多項式の除法と分数式
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅱ (1) いろいろな式 ア (イ)「多項式の除法や分数式の四則計算の方法について理解し,簡単な場合について計算をすること。」。
0. どういうまとまりか
多項式どうしも、整数と同じように割り算ができます。整数の「割られる数 = 割る数 × 商 + 余り」にあたるのが で、
余りの大きさの制限が「余りの次数が割る式の次数より低い」に変わります。
分母に文字を含む式(分数式)の計算は、分数の計算と同じ手順で、約分・通分の単位が数から因数に変わるだけです。
| 計算 | 整数・分数では | 多項式・分数式では |
|---|---|---|
| 割り算 | (余り 割る数) | ( の次数 の次数) |
| 約分 | 分子・分母の公約数で割る | 分子・分母を因数分解して共通因数で割る |
| 通分 | 分母の最小公倍数にそろえる | 分母を因数分解して、因数をすべて含む式にそろえる |
| 割り算(分数) | 逆数を掛ける | 逆数を掛ける |
分かれ目は次の 3 つ。
- 割られる式に欠けている次数があれば、その位置を 0 で空けてから割る
- 余りの次数は割る式の次数より低い。一次式で割れば余りは定数、二次式で割れば一次以下
- 分数式の約分は因数どうしでしかできない。 の を消すような「項」の約分はできない
1. 多項式の除法
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(1)-ア-(イ)
多項式の除法は、両方の式を降べきの順に整理し、最高次の項どうしを割って商の項を 1 つずつ決めていきます。
多項式 を多項式 で割ったときの商を 、余りを とすると、どんな関係が成り立つか?
( の次数は の次数より低い。 もある)
のとき、 は で割り切れるという。割り算の結果を確かめるときも、この式に戻せばよい。
多項式の割り算を始める前に、式をどう整えるか?
割られる式・割る式を降べきの順に並べ、割られる式に欠けている次数の項は 0 として位置を空けておく
なら として並べる。位置を空けないと、引き算で次数がずれる。
一次式で割ったときと、二次式で割ったときの余りは、それぞれどんな式か?
一次式で割った余りは定数。二次式で割った余りは一次以下の式( の形)
余りの次数は、割る式の次数より低くなるまで割り進めるから。
を で割った商と余りは?
商 、余り
を立てて引くと 、 を立てて引くと 。一次式になったので終わり。
で確かめられる。
ある多項式 を で割ると、商が 、余りが であった。 は?
に当てはめて、 を展開する。割られる式を求める問題は、割り算をせずにこの式を使う。
2. 分数式とその約分
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(1)-ア-(イ)
の形で、分母 に文字を含む式を分数式といいます。分母が 0 になる文字の値は考えません。
分数式とは?
、 を多項式として の形に表され、分母 に文字を含む式
分母が 0 になる値( なら )は除いて考える。多項式と分数式を合わせて有理式という。
を約分すると?
分子 、分母 と因数分解して、共通因数 で割る。約分できるのは因数どうしだけ。
3. 分数式の四則計算
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(1)-ア-(イ)
掛け算・割り算は分子どうし・分母どうしを掛け(割り算は逆数を掛け)てから約分し、足し算・引き算は分母を因数分解して通分します。
分数式の掛け算と割り算は、どうするか?
掛け算は分子どうし・分母どうしを掛ける。割り算は割る式の分子と分母を入れかえて(逆数にして)掛ける。先に因数分解しておき、最後に約分する
。
分数式の足し算・引き算で、通分の分母はどう決めるか?
各分母を因数分解し、現れた因数をすべて(重なりは 1 回分だけ)含む式にする
。
を 2 つの分数式の差で表すと?
右辺を通分すると に戻る。分数式の和を求めるとき、こう分けると隣どうしが打ち消し合う。
分母や分子に分数式を含む式(繁分数式) を簡単にすると?
分子と分母の両方に を掛けると、中の分数が消える。
練習問題
問 1 を で割った商と余りを求めよ。
商 、余り
方針 多項式の割り算は、最高次の項どうしを割って商の項を 1 つ立て、「割る式 × その項」を引く、をくり返す。残りの次数が割る式(二次)より低くなったら終わりで、それが余り。割られる式に の項がないので、0 で位置を空けておく。
- 割られる式を と書き、 の項の位置を空ける。
- 最高次の項どうしを割る。 なので、商にまず を立てる。
- を引く。
- 残りの最高次の項を割る。 なので、商に を立てる。
- を引く。
- は一次式で、割る式の次数(二次)より低いので、ここで終わり。商は 、余りは
- 確かめ: に を足すと に戻る。
ここで間違えやすい 引き算で、引く式の符号を変え忘れること。手順 5 では になる。
問 2 多項式 を で割ると、商が 、余りが である。 を求めよ。
方針 割られる式を求めるので、割り算はしない。「割られる式 = 割る式 × 商 + 余り」()に、分かっている 3 つの式を入れて展開する。
- の に 、 に 、 に を入れる。
- 積を展開する。
- 同類項をまとめて、
- 余りを足す。
問 3 次の計算をせよ。(1) を約分 (2)
(1) (2)
方針 分数式の約分は、分子と分母をそれぞれ因数分解し、共通の因数で割る。(2) の掛け算も、掛ける前に因数分解しておくと、約分できる因数が見える。
- (1) 分子は 2 乗の差なので、
- 分母は、掛けて 、足して になる 2 数が と 1 なので、
- を共通因数 で約分して、
- (2) 1 つ目の分数の分子と分母を因数分解する。、
- 分子どうし・分母どうしを掛ける。
- 分子と分母に共通な と で約分して、
ここで間違えやすい や の をさらに消すことはできない。約分できるのは因数(掛け算のかたまり)どうしだけで、足し算の項は消せない。
問 4 を計算せよ。
方針 分母が違う足し算なので通分する。分母を因数分解すると で、もう一方の分母 を含んでいる。だから通分の分母は でよい。
- 1 つ目の分母を因数分解する。
- 2 つ目の分数の分子と分母に を掛けて、分母をそろえる。
- 分子どうしを足す。
- 分子を整理すると なので、
- 共通因数 で約分して、
ここで間違えやすい 通分して足したところで終わりにすること。分子を整理したら、最後に約分できないかを確かめる。
問 5 を計算せよ。
方針 2 つの分母に現れる因数は 、、 の 3 つなので、通分の分母は 。足したあとの分子が因数分解できれば約分する。
- 1 つ目の分数には を、2 つ目の分数には を、分子と分母に掛ける。
- 分子どうしを足す。
- 分子を 2 でくくると なので、
- 共通因数 で約分して、
別解: 、 と差に分けると、 と真ん中が打ち消し合う。これを通分して 。
問 6 を簡単にせよ。
方針 分子と分母の中に が入っている(繁分数式)。中の分母 を消したいので、全体の分子と分母の両方に を掛ける。同じものを掛けるので、式の値は変わらない。
- 分子に を掛ける。
- 分母に を掛ける。
- よって、もとの式は
- 分子を因数分解して、
- 共通因数 で約分して、