよ。
接線 、接点
方針 原点は曲線 上にない( のとき )ので、接点ではない。接点を とおいて接線を作り、それが原点を通る条件から を決める。
- 微分する。
- 接点を とすると、接線の傾きは
- 接線は
- これが原点を通るので、、 を代入して
- なので両辺を でわって、
- 接点は 、傾きは
- 接線は で、整理して
ここで間違えやすい 原点を接点とみて に を代入し、傾き 1 の直線 としない。 は原点を通るが、曲線 とは共有点をもたない。
問 3 楕円 上の点 における接線の方程式を求めよ。
()
方針 について解かず、方程式の両辺をそのまま で微分して を求める。 は の関数なので、 の微分には がかかる。
- 点 が楕円上にあることを確かめる。
- 両辺を で微分する。 は 、 は になるので、
- のとき、
- 、 を代入すると、傾きは
- 接線は
- 右辺を展開すると なので、
楕円の接線の公式 に 、、、 を入れると で、両辺を 4 倍して 。同じ直線になる。
問 4 媒介変数 を用いて 、 と表された曲線の、 に対応する点における接線の方程式を求めよ。
方針 を消去せず、 で傾きを求める。接点の座標も を代入して求める。
- で微分する。、
- のとき、
- のとき 、 なので、傾きは
- 接点の座標は、、
- 接線は
- 右辺は なので、
ここで間違えやすい 接点の 座標を としない。 は媒介変数 の値で、 座標は に代入した 。
問 5 2 曲線 、 が接するとき、定数 の値と接点の座標を求めよ。
、接点
方針 接点の 座標を とおく。2 曲線が接する条件は、 で 座標が一致し、接線の傾きも一致すること。この 2 本の式から と を求める。
- 、 とすると、、
- 接点の 座標を とする。真数は正なので
- 座標が一致するから、
- 傾きが一致するから、
- 手順 4 の両辺に をかけると、
- これを手順 3 に代入して、
- よって
- に を代入して なので、
- 接点の 座標は なので、接点は
ここで間違えやすい が「ただ 1 つの解をもつ」条件として解こうとしない。二次方程式でないので判別式は使えない。接する条件は、値の一致と傾きの一致の 2 本で書く。
問 6 2 曲線 、 の両方に接する直線の方程式を求めよ。
方針 共通接線が 2 曲線に接する点は別々なので、接点の 座標を 、 と 2 つの文字でおく。それぞれの接線を の形に直し、傾きと 切片が一致する条件から 、 を求める。
- の導関数は 。点 における接線は
- 整理して、
- の導関数は 。点 ()における接線は
- 右辺は なので、整理して
- 2 本が同じ直線になるので、傾きから 、 切片から
- 傾きの式から、
- これを 切片の式に代入すると、 なので、
- 両辺に をかけて、
- で、 は実数なので
- なので、
- に を代入して、
確かめると、 の での接線は、傾きが 、 切片が で、同じ直線になる。