いろいろな関数の不定積分
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅲ (3) 積分法 ア (ア)「不定積分及び定積分の基本的な性質についての理解を深め,それらを用いて不定積分や定積分を求めること。」。このノートは、分数関数と三角関数を、基本公式が使える形に変形してから積分する方法を扱います。終わりの節では、ア (イ) の置換積分法を三角関数の奇数乗に使います。
0. どういうまとまりか
分数関数や三角関数の累乗・積は、そのままでは基本公式にあてはまりません。積分する前に式を変形して、和・差の形に直すのがこのノートの中身です。
新しい積分の公式は出てきません。使うのは、割り算・部分分数・半角の公式・積を和に直す公式という、式変形の道具です。
ここで身につける変形は、次のフォルダで扱う定積分でも、不定積分のときと同じ形でそのまま使います。
| 式の形 | 使う方法 | 例 |
|---|---|---|
| 分数関数で、分子の次数が分母の次数以上 | 割り算をして、分子の次数を下げる | |
| 分数関数で、分子が分母の微分の定数倍 | ||
| 分数関数で、分母が因数分解できる | 部分分数に分ける | |
| 、(偶数乗) | 半角の公式で次数を下げる | |
| など、角の違う積 | 積を和に直す公式 | |
| 、(奇数乗) | 1 つだけ残して置換する |
分かれ目は次の 3 つ。
- 分数関数は、まず分子と分母の次数を比べる。分子の次数が分母以上のまま部分分数に分けようとしない
- 部分分数に分ける前に、分子が分母の微分になっていないかを見る。なっていれば 1 行で終わる
- 三角関数の累乗は、偶数乗なら半角の公式、奇数乗なら 1 つ残して置換。 を としない
1. 分数関数: 分子の次数を下げる
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(3)-ア-(ア)
分子の次数が分母の次数以上の分数関数は、分子を分母で割って「多項式 + 分子の次数が分母より低い分数」に直します。多項式の部分はそのまま積分できます。
分数関数の不定積分で、分子の次数が分母の次数以上のとき、最初に何をするか?
分子を分母で割り、「多項式 + 分子の次数が分母より低い分数」の形に直す
商が多項式の部分、余りが新しい分子になる。仮分数を帯分数に直すのと同じ。
を、積分できる形に直すと?
から。。
は、部分分数に分けなくても求められる。何に気づけばよいか? また、結果は?
分子 が分母 の微分になっていること。
の形。 は負にもなるので、絶対値は外せない。
2. 分数関数: 部分分数に分ける
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(3)-ア-(ア)
分母が 1 次式の積に因数分解できるときは、分母が 1 次式の分数の和・差に分けます。これを部分分数に分けるといいます。分けたあとは が使えます。
を部分分数に分けると?
通分すると分子が になり、もとに戻る。
を部分分数に分けると?
。 を通分すると分子が になるので、 をかけて合わせる。
を部分分数に分けるとき、係数はどうやって決めるか?
とおいて分母を払い、 が についての恒等式になるように 、 を決める
両辺の係数を比べるか、、 を代入する。
は?
部分分数に分けて 。対数の差は商の対数にまとめられる。
3. 三角関数: 次数を下げる・積を和に直す
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(3)-ア-(ア)
や は積の形なので、そのままでは積分できません。数学Ⅱの加法定理から出る公式で、1 次の三角関数の和・差に直します。
半角の公式は、2 倍角の公式 を 、 について解いたものです。積を和に直す公式は次の 3 つで、加法定理の式を足したり引いたりして作ります。
を求めるとき、 をどう書きかえるか?
(半角の公式)
。
を求めるとき、 をどう書きかえるか?
(半角の公式)
。 とは符号だけが違う。
を求めるとき、 をどう書きかえるか?
(積を和に直す公式)
で 、 とする。
4. 三角関数: 奇数乗は 1 つ残して置換する
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(3)-ア-(イ)
のような奇数乗は、 を 1 つだけ残し、残りの偶数乗を で の式に直します。すると「 のかたまりと、その微分(の符号違い)」の形になり、置換積分法が使えます。
を求めるとき、 をどう変形し、何を とおくか?
と変形し、 とおく
なので 。結果は 。
の不定積分で、 が偶数のときと奇数のときで、方法はどう分かれるか?
偶数のときは半角の公式で次数を下げる。奇数のときは を 1 つ残し、残りを で表して とおく
でも同じ。奇数のときは を 1 つ残して とおく。
【発展】(奇数乗の考え方を分数に使う)
分母に が 1 つ(奇数乗)あるので、分母と分子に をかけて、分母を にする。
とおくと なので、
部分分数に分けて なので、。
を戻す。 なので であり、
置換・部分分数・絶対値の扱いを続けて使う。教科書では発展として扱われることが多い。
練習問題
問 1 不定積分 を求めよ。
方針 分子が 2 次、分母が 1 次で、分子の次数のほうが高い。まず分子を分母で割って、多項式と「定数 ÷ 1 次式」の和に直す。
- 分子を で割る。(商が 、余りが 2)
- よって、
- 合わせて、
問 2 不定積分 を求めよ。
方針 分子の次数は分母より低く、分母は 1 次式の積になっている。分子は分母の微分 の定数倍ではないので、部分分数に分ける。
- とおく
- 両辺に をかける。
- を代入する。左辺は 4、右辺は なので、
- を代入する。左辺は 3、右辺は なので、
- よって、
- 項ごとに積分する。
問 3 不定積分 を求めよ。
方針 の 2 乗(偶数乗)なので、半角の公式で次数を下げる。角が なので、公式の にあたるところは になる。
- で とする。
- なので、
- かっこを外す。
問 4 不定積分 を求めよ。
方針 角の違う と の積なので、積を和に直す公式 で、1 次の三角関数の和にする。
- 、 とすると、、
- 、
- 合わせる。
- かっこを外す。
問 5 不定積分 を求めよ。
方針 の 3 乗(奇数乗)なので、 を 1 つ残し、残りの を に直す。すると「 のかたまりと、その微分 」の形になり、 とおける。
- とおくと、 なので、
- 置きかえる。
- 積分する。
- を戻す。
ここで間違えやすい 累乗の公式をそのまま使って としない。微分すると になり、もとに戻らない。
問 6 不定積分 を求めよ。
方針 分子が 3 次、分母が 2 次なので、まず割り算をして分子の次数を下げる。残った分数は、部分分数に分ける前に、分子が分母の微分の定数倍になっていないかを見る。
- 分子を で割る。(商が 、余りが )
- よって、
- なので、
- 合わせて、
ここで間違えやすい 絶対値を外して としない。 は で負になる。