みならいノート

数学Ⅱ 2027年度版

三次の乗法公式と二項定理

みならいノートで覚える(無料)

このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

学習指導要領 数学Ⅱ (1) いろいろな式 ア (ア)「三次の乗法公式及び因数分解の公式を理解し,それらを用いて式の展開や因数分解をすること。」。

0. どういうまとまりか

数学Ⅰの二次の乗法公式を三次に広げたのが三次の乗法公式です。展開の公式を逆に読めば、そのまま因数分解の公式になります。
さらに を一般の で展開する式が二項定理で、各項の係数は組合せの数 になります。

形 展開・因数分解の結果 符号の見方
係数は 1, 3, 3, 1
の奇数乗の項がマイナス
2 つ目の因数の真ん中がマイナス
2 つ目の因数の真ん中がプラス
一般項は

分かれ目は次の 3 つ。

1. 三次の乗法公式と因数分解

根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(1)-ア-(ア)

にもう一度 を掛けると、三次の展開公式が出ます。これを逆に使うと因数分解の公式になります。

三次の乗法公式で、 と の展開は?

、

係数は 1, 3, 3, 1。 は を に置きかえたもので、 の奇数乗の項がマイナスになる。

と を展開すると?

、

途中の項 、 が打ち消し合って、2 項だけが残る。

と の因数分解の公式は? 符号はどう覚えるか?

、

1 つ目の因数の符号はもとの式と同じ、2 つ目の因数の真ん中はその逆、最後の はいつもプラス。

と を因数分解すると?

、

、 と見て、 の公式に当てはめる。

を展開すると?

で 、。 のように、 を ごと 2 乗する。

2. 二項定理とパスカルの三角形

根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(1)-ア-(ア)

を展開したとき、 の項は 個の のうち 個から を選ぶ選び方の数だけ出てきます。だから係数は です。

二項定理とは?

係数 を二項係数という。 個の因数 から を 個選ぶ選び方の数。

の展開式の一般項は?

()

と の指数の和はいつも 。特定の項の係数は、この一般項から求める。

パスカルの三角形とは? どんな規則で並んでいるか?

の二項係数を の順に三角形に並べたもの。各行の両端は 1 で、隣り合う 2 数の和がその間の下の数になる

の行は 1, 4, 6, 4, 1、 の行は 1, 5, 10, 10, 5, 1。規則は を表している。左右対称なのは だから。

3. 係数を求める

根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(1)-ア-(ア)

全部を展開しなくても、一般項に当てはめれば特定の項の係数だけが求まります。

の展開式で、 の係数は?

40

一般項は 。 から で、。

の展開式の定数項は?

一般項は 。 から で、。

二項定理を使って、 の値を求めると?

に を代入する。 を代入すれば、符号を交互にした和が 0 になる()。

【発展・数学Ⅱの範囲外】 の展開式で、()の係数は?

個の因数から を 個、 を 個、 を 個選ぶ並べ方の数(同じものを含む順列)。教科書では発展として触れる程度なので、復習には出さずにここに置いている。 と 2 つに分けて二項定理を 2 回使っても求まる。

練習問題

問 1 次の式を展開せよ。(1)  (2)

(1)  (2)

方針 どちらも 3 乗の形なので、三次の乗法公式 に当てはめる。公式の 、 が何にあたるかを先に決め、 のような係数つきの文字はかたまりのまま入れる。

  1. (1) は公式の が 、 が 3 にあたる。
  2. 各項を計算する。、、 なので、
  3. (2) は公式の が 、 が にあたる。
  4. かっこの累乗を先に計算する。、
  5. 係数を掛ける。、 なので、

ここで間違えやすい  を としてしまうこと。係数の 2 も 2 乗して にしてから 3 倍する。

問 2 次の式を因数分解せよ。(1)  (2)

(1)  (2)

方針 、 のように「何かの 3 乗」と見られれば、 の公式が使える。(2) は 6 乗なので 2 乗の差とも 3 乗の差とも見られるが、先に 2 乗の差 で分けるほうが最後まで分解しやすい。

  1. (1) 、 なので、
  2. の に 、 に 3 を入れる。
  3. かっこの中を計算して、
  4. (2) 、 なので、
  5. 前の因数は の公式で、
  6. 後ろの因数は の公式で、
  7. 2 つを掛け合わせて、

ここで間違えやすい (2) で先に と見ると となり、後ろの因数がさらに と分解できることに気づきにくい。

問 3  の展開式で、 の係数を求めよ。

方針 全部を展開しなくても、二項定理の一般項 を使えば の項だけを取り出せる。 に 、 に を符号・係数ごと入れ、 の指数が 2 になる を決める。

  1. 一般項を書く。
  2. なので、 の指数は
  3. の項になるのは のときなので、
  4. を一般項に入れると、係数は
  5. 、、 なので、

ここで間違えやすい  を 2 として符号を落とすこと、 の 3 を 2 乗し忘れること。

問 4  の展開式で、 の係数と定数項を求めよ。

の係数は 20、定数項は 15

方針  と が混ざるので、一般項の の指数を の式で表す。その指数が 3 になる と、0 になる (定数項)をそれぞれ求めて、係数 を計算する。

  1. 一般項は
  2. で、 を掛けると の指数が だけ下がる。 の指数は なので、一般項は
  3. の項は のとき。 から
  4. その係数は
  5. 定数項は の指数が 0 のとき。 から
  6. その係数は

ここで間違えやすい 定数項は「 を含まない項」、つまり の指数が 0 の項。 の項ではない。

問 5  と、 の値を求めよ。

64 と 0

方針 二項係数の和は、1 つずつ計算しなくても、 の展開式の に数を代入すると一度に求まる。全部プラスの和なら 、符号が交互の和なら を入れる。

  1. 二項定理から、
  2. を代入すると、右辺は になる。左辺は
  3. を代入すると、 の奇数乗の項だけがマイナスになり、右辺は になる。左辺は
  4. 確かめ: パスカルの三角形の の行は 1, 6, 15, 20, 15, 6, 1。全部足すと 、交互に足し引きすると

このノートの 11 問を、暗記カードで復習できます

みならいノートで覚える(無料)

答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

多項式の除法と分数式 次

このノートは無償で公開しています。当方は内容の正確性・完全性・最新性を保証しません。学習にあたっては、法令の原文・公式の出題範囲その他の一次資料を必ずご確認ください。試験への合格その他の効果を保証するものでもありません。

本文の転載・再配布はお断りしています(利用規約)。手元に置いて使いたい方は、ストアから Markdown ファイルとして入手できます。