剰余の定理と因数定理
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅱ (1) いろいろな式 ア (オ)「因数定理について理解し,簡単な高次方程式について因数定理などを用いてその解を求めること。」。
0. どういうまとまりか
多項式 を一次式 で割るとき、割り算をしなくても余りは で求まります(剰余の定理)。
余りが 0、つまり なら は で割り切れます(因数定理)。
因数定理で因数を 1 つ見つけ、割り算で次数を下げるのが、三次以上の式を因数分解する基本の手順です。
| 知りたいこと | 使うもの | 式 |
|---|---|---|
| で割った余り | 剰余の定理 | |
| で割った余り | 剰余の定理 | |
| で割り切れるか | 因数定理 | かどうか |
| 二次式で割った余り | 余りを とおく | に割る式の解を代入 |
分かれ目は次の 3 つ。
- で割った余りは 。割る式が 0 になる の値を代入する
- 二次式で割った余りは一次以下なので とおく。定数とおくと誤り
- 因数の候補は 。まず から代入する
1. 剰余の定理
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(1)-ア-(オ)
を で割った商を 、余りを とすると です。ここで を代入すると、 の部分が 0 になります。
剰余の定理とは?
多項式 を一次式 で割った余りは に等しい
に を代入すると 。
多項式 を一次式 で割った余りは?
となる を代入する。 で割った余りなら 。
を で割った余りは?
2
剰余の定理から 。割り算をしなくてよい。
を で割ると余り 3、 で割ると余り である。 を で割った余りは?
二次式で割った余りは一次以下なので とおくと、。
を代入して 、 を代入して 。これを解いて 、。
2. 因数定理
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(1)-ア-(オ)
剰余の定理で余りが 0 の場合が因数定理です。
因数定理とは?
多項式 が一次式 を因数にもつ
なら で割った余りが 0 なので、 と書ける。
整数係数の多項式 で、 となる の候補はどう探すか?
を代入してみる
最高次の係数が 1 なら、定数項の約数(正と負)だけを試せばよい。
因数定理を使って、三次式を因数分解する手順は?
となる を見つけ、 を で割って とし、二次式 をさらに因数分解する
例: は で 0 になるので、。
が でも でも割り切れるとき、、 を求める条件式は?
と の 2 つ
「 で割り切れる」は、因数定理から「」と同じ。未知の係数の数だけ条件式を作る。
3. 組立除法
根拠: 学習指導要領 数学Ⅱ-(1)-ア-(オ)
で割るときは、係数だけを並べて計算する組立除法が使えます。
組立除法で を で割る手順は?
係数を降べきの順に並べ(欠けた次数は 0)、最初の係数を下ろし、下ろした数に を掛けて次の係数に足す、をくり返す。最後の数が余り、その前が商の係数
で割るときは として計算する。
組立除法で を で割った商と余りは?
商 、余り 9
係数 。2 を下ろし、 を に足して 1、 を 0 に足して 2、 を 5 に足して 9。
余りは剰余の定理 とも一致する。
練習問題
問 1 を、(1) で割った余り、(2) で割った余り をそれぞれ求めよ。
(1) (2)
方針 一次式で割った余りは、割り算をしなくても剰余の定理で求まる。割る式が 0 になる の値を に代入すればよい。 なら 、 なら 。
- (1) となるのは なので、余りは
- 代入する。、、 なので、
- (2) となるのは なので、余りは
- 代入する。、、 なので、
- 分母を 8 にそろえて、
ここで間違えやすい で割るのに を計算してしまうこと。代入するのは、割る式を 0 にする値。
問 2 が でも でも割り切れるように、定数 、 の値を定めよ。
、
方針 「 で割り切れる」は、因数定理から「」と同じ。求める文字が 、 の 2 つなので、 と の 2 つの式を作って、連立方程式を解く。
- とおく。
- で割り切れるので 。 だから、
- で割り切れるので 。 だから、
- 両辺を 2 で割って、
- と を足すと が消えて 。よって
- に代入して、
- 確かめ: このとき となり、たしかに でも でも割り切れる。
問 3 次の式を因数分解せよ。(1) (2)
(1) (2)
方針 三次式は公式で分解できないことが多いので、因数定理を使う。代入して 0 になる値 を定数項の約数から探し、 で割って二次式に下げてから、その二次式を因数分解する。
- (1) とおく。候補は定数項 の約数
- を代入すると で 0 にならない。 を代入すると なので、 を因数にもつ。
- を で割る。組立除法で係数 に を使うと となり、商は
- 掛けて 、足して 1 になる 2 数は と 3 なので、。よって
- (2) とおく。 を代入すると で 0 にならない。 を代入すると なので、 を因数にもつ。
- を で割る。組立除法で係数 に 2 を使うと となり、商は
- たすき掛けで 。よって
ここで間違えやすい 因数を 1 つ見つけて割ったところで終わりにすること。商の二次式がさらに因数分解できないかを必ず確かめる。なお、(2) は でも 0 になる。どの因数から見つけても、最後の結果は同じになる。
問 4 多項式 を で割ると余りが 5、 で割ると余りが である。 を で割った余りを求めよ。
方針 割る式 は二次式なので、余りは一次以下の式 とおける。 に と を代入すると、 のついた部分が 0 になって消え、、 だけの式が残る。そこに、剰余の定理で分かる と の値を使う。
- 商を 、余りを とおく。
- 剰余の定理から、 で割った余りが 5 なので 、 で割った余りが なので
- 手順 1 の式に を代入すると、 が 0 になるので 。よって
- 手順 1 の式に を代入すると、 が 0 になるので 。よって
- から を引くと が消えて 。よって
- に代入すると なので、。余りは
ここで間違えやすい 余りを定数とおいてしまうこと。二次式で割った余りは一次以下なので、 とおく。
問 5 組立除法を使って、 を で割った商と余りを求めよ。
商 、余り
方針 で割るときは、係数だけを並べる組立除法が使える。「下ろした数に を掛けて、次の係数に足す」をくり返す。 で割るので、掛ける数は 3。最後に出た数が余り、その前に並んだ数が商の係数になる。
- 係数を降べきの順に並べる。
- 最初の係数 1 をそのまま下ろす。
- 下ろした 1 に 3 を掛けて 。次の係数 に足して
- に 3 を掛けて 。次の係数 2 に足して
- に 3 を掛けて 。最後の係数 8 に足して
- 下に並んだ数は 。最後の が余りで、その前の が商の係数。商は 、余りは
- 確かめ: 剰余の定理から余りは で、一致する。
ここで間違えやすい 商の次数は、割られる式より 1 つ下がる。三次式を一次式で割ったので、商は二次式(係数 3 つ)になる。