微分係数と導関数
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅱ (5) 微分・積分の考え ア (ア)「微分係数や導関数の意味について理解し,関数の定数倍,和及び差の導関数を求めること。」。
0. どういうまとまりか
2 点を結ぶ直線の傾き(平均変化率)で、2 点の間隔を限りなく小さくすると、1 点での傾き(微分係数)になります。
微分係数を の関数とみたものが導関数で、多項式の導関数は公式 と、定数倍・和・差の性質だけで求められます。
| 式 | 何を表すか | |
|---|---|---|
| 平均変化率 | 2 点を結ぶ直線の傾き(数) | |
| 微分係数 | 点 での接線の傾き(数) | |
| 導関数 | 各 での微分係数を与える関数 |
分かれ目は次の 3 つ。
- 微分係数は「数」、導関数は「関数」。 は導関数 に を代入した値
- 定義から求めるときは、 で約分してから を 0 に近づける( を先に代入すると分母が 0 になる)
- 積や累乗の形は展開してから微分する。 の導関数は ではない
1. 平均変化率と微分係数
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(5)-ア-(ア)
が から まで変わるときの の変化の割合が平均変化率です。 を に限りなく近づけたときの行き先が微分係数です。
関数 で、 が から まで変わるときの平均変化率は? また、グラフの上で何を表すか?
。グラフ上の 2 点 、 を結ぶ直線の傾き
とおくと と書ける。
極限値とは何か? また、記号でどう書くか?
が 0 と異なる値をとりながら 0 に限りなく近づくとき、式の値がある一定の値 に限りなく近づくなら、その を極限値という。 と書く
lim は「limit(極限)」の略。 は 0 そのものにはならない。
関数 の における微分係数 の定義は?
平均変化率で、区間の幅 を 0 に限りなく近づけたときの極限値。
微分係数 は、 のグラフの上で何を表すか?
点 における接線の傾き
2 点を結ぶ直線(割線)の傾きで、もう 1 点を限りなく近づけた行き先が接線の傾きになる。
の における微分係数を、定義に従ってどう求めるか?
と約分してから を 0 に近づけて、
約分する前に とすると になって求められない。
2. 導関数
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(5)-ア-(ア)
微分係数 の を変数 にかえると、 の関数が 1 つ決まります。これが導関数です。
関数 の導関数の定義は? また、どんな記号で表すか?
。、、、 で表す
導関数を求めることを、 を で微分するという。
微分係数 と導関数 の関係は?
導関数 に を代入した値が、微分係数
微分係数は 1 つの数、導関数は の関数。 を求めるには、まず導関数を出してから代入するのが早い。
3. 導関数の計算
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(5)-ア-(ア)
多項式の導関数は、 の導関数の公式と、定数倍・和・差の性質を組み合わせて求めます。
( は正の整数)と定数 の導関数は?
、
、、。定数のグラフは水平な直線なので、傾きは 0。
関数の定数倍・和・差の導関数の性質は?(、 は定数)
、。まとめて
多項式は、項ごとに微分して足せばよい。
を微分すると?
。定数項 は消える。
の導関数はどう求めるか?
展開して にしてから微分し、
括弧のまま「2 乗の指数を前に出す」と になり誤り。数学Ⅱでは積や累乗は展開してから微分する。
球の体積 を で微分すると?
(球の表面積と同じ式)
変数が 以外の文字でも、その文字について同じ公式で微分する。 は定数。
【発展】 を展開せずに微分する(数学Ⅲの内容)
数学Ⅲでは合成関数の微分により、 と展開せずに求める。
たとえば で、展開して求めた結果と一致する。
数学Ⅱの範囲では展開してから微分すれば足りる。
練習問題
問 1 関数 について、 が 1 から 3 まで変わるときの平均変化率を求めよ。
1
方針 平均変化率は「 の変化量 ÷ の変化量」。区間の両端 と での関数の値を先に求めて、 に入れる。
- での値を求める。
- での値を求める。
- 平均変化率の式に入れる。
- 分子は 、分母は なので、
問 2 関数 の における微分係数を、定義に従って求めよ。
5
方針 定義 をそのまま計算する。 を先に入れると分母が 0 になるので、分子を展開して で約分してから、 を 0 に近づける。
- を求める。
- を展開する。
- 差をとる。
- で割って約分する。
- を 0 に近づけると は 5 に近づくので、
確かめ: 公式で微分すると で、 を代入すると 。定義から求めた値と一致する。
ここで間違えやすい は、 だけでなく の にも を入れる。 だけにすると の係数が 4 になってしまう。
問 3 次の関数を微分せよ。(1) (2) (3)
(1) (2) (3)
方針 多項式は、公式 を項ごとに使って微分する。(2)(3) のような積や累乗の形にはこの公式がそのまま使えないので、先に展開して多項式にする。
- (1) 項ごとに微分する。 は 、 は 、 は 、定数 は になる
- (1) 合わせて、
- (2) 展開する。
- (2) 項ごとに微分する。 は 、 は 、 は 、定数 は なので、
- (3) 展開する。
- (3) 項ごとに微分する。 は 、 は 、定数 は なので、
ここで間違えやすい (3) を括弧のまま「2 を前に出す」と になり、正しい答えの にしかならない。数学Ⅱでは必ず展開してから微分する。
問 4 のとき、 を求めよ。
10
方針 微分係数 は、導関数 に を代入した値。定義の極限から求めるより、先に導関数を出してから代入するほうが早い。
- 項ごとに微分する。 は 、 は になるので、
- を代入する。
- 計算して、
ここで間違えやすい 順番は「微分してから代入」。先に を代入すると というただの数になり、それを微分しても 0 にしかならない。
問 5 が 、 を満たすとき、定数 、 の値を求めよ。
、
方針 与えられた条件は 2 つとも導関数の値なので、まず を 、 を含んだまま求める。そこに 、 を代入すると、、 の式が 2 本できる。
- 、 は定数として微分する。 は 、 は 、定数 は になるので、
- を代入すると の項が消えて、。条件 から、
- を代入すると、。条件 から、
- を代入して、
- 1 を移項して なので、
確かめ: で、 のとき 、 のとき 。条件に合う。