不定積分と定積分
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅱ (5) 微分・積分の考え ア (ウ)「不定積分及び定積分の意味について理解し,関数の定数倍,和及び差の不定積分や定積分の値を求めること。」。
0. どういうまとまりか
積分は微分の逆です。微分すると になる関数を探すのが不定積分、その関数の 2 つの値の差をとったものが定積分です。
| 書き方 | 結果 | |
|---|---|---|
| 不定積分 | 関数(積分定数 がつく) | |
| 定積分 | 数( は差で消える) | |
| 定積分で表された関数 | 微分するともとの関数 |
分かれ目は次の 3 つ。
- 不定積分には必ず積分定数 をつける。定積分にはつけない
- のように上端・下端がともに定数の定積分は、ただの数。文字 などとおいて求める
- 上端が の定積分 は の関数。微分すると 、 を代入すると 0
1. 不定積分
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(5)-ア-(ウ)
微分して になる関数を の原始関数といいます。原始関数は定数の差だけいくつもあるので、それらをまとめて書いたものが不定積分です。
の不定積分とは? また、 は何か?
となる関数(原始関数) を使って と書いたもの。 は積分定数
不定積分を求めることを、 を積分するという。
不定積分に積分定数 がつくのはなぜか?
定数を微分すると 0 になるので、 に定数を足したものも、微分するとすべて になるから
も も、微分すると 。原始関数は 1 つに決まらない。
()は?
、、。微分してもとに戻るかで確かめる。
関数の定数倍・和・差の不定積分の性質は?(、 は定数)
多項式は項ごとに積分し、積分定数は最後に 1 つだけつける。
は?
。
、 を満たす関数 はどう求めるか?
不定積分で とし、条件 から 。
条件を 1 つ与えると、積分定数 が決まり、関数が 1 つに決まる。
2. 定積分
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(5)-ア-(ウ)
原始関数の、上端での値から下端での値を引いたものが定積分です。どの原始関数を使っても、 は引き算で消えます。
定積分 の定義は?
の原始関数の 1 つを として、
を下端、 を上端という。積分定数は差で消えるので書かない。
の値は?
。上端の値は 、下端の値は 。差をとって 。
定積分の上端・下端について成り立つ性質は?
、、
どれも の形から分かる。区間を分けたりつないだりするときに使う。
の定積分で、奇数次の項と偶数次の項はどうなるか?
奇数次の項は 0 になり、偶数次の項は になる
、。区間が原点について対称なときの計算の工夫。
3. 定積分で表された関数
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(5)-ア-(ウ)
上端が変数 の定積分は の関数になり、微分するともとの関数に戻ります。上端・下端がともに定数の定積分は、ただの数です。
は?( は定数)
とすると で、これを で微分すると 。
を満たす はどう求めるか?
定積分 は定数なので とおく。 を に入れて 、。
上端・下端が定数の定積分は、 を含まない 1 つの数になる。
【発展】 の形のまま積分する
のように、 は展開せずに積分できる(微分するともとに戻る)。
一般の の積分は数学Ⅲで扱う()。
練習問題
問 1 不定積分 を求めよ。
( は積分定数)
方針 数学Ⅱの積分の公式 は、 の和の形にしか使えない。積の形のままでは積分できないので、先に展開して多項式にし、項ごとに積分する。
- 展開する。
- 項ごとに積分する。 は 、 は 、 は になる
- 合わせて、最後に積分定数を 1 つつける。
確かめ: を微分すると で、展開した式に戻る。
ここで間違えやすい 積分定数 を忘れない。また、 と を別々に積分してかけても、正しい答えにならない。
問 2 定積分 の値を求めよ。
3
方針 定積分は、原始関数を 1 つ求めて「上端での値 下端での値」を計算する。負の数を代入するところで符号を間違えやすいので、上端と下端を別々に計算してから差をとる。
- 原始関数を求める。 は 、 は 、 は になるので、
- 上端 での値を求める。
- 下端 での値を求める。、、 なので、
- 差をとる。
ここで間違えやすい 下端の に を入れると になる。ここを にすると、下端の値が になって答えがずれる。
問 3 定積分 の値を求めよ。
20
方針 積分区間が から で、原点について対称になっている。このとき、奇数次の項の定積分は 0 になり、偶数次の項(定数項を含む)の定積分は「0 から 2 まで」の 2 倍になる。項を分ければ、計算する量が半分以下になる。
- 項を分ける。奇数次の項は と 、偶数次の項は と
- 奇数次の項の定積分は 0 になる。
- 偶数次の項の定積分は 2 倍にまとめる。
- 原始関数を求める。 は 、 は になるので、
- 上端 での値は 、下端 での値は 0
- よって
確かめ: 性質を使わずに計算すると 。上端の値は 、下端の値は で、差は 。同じ値になる。
ここで間違えやすい 定数項 は偶数次(0 次)の項なので、消えずに残る。
問 4 、 を満たす関数 を求めよ。
方針 導関数 が分かっているので、積分すればもとの関数 が出る。ただし積分定数 が残るので、もう 1 つの条件 を使って を決める。
- を積分する。 は 、 は になるので、
- を代入する。
- 条件 から、
- 1 を移項して、
- よって
確かめ: を微分すると 。 を代入すると 。2 つの条件に合う。
問 5 等式 を満たす関数 と、定数 の値を求めよ。
、 または
方針 上端が の定積分 には、性質が 2 つある。 で微分すると に戻ることと、 を代入すると上端と下端が同じになって 0 になること。微分で を、代入で を求める。
- 両辺を で微分する。左辺は 、右辺は になるので、
- もとの等式の両辺に を代入する。左辺は 、右辺は
- 左辺と右辺が等しいので、
- 因数分解して なので、 または
確かめ: のとき、 で、右辺と一致する。 のときも、下端の値が で同じ結果になる。
ここで間違えやすい は 1 つに決まらない。 と のどちらでも等式が成り立つので、両方を答える。
問 6 を満たす関数 を求めよ。
方針 は上端も下端も定数なので、 を含まないただの数である。これを とおくと の形が決まる。その を の定義にもう一度入れると、 だけの方程式になる。
- (定数)とおくと、
- の定義に を入れる。
- 右辺を計算する。 は定数なので、原始関数は 。
- よって
- を左辺に移項して なので、
- に戻して、
確かめ: で、 と一致する。
ここで間違えやすい を積分するとき、 は定数なので になる( ではない)。0 から 2 までで 。