指数の拡張と指数法則
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅱ (3) 指数関数・対数関数 ア (ア)「指数を正の整数から有理数へ拡張する意義を理解し,指数法則を用いて数や式の計算をすること」。
0. どういうまとまりか
中学までの は「 を 個掛ける」なので、 は正の整数に限られていました。
これを 0・負の整数・有理数へ広げます。広げ方は 1 つの方針で決まります——正の整数のときに成り立つ指数法則が、広げたあとも成り立つように定める。
| 指数 | 定め方 | 例 |
|---|---|---|
| 0 | () | |
| 負の整数 | () | |
| 有理数 | () |
指数法則(、、・ は有理数): 、、。
分かれ目は次の 3 つ。
- は 0 ではなく 1。 は負の数ではなく
- 偶数乗根は正の数にしか考えない。 が奇数なら負の数の 乗根もある()
- 有理数の指数は底 で定める。累乗根は、底をそろえて指数の計算に直してから計算する
1. 0 と負の整数の指数
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(3)-ア-(ア)
が でも でも成り立つように決めると、 と の値が 1 通りに決まります。
()の値は? また、なぜそう定めるか?
指数法則 で とすると、左辺は 、右辺は 。法則が成り立つように 1 と定める。
(、 は正の整数)の定め方は?
が成り立つように定める。、。負の数になるわけではない。
正の整数の指数で成り立つ指数法則を 3 つ挙げよ。
、、
指数を 0・負の整数・有理数へ広げても、この 3 つがそのまま成り立つように定義する。これが「指数を拡張する」ことの中身。
2. 累乗根
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(3)-ア-(ア)
乗すると になる数を、 の 乗根といいます。2 乗根・3 乗根・…をまとめて累乗根といいます。
累乗根 は、どんな数を表すか?()
乗すると になる正の数
、。、。 はふつう と書く。
が偶数のとき、正の数 の 乗根はいくつあるか? 負の数の 乗根は?
正の数の 乗根は 2 つ( と )。負の数の 乗根は実数の範囲にない
16 の 4 乗根は 2 と 。 が奇数なら実数の 乗根はつねに 1 つで、。
累乗根の性質を 3 つ挙げよ。(、)
、、
商についても 。。
3. 有理数の指数
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(3)-ア-(ア)
が分数の指数でも成り立つとすると、 なので、 は の 乗根でなければなりません。
(、 は整数、 は正の整数)の定め方は?
、。、。
有理数の指数 を考えるとき、底 を正に限るのはなぜか?
負の底では、同じ有理数でも表し方によって値が変わり、指数法則が成り立たなくなるから
なのに、 を とすると、 と食い違う。
指数法則は、有理数の指数ではどんな条件のもとで成り立つか?
、 で、・ が有理数のとき、、、
割り算も 。正の整数のときと同じ形のまま使える。
4. 指数法則を用いた計算
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(3)-ア-(ア)
累乗根がまじった計算は、根号のまま扱うより、底をそろえて有理数の指数に直すほうが確実です。
累乗根がいくつもまじった積や商(例 )は、どう計算するか?
底を 2 などにそろえて有理数の指数で書き、指数の足し算・引き算にする
。
と を、底を 2 にそろえて計算すると?
、
、 として を使う。
の値が分かっているとき、 はどう求めるか?
を 2 乗する
。 なので、真ん中の項が定数になる。
【発展・有理数の指数の先】無理数の指数 はどう考えるか?
に近づく有理数 1.4、1.41、1.414、… を指数にした 、、、… が近づいていく値を と定めます。
こうして実数の指数まで広げても、指数法則はそのまま成り立ちます。学習指導要領の事項は「有理数へ拡張する」までなので、復習には出さずにここに置いています。
指数関数 のグラフがつながった曲線になるのは、この考えで をすべての実数にしているからです。
練習問題
問 1 次の値を求めよ。(1) (2)
(1)6 (2)4
方針 (1)はどちらも 3 乗根なので、 で根号を 1 つにまとめる。(2)は 4 も 8 も 2 の累乗なので、底を 2 にそろえて で指数の計算にする。
- (1)根号の中どうしを掛ける。
- なので、
- (2) として指数を掛ける。
- として指数を掛ける。
- 2 つを掛けて、
(2)は指数のまま とまとめてもよい。
問 2 と の値を求めよ。
、
方針 27 と 16 を素数の累乗(、)に直す。すると で指数を掛けたときに分母が約分されて、整数の指数になる。負の指数は最後に逆数に直す。
- なので、
- 指数を掛けると なので、
- 負の指数は逆数にする。
- なので、
- 指数を掛けると なので、
ここで間違えやすい 指数が負でも、値は負の数にならない。 は の逆数である。
問 3 を計算せよ。
方針 2 乗根・3 乗根・6 乗根がまじっているので、根号のままでは 1 つにまとめられない。根号の中はどれも 2 の累乗(、)なので、底を 2 にそろえた有理数の指数に直し、指数の足し算・引き算にする。
- を指数で書く。
- なので、
- なので、
- 掛け算は指数の足し算、割り算は指数の引き算になるので、
- 指数を分母 6 で通分する。
- 根号に戻して、
問 4 とする。 を簡単にせよ。
方針 底はどれも でそろっている。累乗根を で有理数の指数に直せば、掛け算・割り算が指数の足し算・引き算になる。
- それぞれを指数で書く。、、
- 掛け算は指数の足し算、割り算は指数の引き算になるので、
- 指数を分母 6 で通分する。
- 指数が 1 なので、
問 5 で、 のとき、 の値を求めよ。
7
方針 求めたい と は、 と をそれぞれ 2 乗したもの。そこで与えられた式の両辺を 2 乗する。 の値そのものを求める必要はない。
- 両辺を 2 乗する。
- 左辺を で展開する。
- 指数を掛けて、、
- 真ん中の項は指数を足して、
- 3 と 4 を 2 の式に入れると、
- 2 を右辺に移して、
ここで間違えやすい 2 乗したときの真ん中の項 を落として、 としないこと。