最大・最小と方程式・不等式への応用
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅱ (5) 微分・積分の考え ア (イ)「導関数を用いて関数の値の増減や極大・極小を調べ,グラフの概形をかく方法を理解すること。」。
0. どういうまとまりか
関数の増減を調べてグラフの概形がかければ、最大値・最小値も、方程式の実数解の個数も、不等式が成り立つかどうかも、グラフを読むことに置きかわります。
| 求めるもの | グラフのどこを読むか |
|---|---|
| 区間での最大値・最小値 | 極大値・極小値と、区間の端の値を比べる |
| の実数解の個数 | と直線 の共有点の個数 |
| で | の最小値が 0 以上か |
分かれ目は次の 3 つ。
- 区間での最大・最小は、極値だけでなく端点の値とも比べる。極大値が最大値とは限らない
- 文字 を含む方程式は、 を片側に集めて(定数分離)、動くのは水平な直線 だけにする
- 文章題は、変数のとりうる範囲(定義域)を先に決める
1. 区間での最大・最小
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(5)-ア-(イ)
区間 での最大値・最小値は、増減表で候補を挙げてから比べます。候補は、区間内の極値と、両端の値です。
区間 で三次関数の最大値・最小値を求める手順は?
区間内で増減表をかき、極大値・極小値と、両端の値 、 を比べる
区間の外にある極値は候補にしない。
()の最大値と最小値は?
で最大値 18、 と で最小値
で極大値 2 をとるが、端 の値のほうが大きい。極大値が最大値とは限らない例。
区間の端が文字 を含むとき( など)、最大値・最小値はどう場合分けするか?
区間が極値をとる を含むかどうか、また端の値が極値と等しくなる を境目にして分ける
グラフをかいて、区間の右端を少しずつ動かしながら、どこで最大・最小が入れかわるかを見る。
2. 方程式の実数解の個数
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(5)-ア-(イ)
方程式の実数解は、グラフの共有点の 座標です。極大値・極小値が分かれば、共有点の個数が数えられます。
方程式 の異なる実数解の個数は、グラフで何にあたるか?
曲線 と直線 の共有点の個数
を含む方程式は、 だけを右辺に移して(定数分離)、 のグラフを 1 回かけばよい。
方程式 の異なる実数解の個数は、 によってどう変わるか?
、 のとき 1 個。 のとき 2 個。 のとき 3 個
は で極大値 2、 で極小値 。直線 が極大値と極小値の間にあると 3 点で交わる。
三次方程式 ( の係数が正)が異なる 3 つの実数解をもつ条件は?
が極値をもち、極大値 かつ 極小値
極大値と極小値が異符号、すなわち(極大値)×(極小値) と言ってもよい。
三次方程式の実数解の個数を数えるとき、グラフの極大値と極小値の一方がちょうど 0 なら、解はいくつか?
異なる実数解は 2 個(極値の点で 軸に接する重解と、もう 1 つの解)
重解も数えると 3 個だが、「異なる実数解」なら 2 個。
3. 不等式の証明
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(5)-ア-(イ)
2 つの式の大小は、差をとった 1 つの関数の最小値で判定できます。
「 のとき 」を微分で証明する方法は?
とおき、 での増減を調べて、 の最小値が 0 以上であることを示す
最小値をとる で等号が成り立つ。
のとき はどう示すか?
とおく。 から、 では で極小かつ最小。最小値が 0 なので
等号は のとき。 を代入すると 。
4. 容積の最大
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(5)-ア-(イ)
長さを とおいて体積を式にすると、三次関数になることが多くあります。長さが正であることから、先に の範囲を決めます。
1 辺 の正方形の厚紙の四隅から 1 辺 の正方形を切り取り、ふたのない箱を作る。体積と の範囲は?
体積 、範囲は
底面の 1 辺は 、高さは 。どちらも正でなければならない。
1 辺 12 cm の正方形の四隅から 1 辺 cm の正方形を切り取ってふたのない箱を作る。容積が最大になる と、その容積は?
のとき、最大値 128 cm³
、。 では で極大かつ最大。底面の 1 辺は 8 cm。
練習問題
問 1 関数 ()の最大値と最小値を求めよ。
で最大値 16、 と で最小値
方針 区間での最大値・最小値の候補は、区間の中にある極値と、両端の値。増減表で候補をすべて挙げてから、値の大きさを比べる。極大値がそのまま最大値になるとは限らない。
- 微分する。
- でくくる。
- となるのは で、どちらも区間 の中にある
- 符号を調べる。 で 、 で 、 で
- 極値を求める。 で極大値 、 で極小値
- 両端の値を求める。、
- 最大値の候補は極大値 0 と右端の値 16 で、大きいのは 16。最小値の候補は極小値 と左端の値 で、等しい
- よって で最大値 16、 と で最小値
| 0 | 2 | 4 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 0 | 0 | ||||||
| ↗ | 0 | ↘ | ↗ | 16 |
ここで間違えやすい 極大値 0 を最大値にしない。右端の値のほうが大きい。また、最小値をとる は 2 つあるので、両方書く。
問 2 とする。関数 ()の最大値と最小値を求めよ。
最大値: のとき 0(。 のときは でも)、 のとき ()
最小値: のとき ()、 のとき ()
方針 区間の右端 が動くので、先にグラフの形(増減)を決めておき、右端を右へ動かしていったときに、最大・最小をとる場所がどこで入れかわるかを見る。最小値の境目は、極小をとる が区間に入るところ。最大値の境目は、右端の値が左端の値に追いつくところ。
- 微分する。
- では なので、符号は で決まる。 で (減少)、 で (増加)
- で極小になり、極小値は
- 両端の値は、左端が 、右端が
- 最小値を考える。 のときは、区間の中でずっと減少するので、右端 で最小値 。 のときは、区間が を含むので、 で最小値
- 最大値を考える。グラフは下がってから上がるので、最大値は両端の値のうち大きいほう。右端の値が左端の値 0 と等しくなる を求めると、 から で、 なので
- のときは で なので、左端 で最大値 0。 のときは両端の値がともに 0 で、 と の両方で最大値 0
- のときは で なので、右端 で最大値
| 0 | 1 | |||
|---|---|---|---|---|
| 0 | ||||
| 0 | ↘ | ↗ |
ここで間違えやすい 最大値と最小値で、場合分けの境目が違う(最小値は 、最大値は )。最大値の境目を、極小をとる にしない。
問 3 方程式 の異なる実数解の個数を、定数 の値で分類せよ。
、 のとき 1 個。、 のとき 2 個。 のとき 3 個
方針 方程式の実数解は、グラフの共有点の 座標。 だけを右辺に移す(定数分離)と、左辺のグラフは 1 回かけば済み、動くのは水平な直線 だけになる。直線を上下に動かして、共有点の個数を数える。
- を右辺に移項する。
- とおいて微分する。
- 因数分解する。
- となるのは 。符号は、 で 、 で 、 で
- 極大値を求める。 のとき、 は 、 は 、 は なので、
- 極小値を求める。 のとき、 は 、 は 、 は なので、
- 直線 が極大値 7 より上、または極小値 より下にあるとき(、)、共有点は 1 個
- 直線が極大または極小の点をちょうど通るとき(、)、そこで接して共有点は 2 個
- 直線が極小値と極大値の間にあるとき()、共有点は 3 個
| 2 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 0 | 0 | ||||
| ↗ | 7 | ↘ | ↗ |
問 4 のとき、 が成り立つことを証明せよ。
の での最小値が 0 であることを示す(等号は )
方針 2 つの式の大小は、差をとった 1 つの関数で調べる。(左辺)(右辺)を とおき、 での の最小値が 0 以上であることを言えば、不等式が示せる。最小値は増減を調べて求める。
- 差をとる。 とおく
- 微分する。
- 因数分解する。
- では なので、符号は で決まる。 で 、 で
- 減少から増加に変わるので、 では で最小になる。最小値は
- よって のとき 、すなわち が成り立つ。等号が成り立つのは のとき
| 0 | 1 | |||
|---|---|---|---|---|
| 0 | ||||
| 2 | ↘ | 0 | ↗ |
問 5 縦 5 cm、横 8 cm の長方形の厚紙の四隅から、1 辺 cm の正方形を切り取ってふたのない箱を作る。容積が最大になる と、そのときの容積を求めよ。
のとき、最大値 18 cm³
方針 切り取る長さ を使って容積 を式にすると三次関数になるので、微分して増減を調べる。その前に、箱の辺の長さがすべて正であることから、 のとりうる範囲を決めておく。
- 箱の辺を で表す。両側から ずつ切るので、底面の縦は 、横は 、高さは 。よって
- の範囲を決める。、、 をすべて満たすのは、
- 展開する。 なので、
- 微分する。
- 因数分解する。
- となるのは 。 は より大きく、範囲の外なので、範囲内では だけ
- 範囲内では なので、符号は と逆になる。 で 、 で
- 増加から減少に変わるので、 で極大かつ最大になる
- のとき、底面は縦 3 cm、横 6 cm、高さ 1 cm で、容積は
| 0 | 1 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 0 | |||||
| ↗ | 18 | ↘ |
ここで間違えやすい の範囲は短いほうの辺(5 cm)で決まる。範囲を決めずに進めると、 を捨てる理由がなくなる。
問 6 方程式 が異なる 3 つの実数解をもつような、定数 の値の範囲を求めよ。
方針 実数解の個数は、グラフの共有点の個数で数える。 を右辺に移す(定数分離)と、曲線 と水平な直線 の共有点の話になる。3 点で交わるのは、直線が極小値と極大値の間にあるとき。
- を右辺に移項する。
- とおいて微分する。
- となるのは 。符号は、 で 、 で 、 で
- で極大値 、 で極小値
- 直線 が曲線と 3 点で交わるのは、直線が極小値と極大値の間にあるときなので、
- 各辺に をかけると不等号の向きが逆になり、。すなわち
| 0 | 2 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 0 | 0 | ||||
| ↗ | 0 | ↘ | ↗ |
ここで間違えやすい 移項したので、直線は ではなく 。 と答えない。また、極値のどちらかに一致すると共有点は 2 個になるので、等号は入らない。