三角方程式と三角不等式
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅱ (4) 三角関数 ア (イ)「三角関数の値の変化やグラフの特徴について理解すること」。
0. どういうまとまりか
のような方程式は、「単位円の上で 座標が になる点はどこか」と読みかえると解けます。
三角関数には周期があるので、範囲を決めなければ解は限りなくあります。まず単位円で 1 周ぶん()の解を出し、範囲に合わせて足し引きします。
| 方程式 | 単位円で見るもの | の解の個数() |
|---|---|---|
| 直線 との交点 | 2 個 | |
| 直線 との交点 | 2 個 | |
| 直線 OT(T)との交点 | 2 個( はすべての実数) |
分かれ目は次の 3 つ。
- sin は 座標、cos は 座標で見る。取り違えると解がずれる
- 角が や なら、その角の範囲を先に求めてから単位円で読む
- と が混ざったら、相互関係で 1 種類にそろえて二次方程式にする。おきかえた文字の範囲 を忘れない
1. 単位円で解く三角方程式
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(4)-ア-(イ)
sin・cos・tan のそれぞれが、単位円の上の点の何にあたるかを思い出して、条件を満たす点を探します。
のとき、 の解は単位円でどう求めるか?
直線 と単位円の交点を求め、その点に対応する動径の角を読む
sin は単位円の上の点の 座標だから。 なら交点は 2 つある。
のとき、 の解は?
、
直線 は単位円と第 1 象限・第 2 象限で交わる。2 つの解は と の関係。
のとき、 の解は?
、
直線 は単位円と第 2 象限・第 3 象限で交わる。2 つの解は 軸について対称。
のとき、 の解は?
、
点 T と原点を通る直線が単位円と交わる 2 点。tan の周期は なので、2 つの解は だけ違う。
範囲の指定がないとき、 の解(一般解)はどう書くか?
、( は整数)
sin の周期 ごとに同じ解が繰り返されるので、1 周ぶんの解に を足す。tan なら を足せば足りる。
2. 三角不等式
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(4)-ア-(イ)
不等式も単位円で考えます。まず等号の場合の角を求め、条件を満たす点が円の上のどの弧にあるかを読みます。
のとき、 の解は?
単位円の上で、直線 より上にある弧。端の 、 は等号なので含まない。
のとき、 の解は?
単位円の上で、直線 の左側(線上を含む)にある弧。 をまたがない側の弧になる。
三角不等式の解が をまたぐ弧になるとき、 の範囲ではどう書くか?
2 つの範囲に分けて書く
たとえば の解は 、。 とは書けない(範囲の外)。
3. 角のおきかえと二次方程式への帰着
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(4)-ア-(イ)
角が や の形のときや、2 乗の項があるときは、おきかえて見慣れた形にします。おきかえた文字の範囲が変わることに注意します。
で を解くとき、はじめに何をするか?
の範囲 を求め、その範囲(単位円 2 周ぶん)で解を探す
の範囲のまま探すと、解が半分しか出ない。
と が混ざった方程式は、どう解くか?
で cos だけの式にし、 とおいて二次方程式を解く
の範囲は 。この範囲に入らない解は捨てる。
練習問題
問 1 のとき、方程式 を解け。
、
方針 まず (数)の形に直す。 は単位円の上の点の 座標なので、直線 (数)と単位円の交点を探し、その動径の角を読む。
- を移項して、
- 両辺を 2 で割って、
- 直線 は 軸の左側にあるので、単位円との交点は第 2 象限と第 3 象限に 1 つずつある。
- なので、2 つの交点の動径は、 軸の負の向きから上と下に ずつ開いたところにある。
- 第 2 象限のほうは 、第 3 象限のほうは
ここで間違えやすい を 座標で見てしまうと、直線 との交点の 、 が出てしまう。 は 座標。
問 2 のとき、不等式 を解け。
、
方針 不等式は、まず等号の場合 の角を求める。 は で定義されず、そこを境に正から負へ切りかわるので、 の左と右に分けて調べる。
- 等号の場合を解く。 なので、 で となるのは
- のとき。 で、0 以上なら 以上なので、この範囲はすべて満たす。
- のとき。 が定義されないので、解に入らない。
- のとき。 は負で、 が増えるにつれて増え、0 に近づいていく。 でちょうど になるので、 以上になるのは
- 2 と 4 を合わせて、、
ここで間違えやすい は解に含めない( にする)。 は等号が成り立つので含める( にする)。また、「 より右」だけを答えて、 が正になる を落とさない。
問 3 のとき、方程式 を解け。
、、
方針 と が混ざったままでは解けない。 で だけの式にそろえると、 の二次方程式になる(1 次の項が なので、 のほうにそろえる)。
- を代入する。
- 括弧を展開すると 。定数をまとめて、
- 両辺に を掛けて、
- とおくと 。ただし
- 因数分解して なので、 または 。どちらも を満たす。
- のとき。直線 と単位円の交点から、、
- のとき。単位円の上の点 から、
ここで間違えやすい おきかえた の範囲 を確かめる。この問題では 2 つとも範囲に入るが、入らない解が出たら捨てる。
問 4 のとき、方程式 を解け。
、、、
方針 の中身が なので、これをまるごと とおいて を解く。 の範囲と の範囲は違うので、 の範囲を先に求めてから単位円で読み、最後に に戻す。
- とおく。
- の範囲を求める。 の各辺を 2 倍して 。各辺から を引いて、
- 1 周ぶん()で となるのは、直線 と単位円の交点から 、
- の範囲はほぼ 2 周ぶんあるので、 を足した 、 も調べる。どちらも より小さいので解になる。 の部分は なので解はない。
- に戻す。 なので、4 つの にそれぞれ を足して、、、、
- 2 で割って、、、、
ここで間違えやすい を のまま探すと、解が 2 つしか出ない。 が 1 周する間に は 2 周するので、解は 4 つある。
問 5 のとき、不等式 を解け。
、
方針 と が混ざっているので、 で だけの式にそろえ、 の二次不等式として解く。 の範囲が出たら、単位円でその範囲にある弧を読む。
- を代入する。
- 括弧を展開すると 。定数をまとめて、
- 両辺に を掛ける。不等号の向きが逆になり、
- 因数分解して、
- 積が正になるのは、 または のとき。
- なので、 となる はない。残るのは
- 等号の場合 の解は 、。単位円で直線 より下にある弧は、 から下を回って をまたぎ、 に戻るまで。
- の範囲では のところで切れるので、2 つに分けて 、
ここで間違えやすい 3 で を掛けたときに不等号の向きを変え忘れると、答えが逆の になる。また、端の 、 は等号になるので含めない。
問 6 方程式 の一般解を求めよ。
、( は整数)
方針 範囲の指定がないので、解は限りなくある。まず 1 周ぶん()の解を単位円で求め、 の周期 の整数倍を足して、すべての解をまとめて表す。
- は単位円の上の点の 座標なので、直線 と単位円の交点を探す。直線は 軸より下にあるので、交点は第 3 象限と第 4 象限に 1 つずつある。
- なので、2 つの交点の動径は、 軸から下へ だけ傾いたところにある。
- 第 3 象限のほうは 、第 4 象限のほうは
- 回るごとに同じ点に戻るので、それぞれに を足して、、( は整数)
ここで間違えやすい 「 は整数」の断りを落とさない。 は負の整数もとるので、( で )なども解に入っている。