加法定理
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅱ (4) 三角関数 ア (エ)「三角関数の加法定理や 2 倍角の公式,三角関数の合成について理解すること」。
0. どういうまとまりか
は ではありません。2 つの角の和・差の三角関数を、それぞれの角の三角関数で表す式が加法定理です。
のように知っている角の和に分ければ値が求まり、あとで学ぶ 2 倍角の公式や三角関数の合成も、すべてこの定理から出ます。
| 和 | 差 | |
|---|---|---|
| sin | ||
| cos | ||
| tan |
分かれ目は次の 3 つ。
- sin は「sin cos、cos sin」で符号はそのまま。cos は「cos cos、sin sin」で符号が逆
- tan の分母の符号も、分子と逆
- 2 直線のなす角は、傾きを とみて tan の差の加法定理で求める
1. sin・cos の加法定理
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(4)-ア-(エ)
単位円の上の 2 点 、 の距離を 2 通りに表すと の式が出て、そこから残りの式が導けます。
sin の加法定理は?
、
sin と cos が交互に並び、真ん中の符号は左辺と同じ。
cos の加法定理は?
、
cos どうし・sin どうしを掛け、真ん中の符号は左辺と逆になる。
cos の差の加法定理 は、どう導くか?
単位円の上の点 P、Q の距離 PQ の 2 乗を、座標の式と、$\angle$POQ に余弦定理を使った式の 2 通りで表して比べる
座標から 、余弦定理から 。
としてよいか?
いけない
たとえば で、左辺は 、右辺は 。和の三角関数は加法定理で開く。
と の値は?
、
として加法定理を使う。 は 。
の値は?
として 。 でもある( の公式)。
加法定理を使って、 を の三角関数で表すと?
で、、。 などの公式も加法定理から出る。
2. tan の加法定理
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(4)-ア-(エ)
に sin・cos の加法定理を入れ、分母・分子を で割ると出ます。
tan の加法定理は?
、
分子の符号は左辺と同じ、分母の符号は左辺と逆。
の値は?
。分母を有理化すると で 。
3. 2 直線のなす角
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(4)-ア-(エ)
直線 と 軸の正の向きとのなす角を とすると、傾き は です。2 直線のなす角は、この角の差なので、tan の加法定理で求まります。
傾き 、 の 2 直線(垂直でない)のなす鋭角を とすると、 は?
、 として を計算し、鋭角をとるため絶対値をつける。
2 直線のなす角を tan の加法定理で求めるとき、 になったらどうなっているか?
2 直線は垂直(なす角は )
は垂直の条件。 は定義されないので、式に入れず垂直と判断する。
練習問題
問 1 と の値を求めよ。
、
方針 や の三角関数の値は覚えていないが、・・ の値は分かっている。そこで 、 と、値の分かる角の和・差に分けて加法定理で開く。
- として、cos の和の加法定理で開く。
- 、、 を入れると、
- それぞれ掛けると なので、
- として、sin の差の加法定理で開く。
- 、 を入れると、
- それぞれ掛けると なので、
確かめ: は第 2 象限の角なので は負、 は第 1 象限の角なので は正。 だから、どちらの符号も合っている。
ここで間違えやすい cos の加法定理は真ん中の符号が左辺と逆になる。 の右辺を足し算にしない。
問 2 、 で、、 のとき、 と の値を求めよ。
、
方針 加法定理の右辺には 、、、 の 4 つが要る。分かっているのは と だけなので、足りない と を先に相互関係で求める(符号は象限で決める)。そのあと加法定理に入れる。
- を求める。 で、 なので、
- から は第 2 象限の角で、。よって
- を求める。 で、 なので、
- から は第 1 象限の角で、。よって
- sin の和の加法定理 に入れる。、
- 足して、
- cos の差の加法定理 に入れる。、
- 足して、
ここで間違えやすい を正の にしない。 は第 2 象限の角なので負。ここを誤ると 2 つの答えが両方ずれる。
問 3 2 直線 、 のなす鋭角 を求めよ。
方針 直線の傾きは、その直線が 軸の正の向きとなす角の である。2 直線のなす角は、この 2 つの角の差なので、tan の差の加法定理で求まる。
- 2 直線が 軸の正の向きとなす角を 、 とする。傾きから、、
- tan の差の加法定理 に入れる。分子は 、分母は
- よって
- 求めるのは鋭角なので、絶対値をとって
- で となるのは、
ここで間違えやすい 3 の から と答えない。2 直線が交わってできる角は鋭角と鈍角の 2 種類あり、 は鈍角のほう。鋭角はその残りの で、絶対値をとるのはこのため。
問 4 、 はともに鋭角で、、 である。 を求めよ。
方針 や そのものは求められない( が 2 や 3 になる角は、きれいな値にならない)。しかし なら加法定理で計算できる。その値と、 のとりうる範囲から、角を 1 つに決める。
- tan の和の加法定理 に入れる。分子は 、分母は
- よって
- の範囲を求める。、 を辺ごとに足して、
- この範囲で が になるのは、 だけ。
ここで間違えやすい が になる角は や など限りなくある。3 の範囲を求めずに答えると、1 つに決まらない。
問 5 原点を通り、直線 と の角をなす直線の傾きを求めよ。
と
方針 傾きは「 軸の正の向きとなす角の 」である。直線 が 軸となす角を とすると、求める直線は、そこから だけ回した方向を向く。回す向きは 2 通りあるので、 と を加法定理で計算する。
- 直線 と 軸の正の向きとのなす角を とすると、傾きが 2 なので
- 求める直線が 軸の正の向きとなす角は、(反時計回りに回したもの)か、(時計回りに回したもの)。
- 1 本め。 なので、tan の和の加法定理から
- 分子は 3、分母は なので、傾きは
- 2 本め。tan の差の加法定理から
- 分子は 1、分母は 3 なので、傾きは
確かめ: 2 本の傾きの積は で、2 本は垂直。 の両側に ずつ開いた直線どうしなので、なす角が になるのと合っている。
ここで間違えやすい 片側の 1 本だけを答えない。「 の角をなす直線」は、もとの直線の両側に 1 本ずつある。