みならいノート

数学Ⅲ 2027年度版

定積分と不等式

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このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

学習指導要領 数学Ⅲ (3) 積分法 ア (ア)「不定積分及び定積分の基本的な性質についての理解を深め,それらを用いて不定積分や定積分を求めること。」。このノートは、関数の大小が定積分の大小に移るという性質と、それを使って定積分や和の値を不等式ではさむことを扱います。

0. どういうまとまりか

区間 で なら、 のグラフは のグラフより上にあるので、定積分も のほうが大きくなります。
この性質を使うと、不定積分が求められない関数でも、定積分の値を上下からはさむことができます。
また、 のような減少関数では、幅 1 の長方形の面積と曲線の下の面積を比べることで、和 を定積分ではさめます。

使う性質 式(、関数は連続)
関数の大小と定積分の大小 なら
定数ではさむ なら
減少関数と長方形
絶対値

分かれ目は次の 3 つ。

1. 関数の大小と定積分の大小

根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(3)-ア-(ア)

、 は区間 で連続な関数とし、 とします。

区間 で常に のとき、 と の大小は?()

の定積分が 0 以上になることから出る。関数の不等式を、そのまま から まで積分してよい。

区間 で のとき、 の等号が成り立つのはどんなときか?(、 は連続、)

区間で常に のときだけ

区間のどこか 1 点でも なら、 と等号が外れる。端の 1 点だけで等しくても、定積分は等しくならない。

区間 で のとき、 の符号は?()

等号は、常に のときだけ。 で、0 でないところが少しでもあれば、定積分は正。

から が言えるための、上端と下端の条件は?

(下端のほうが小さい)

のときは、上端と下端を入れかえると符号が変わるので、不等号の向きが逆になる。

2. 定積分の値をはさむ

根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(3)-ア-(ア)

のように、不定積分が高校で学ぶ関数では表せないものがあります。そのときは、積分できる関数で被積分関数をはさみます。

区間 で (、 は定数)のとき、 はどうはさめるか?()

定数 を から まで積分すると 。高さ と高さ の長方形の面積ではさんでいる。

定積分 の値を、積分を計算せずに不等式で評価するには、どうするか?(手順)

区間 で となる、積分できる関数 、 を見つけ、各辺を から まで積分する

等号が区間で常には成り立たないことを言えば、 と等号を外せる。

3. 和と定積分を比べる

根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(3)-ア-(ア)

は で減少します。区間 (幅 1)の上で、曲線の下の面積は、高さ の長方形より小さく、高さ の長方形より大きくなります。
この不等式を について足し合わせると、和と定積分が比べられます。

自然数 について、 を と ではさむと?

で 。等号は端の 1 点だけなので、積分すると等号が外れる。区間の幅が 1 なので、両端はそのまま長方形の面積。

を から まで足し合わせると、どんな不等式になるか?

左辺の和は、区間がつながって になる。これを計算すると 。

を使って、 を上からおさえると?()

から まで足すと、 で、右辺は 。最初の 1 だけは別にして、あとで両辺に足す。

のとき、 は収束するか、発散するか?

正の無限大に発散する

で、 が正の無限大に発散するから。項 は 0 に収束するのに、和は発散する例。

で減少する連続関数 と自然数 について、 を と ではさむと?

区間 で 。幅が 1 なので、両端は長方形の面積。増加する関数なら不等号の向きが逆になる。

4. 絶対値と定積分

根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(3)-ア-(ア)

が正にも負にもなるとき、定積分では正の部分と負の部分が打ち消し合います。絶対値をつけてから積分すれば打ち消しが起きないので、そのほうが大きくなります。

と の大小は?()

絶対値は、積分の中に入れると大きくなる(または変わらない)。 は 0 だが、 は 2。

は、どんな不等式を積分すると出るか?

各辺を から まで積分すると、。これは絶対値の不等式と同じこと。

練習問題

問 1  のとき が成り立つことを示し、これを用いて を示せ。

各辺を 2 乗して大小を比べ、各辺を 0 から 1 まで積分する(左端は 1、右端は になる)

方針 前半は、3 つの辺がどれも正なので、2 乗して比べればよい。後半は、関数の大小が定積分の大小に移ることを使う。等号が成り立つのは のときだけなので、積分すると等号が外れる。

  1. 3 つの辺を 2 乗すると、、、
  2. 右端を展開する。
  3. で 、 なので、
  4. 3 つの辺はもとの式でどれも正だから、2 乗の大小がそのまま成り立ち、。等号はどちらも のときだけ
  5. 各辺を 0 から 1 まで積分する。等号は常には成り立たないので、
  6. 左端は 1
  7. 右端は で、
  8. よって

問 2  のとき が成り立つことを用いて、 を示せ。

各辺を 0 から 1 まで積分すると、左から順に 、、1 になる

方針 真ん中の を 0 から 1 まで積分すると になる。両側の関数も積分できるので、各辺を積分すれば示したい不等式が出る。等号が常には成り立たないことを言って、等号を外す。

  1. 与えられた不等式を確かめる。 では なので、。逆数をとると大小が入れかわり、
  2. 左の等号は 、 のときだけ、右の等号は のときだけで、常には成り立たない
  3. 各辺を 0 から 1 まで積分する。
  4. 左端は で、
  5. 真ん中は とおく。、 で、 が 0 から 1 まで動くとき は 0 から まで動く
  6. よって真ん中は で、
  7. 右端は 1
  8. よって

問 3 すべての実数 について (等号は のときだけ)が成り立つ。これを用いて、 を示せ。

を作り、各辺を 0 から 1 まで積分する

方針  は不定積分が求められないので、積分できる関数ではさむ。与えられた不等式の に を入れると下からの評価が、 を入れて逆数をとると上からの評価が出る。

  1. とすると、
  2. とすると、。両辺とも正なので逆数をとると大小が入れかわり、
  3. 合わせて 。等号はどちらも のときだけ
  4. 各辺を 0 から 1 まで積分する。等号は常には成り立たないので、
  5. 左端は で、
  6. 右端は とおくと になり、
  7. よって

問 4 ( は自然数)とする。 を求めよ。

0

方針  を の式で表すのは難しいので、はさみうちの原理を使う。 では が 1 以上 以下なので、 を の定数倍ではさめる。 なら積分できる。

  1. のとき、 は増加関数なので
  2. 各辺に (0 以上)をかける。
  3. 各辺を 0 から 1 まで積分する。
  4. で、
  5. よって
  6. のとき、 も も 0 に収束する。はさみうちの原理により、

問 5 自然数 について が成り立つことを示し、これを用いて の整数部分を求めよ。

18

方針  は減少関数なので、幅 1 の区間で長方形の面積と比べられる。右側の不等式を から 100 まで足すと を下からおさえる式が、左側の不等式を から 99 まで足すと を上からおさえる式が出る。

  1. のとき、 なので、逆数をとって
  2. 等号は端の 1 点だけなので、各辺を から まで積分すると、(区間の幅が 1 なので、両端は定数のまま)
  3. 下からおさえる。右側の不等式を から 100 まで足すと、
  4. の不定積分は なので、 で、
  5. なので、。よって
  6. 上からおさえる。左側の不等式を から 99 まで足すと、
  7. 左辺は 。右辺は で、 が 10 なので
  8. よって 、すなわち
  9. なので、整数部分は 18

ここで間違えやすい 上からおさえるとき、左側の不等式を から足そうとしてしまう。 は で定義されないので、 から始めて、最初の項 1 は別に足す。

問 6  を 2 以上の自然数とするとき、 を示せ。

絶対値を積分の中に入れ、 を使って (値は )でおさえる

方針  は不定積分が求められない。絶対値を積分の中に入れる不等式を使えば、 で分子を 1 におきかえられ、積分できる が残る。

  1. 絶対値を中に入れる。
  2. で なので、
  3. 各辺を 1 から まで積分する。
  4. の不定積分は なので、
  5. 上端は 、下端は 。ひいて
  6. なので 。よって

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答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

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