対数関数と指数関数の導関数
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅲ (2) 微分法 ア (ウ)「三角関数,指数関数及び対数関数の導関数について理解し,それらを求めること。」。このノートは、そのうち対数関数と指数関数の導関数を、新しい定数 の定義から組み立て、対数微分法までを扱います。
0. どういうまとまりか
対数関数 を定義に従って微分しようとすると、 の での極限が出てきます。この極限値を と書き、
を底とする対数(自然対数)を使うと、導関数がいちばん簡単な形になります。数学Ⅲでは、底を省いた は自然対数を表します。
指数関数は対数関数の逆関数なので、指数関数の導関数は対数関数の導関数から出てきます。
| 関数 | 導関数 | 条件 |
|---|---|---|
| 、、 | ||
| 、 | ||
| は実数、 |
分かれ目は次の 3 つ。
- 底が でないときは がつく。対数関数では分母に、指数関数ではかけ算で
- (指数が定数)と (底が定数)は別の公式。底にも指数にも がある は、どちらの公式も使えないので対数微分法
- 対数をとるときは、真数が正でなければならない。負の値もとる式は絶対値をつけてから対数をとる
1. と自然対数
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-ア-(ウ)
と変形できます。 とおくと、 のとき で、中身は です。
この極限値が で、底 を にすれば となって、導関数が だけになります。
定数 の定義(極限の式)は?
とおけば とも書ける。値は で、無理数。
自然対数とは何か?
を底とする対数
数学Ⅲでは底の を省いて と書く。、。
2. 対数関数の導関数
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-ア-(ウ)
底が でないときは、底の変換公式 で自然対数に直します。 は、 のとき で、
合成関数の微分から となるので、 の正負によらず同じ式になります。
は?
()
は自然対数。真数は正なので、定義域は 。
は?
()
絶対値がついても導関数の形は変わらない( ではない)。 のときは 。
は?(、)
と自然対数に直して微分する。分母に がつく。
は?()
合成関数の微分。 に内側の導関数 をかける。。
3. 指数関数の導関数
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-ア-(ウ)
は と同じことです。逆関数の微分法から の逆数をとって となります。
底が のときは と書き直して、合成関数の微分を使います。
は?
微分しても変わらない。 の形をまねて としない。
は?(、)
とみて合成関数の微分を使う。 がかけ算でつく。 なら で にもどる。
は?
外側の は微分しても のまま。それに内側の導関数をかける。、。
4. 対数微分法
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-ア-(ウ)
積・商・累乗がからんだ式や、 のように底にも指数にも がある式は、両辺の対数をとると和・差・定数倍に分かれて、微分しやすくなります。
は の関数なので、 を で微分すると になります。
対数微分法の手順は?
両辺の絶対値の自然対数をとり、両辺を で微分して の形にし、両辺に をかけて を求める
左辺は 。 が分かっているときは絶対値は要らない。
が実数のとき、 は?()
の両辺の対数をとると 。微分して なので、。指数が無理数でも同じ形の公式になる。
5. にからむ極限
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-ア-(ウ)
次の 2 つの極限は、 の定義から出ます。 の における微分係数、 の における微分係数とみても、同じ値になります。
の値は?
1
で、中身が に近づくので 。
の値は?
1
とすると の形で、 に等しい。
練習問題
問 1 関数 を微分せよ。
方針 とおくと の合成関数。 を使う。 は常に正なので、すべての実数 で定義される。
- 内側を微分する。
- 公式に入れる。
問 2 関数 を微分せよ。
方針 と の積なので、積の導関数を使う。 は内側が の合成関数なので、微分するとマイナスがつく。
- を微分する。
- 積の導関数に入れる。
- でくくる。
- 因数分解して、
問 3 関数 を微分せよ。
方針 で とする。 を通分すると分子に と同じ式が現れて、約分できる。 なので真数は常に正。
- を微分する。 から、
- 真数を微分する。
- 通分する。
- 公式に入れる。
- を約分して、
問 4 関数 ()を微分せよ。
方針 底にも指数にも があるので、 も も使えない。両辺の自然対数をとって指数を前に下ろしてから微分する(対数微分法)。 なので で、絶対値は要らない。
- 両辺の自然対数をとる。
- 左辺を で微分する。 は の関数なので、
- 右辺を積の導関数で微分する。
- よって
- 両辺に をかけて、
ここで間違えやすい としたり、 としたりしない。前者は指数を定数とみた誤り、後者は底を定数とみた誤りで、正しい答えはこの 2 つの和になっている。
問 5 関数 を、対数微分法で微分せよ。
方針 累乗の商なので、対数をとると「3 倍の対数」と「2 倍の対数」の差に分かれる。 も も負になりうるので、両辺の絶対値の対数をとる。
- 両辺の絶対値の自然対数をとる。
- 両辺を で微分する。
- 右辺を通分する。分子は なので、
- 両辺に をかける。
- を 1 つ約分して、
ここで間違えやすい 手順 1 で絶対値をつけずに と書くと、 では真数が負になって式が意味をもたない。
問 6 次の極限値を求めよ。 (1) (2)
(1) (2) 3
方針 (1) は の定義 の形を作る。かっこの中の を とおき、指数も で表す。(2) は の形を作る。指数の と分母をそろえる。
- (1) とおくと、 のとき で、
- 指数を分ける。
- 中かっこの中が に近づくので、極限値は
- (2) とおくと、 のとき で、
- 置きかえる。
- が 1 に近づくので、極限値は 3