根号を含む計算
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅰ (1) 数と式 ア (ア)「数を実数まで拡張する意義を理解し,簡単な無理数の四則計算をすること」。
0. どういうまとまりか
中学で学んだ根号の計算に、高校では 2 つが加わります。文字を含む の扱いと、分母が二項の式の有理化です。
計算の規則そのものは中学と同じで、それを文字の式や、答えを使った次の計算(対称式・整数部分)へ広げます。
| 計算 | 規則 | 例 |
|---|---|---|
| の符号で外し方が変わる | ||
| 積・商 | 根号の中どうしをかける・割る | |
| 和・差 | 根号の中が同じものだけまとまる | |
| 有理化(一項) | 分母と分子に同じ根号を掛ける | |
| 有理化(二項) | 符号を変えた式を掛ける |
分かれ目は次の 3 つ。
- とは限らない()
- は ではない(和はまとまらない)
- 二項の分母は、和と差の積 を使って有理化する
1. 根号の性質
根拠: 学習指導要領 数学Ⅰ-(1)-ア-(ア)
のとき、 は 2 乗して になる 0 以上の数です。 の値は決して負になりません。
そのため、中身が文字の 2 乗のときは、文字の符号に気をつけて外します。
を、 の符号に関係なく 1 つの式で表すと?
なら 、 なら 。 で、 にはならない。
は、 のときどう外れるか?
で、 なら なので 。
のとき、 と は?
、
積と商は根号の中どうしで計算できる。
のとき、 はどう簡単にするか?
(根号の中の平方数を外に出す)
。根号の中はできるだけ小さい自然数にする。
2. 根号を含む式の加減乗除
根拠: 学習指導要領 数学Ⅰ-(1)-ア-(ア)
根号を含む式の和と差は、 を 1 つの文字のように見て、同類項をまとめるように計算します。
積は、乗法公式がそのまま使えます。
を としてよいか?
いけない。和がまとまるのは根号の中が同じときだけ
だが、。
を計算すると?
(根号が消える)
和と差の積の公式 を使う。二項の分母の有理化はこの形を作る。
を展開すると?
を落として としない。。
3. 分母の有理化
根拠: 学習指導要領 数学Ⅰ-(1)-ア-(ア)
分母に根号を含まない形に変えることを、分母の有理化といいます。
分母が有理数になると、値の見積もりや、ほかの数との足し引きがしやすくなります。
分母の有理化とは、何をすることか?
分母に根号を含まない形に変形すること
分母と分子に同じ数を掛けるので、式の値は変わらない。
分母が一項のとき、 はどう有理化するか?
分母と分子に を掛けて、
。
分母が二項のとき、 はどう有理化するか?
分母と分子に を掛けて、
分母が なら、 を掛ける。分母の符号を 1 か所変えた式を掛ける。
4. 値を使った計算
根拠: 学習指導要領 数学Ⅰ-(1)-ア-(ア)
有理化した値をそのまま代入すると計算が重くなる式があります。 と を先に求めて組み立てると、根号の計算を減らせます。
なお、 のように根号の中に根号がある二重根号は、上の を逆に見たもので、ここでは扱いません。
と の値が分かっているとき、 はどう求めるか?
に根号を含む値を直接代入するより、根号の計算が少なくて済む。
正の数 の小数部分は、どう表すか?
( の整数部分)
なので、 の整数部分は 、小数部分は 。
練習問題
問 1 を計算せよ。
方針 根号の中が違うままでは足し引きできない。根号の中の平方数を外に出して、根号の中を同じ にそろえてからまとめる。
- それぞれの根号の中を、平方数と残りの数の積に分ける。、、
- 平方数を根号の外に出す。、、
- を 1 つの文字のように見て、係数をまとめる。
- なので、答えは
ここで間違えやすい 根号の中をそのまま足し引きして としない。和と差がまとまるのは、根号の中が同じときだけ。
問 2 を計算せよ。
方針 の形なので、、 として乗法公式で展開する。根号どうしの積は、根号の中どうしを掛ける。
- 公式に当てはめる。
- 2 乗の項を計算する。、
- 真ん中の項を計算する。
- 3 つを合わせる。
ここで間違えやすい は係数の も 2 乗するので ( ではない)。また、真ん中の を落として だけにしない。
問 3 次の式の分母を有理化せよ。 (1) (2)
(1) (2)
方針 分母が二項なので、分母の符号を 1 か所変えた式を分母と分子に掛ける。和と差の積 になって、分母の根号が消える。
- (1) 分母が なので、 を分母と分子に掛ける。
- 分母を計算する。 で、
- 分母と分子の を約分する。
- (2) 分母が なので、 を分母と分子に掛ける。
- 分母を計算する。 で、
- 分母と分子の を約分する。
ここで間違えやすい 分母と同じ式((1) なら )を掛けても、分母は となって根号が残る。掛けるのは符号を変えた式。
問 4 、 のとき、 の値を求めよ。
方針 まず の分母を有理化して簡単な形にする。そのあと を直接 2 乗するのではなく、 と を求めて に入れると、根号の計算が少なくて済む。
- を有理化する。分母と分子に を掛けると、分母は になるので、
- を有理化する。分母と分子に を掛けると、分母は になるので、
- 和を求める。 が打ち消し合って、
- 積を求める。和と差の積なので、 は
- に代入する。
- なので、
確かめ: 直接 2 乗すると 、 で、足すと が消えて 。同じ値になる。
問 5 を、根号を 1 つだけ含む式で表せ。
方針 なので、まず絶対値の形に直す。そのあと中身 の符号を調べて、絶対値を外す。
- と見て、絶対値に直す。
- 中身の符号を調べる。 で より小さいので、
- 負の数の絶対値は符号を変えたものなので、
- かっこを外して、
ここで間違えやすい 2 乗と根号をそのまま打ち消して としない。これは負の数で、根号の値は負にならない。
問 6 の整数部分と小数部分を求めよ。
整数部分 、小数部分
方針 分母に根号があるままでは値の大きさが見えないので、まず有理化する。次に を整数ではさんで整数部分を決める。小数部分は「もとの数 整数部分」で表す。
- 分母と分子に を掛ける。
- 分母は になるので、約分して
- を整数ではさむ。、 で、 は と の間にあるので、
- 各辺に を加えると 。よって整数部分は
- 小数部分は、もとの数から整数部分を引く。
ここで間違えやすい 小数部分を のような近似値で答えない。根号を使えば正確に書ける。