グラフの概形
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅲ (2) 微分法 ア (エ)「導関数を用いて,いろいろな曲線の接線の方程式を求めたり,いろいろな関数の値の増減,極大・極小,グラフの凹凸などを調べグラフの概形をかいたりすること。」。このノートは、増減・凹凸・漸近線を 1 枚の表にまとめて、分数関数や指数関数・対数関数のグラフをかく手順を扱います。
0. どういうまとまりか
数学Ⅱでは増減表だけでグラフをかきました。数学Ⅲで扱う関数は、定義されない点があったり、遠くで直線に近づいたりするので、増減に加えて凹凸と漸近線まで調べてからかきます。
調べる項目は決まっているので、上から順に埋めていけばグラフの形が決まります。
| 調べる項目 | 何で調べるか |
|---|---|
| 定義域 | 分母が 0 にならない、根号の中が 0 以上、 の真数が正 |
| 対称性と周期 | を と比べる。三角関数は周期 |
| 増減と極値 | の符号 |
| 凹凸と変曲点 | の符号 |
| 漸近線 | 定義域の端と での極限 |
| 座標軸との共有点 | の解と |
分かれ目は次の 3 つ。
- 漸近線は増減表には出てこない。定義域の端と の極限を、別に調べる
- と は別々に調べる。 は の側だけ 軸に近づく
- 定義されない点は表に列を作って区切る。 の をまたいで増減や凹凸をつなげない
1. 調べる項目と対称性
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-ア-(エ)
グラフをかく前に、調べる項目を決めておきます。対称性や周期があれば、調べる範囲が半分や 1 周期分で済みます。
グラフの概形をかくときに調べる項目を 6 つ挙げると?
定義域、対称性と周期、増減と極値、凹凸と変曲点、漸近線、座標軸との共有点
増減は の符号、凹凸は の符号、漸近線は極限で調べる。
偶関数、奇関数のグラフは、それぞれ何について対称か?
偶関数()のグラフは 軸について対称、奇関数()のグラフは原点について対称
対称なら の範囲だけ調べて、残りは折り返す(偶関数)か、原点のまわりに半回転させる(奇関数)。
増減と凹凸を 1 つの表にまとめるとき、表の の行に区切りとして並べる値は?
となる 、 となる 、定義されない
行は 、、、。 には増減(↗・↘)と凹凸(上に凸・下に凸)の両方を書くので、このノートでは「増減」の行と「凹凸」の行に分けて書く。
2. 漸近線の求め方
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-ア-(エ)
曲線が遠くで限りなく近づいていく直線が漸近線です。 軸に垂直なもの、 軸に平行なもの、斜めのものの 3 種類があり、どれも極限で求めます。
曲線の漸近線とは何か?
曲線上の点が原点から限りなく遠ざかるとき、曲線が限りなく近づいていく直線
曲線は漸近線に近づくだけで、漸近線と交わることもある( は漸近線の 軸と原点で交わる)。
直線 が曲線 の漸近線になるのは、どんなときか?
、 の少なくとも一方が または になるとき
分数関数なら分母が 0 になる 、 を含む関数なら真数が 0 に近づく が候補になる。
直線 が曲線 の漸近線になるのは、どんなときか?
または となるとき
片方の側だけで成り立つこともあるので、 と を別々に調べる。
軸に垂直でない漸近線 の 、 は、どんな極限で求めるか?( の側)
、
2 つの極限がともに有限の値になるとき、直線 が漸近線。 の側も同じ式で別に調べる。 のときが 軸に平行な漸近線。
分数関数 の漸近線は?
直線 と直線
分子を分母で割ると 。 で なので に近づき、 で発散するので も漸近線。
3. グラフをかくために知っておく極限
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-ア-(エ)
指数関数・対数関数と の積や商は、 での極限がすぐには分かりません。次の 2 つは、入試では問題文で与えられるのが普通ですが、知っておくとグラフがかけます。
の値は?
0
は よりずっと速く大きくなる。入試では問題文で与えられるのが普通で、知っておくとグラフがかける。 の漸近線はこれで決まる。
の値は?
0
は よりずっとゆっくり大きくなる。入試では問題文で与えられるのが普通で、知っておくとグラフがかける。 の漸近線はこれで決まる。
4. 代表的な曲線
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-ア-(エ)
よく出る曲線は、漸近線と対称性を先に覚えておくと、増減表を作ったあとの確かめになります。
曲線 の漸近線は?
直線 ( 軸)と直線
で 、 で 。また ()。奇関数なので、グラフは原点について対称。
曲線 の漸近線は?
直線 ( 軸)。ただし近づくのは の側だけ
。 では となり、漸近線は無い。
曲線 は何について対称で、漸近線は何か?
軸について対称(偶関数)で、漸近線は直線 ( 軸)
で最大値 1 をとり、 で 。常に なので、 軸とは交わらない。
練習問題
問 1 曲線 の漸近線の方程式を求めよ。
直線 と直線
方針 分数関数の漸近線は、分子を分母で割って「整式+分子の次数が低い分数」の形にすると読める。分数の部分は で 0 に近づくので整式の部分が斜めの漸近線になり、分母が 0 になる が 軸に垂直な漸近線になる。
- 分子を で割る。
- よって
- のとき なので、。直線 は漸近線
- のとき 、 のとき なので、直線 は漸近線
ここで間違えやすい 割り算をせずに「分母が 0 になる だけ」と答えない。分子の次数が分母より 1 だけ高い分数関数には、斜めの漸近線がある。
問 2 関数 の増減、極値、グラフの凹凸、漸近線を調べよ。
で極大値 、 で極小値 2。 で上に凸、 で下に凸(変曲点は無い)。漸近線は直線 と直線
方針 定義域は 。 の符号で増減を、 の符号で凹凸を調べて 1 つの表にまとめる。漸近線は、定義域の切れ目 と での極限から求める。
- 微分する。
- となるのは、
- もう 1 回微分する。
- は で負、 で正。 となる は無い
- 極値を求める。 のとき 、 のとき
- 表にまとめる( では定義されない)
| 0 | 1 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 0 | なし | 0 | |||||
| なし | |||||||
| の増減 | ↗ | ↘ | なし | ↘ | 2 | ↗ | |
| の凹凸 | 上に凸 | 上に凸 | 上に凸 | なし | 下に凸 | 下に凸 | 下に凸 |
- のとき 、 のとき なので、直線 は漸近線
- のとき なので、直線 は漸近線
- なので奇関数で、グラフは原点について対称。 軸、 軸とは共有点をもたない
ここで間違えやすい 極大値 が極小値 2 より小さいが、誤りではない。 でグラフが切れているので、極値は左右の枝で別々に比べたものになる。また の前後で凹凸が変わるが、 は定義域に無いので変曲点ではない。
問 3 関数 の増減、極値、グラフの凹凸、変曲点、漸近線を調べよ。ただし、 を用いてよい。
で極大値 (極小値は無い)。 で上に凸、 で下に凸で、変曲点は 。漸近線は直線 ( 軸)
方針 定義域は実数全体。積の導関数で 、 を求め、 なので残りの因数の符号だけを見て表を作る。漸近線は と を別々に調べる。
- 微分する。
- もう 1 回微分する。
- なので、 の符号は の符号、 の符号は の符号と同じ
- となるのは 、 となるのは
- のとき 、 のとき
- 表にまとめる
| 1 | 2 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 0 | |||||
| 0 | |||||
| の増減 | ↗ | ↘ | ↘ | ||
| の凹凸 | 上に凸 | 上に凸 | 上に凸 | 変曲点 | 下に凸 |
- のとき なので、直線 は漸近線
- のとき、 かつ なので 。こちらの側に漸近線は無い
- となるのは だけなので、グラフは原点を通る
ここで間違えやすい 「 軸が漸近線だから でも 軸に近づく」としない。左の側ではグラフは限りなく下がっていく。
問 4 関数 の増減、極値、グラフの凹凸、変曲点、漸近線を調べよ。ただし、 を用いてよい。
で極大値 (極小値は無い)。 で上に凸、 で下に凸で、変曲点は 。漸近線は直線 ( 軸)と直線 ( 軸)
方針 真数は正なので、定義域は 。商の導関数で 、 を求め、分母は正なので分子の符号だけを見て表を作る。漸近線は、定義域の端 と の極限から求める。
- 微分する。
- もう 1 回微分する。分子は
- よって
- となるのは から
- となるのは から
- のとき 、 のとき
- 表にまとめる(定義域は )
| 0 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| なし | 0 | |||||
| なし | 0 | |||||
| の増減 | なし | ↗ | ↘ | ↘ | ||
| の凹凸 | なし | 上に凸 | 上に凸 | 上に凸 | 変曲点 | 下に凸 |
- のとき、、 なので、積 。直線 は漸近線
- のとき なので、直線 は漸近線
- となるのは から 。グラフは点 で 軸と交わる
ここで間違えやすい の極限を、与えられた極限と同じとみて 0 としない。こちらは「負の無限大 × 正の無限大」で と決まる形で、与えられた極限を使うのは の側だけ。
問 5 関数 の増減、極値、グラフの凹凸、変曲点、漸近線を調べよ。
で極大値 1(極小値は無い)。 と で下に凸、 で上に凸で、変曲点は と 。漸近線は直線 ( 軸)
方針 定義域は実数全体。合成関数の導関数で を、積の導関数で を求める。 なので、残りの因数の符号を見て表を作る。偶関数なので、 軸について対称になることを確かめに使う。
- 微分する。
- もう 1 回微分する。
- 因数分解する。
- となるのは 。 の符号は の符号と同じで、 で正、 で負
- となるのは から 。 の符号は の符号と同じで、 で負、その外側で正
- のとき 、 のとき なので
- 表にまとめる
| 0 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 0 | |||||||
| 0 | 0 | ||||||
| の増減 | ↗ | ↗ | 1 | ↘ | ↘ | ||
| の凹凸 | 下に凸 | 変曲点 | 上に凸 | 上に凸 | 上に凸 | 変曲点 | 下に凸 |
- のとき なので 。直線 は漸近線
- なので偶関数で、グラフは 軸について対称。常に なので 軸とは交わらず、 軸とは点 で交わる