実数と数の体系
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅰ (1) 数と式 ア (ア)「数を実数まで拡張する意義を理解し,簡単な無理数の四則計算をすること」。
0. どういうまとまりか
中学では、数を自然数・整数・有理数・無理数と段階的に広げてきました。高校ではこれを実数という 1 つの体系にまとめ、
それぞれの数の範囲で「どの計算がその範囲の中で閉じているか」を確かめます。
| 数の範囲 | どんな数か | 例 | 四則のうち、いつでもできるもの |
|---|---|---|---|
| 自然数 | 加法・乗法 | ||
| 整数 | 自然数と と負の整数 | 、 | 加法・減法・乗法 |
| 有理数 | ( は整数、)の形 | 、 | 四則(0 で割るのを除く) |
| 無理数 | 有理数でない実数 | 、 | (閉じていない) |
| 実数 | 有理数と無理数をあわせたもの | 上のすべて | 四則(0 で割るのを除く) |
分かれ目は次の 3 つ。
- 有理数を小数で表すと、有限小数か循環小数になる(循環しない無限小数は無理数)
- 既約分数が有限小数になるのは、分母の素因数が 2 と 5 だけのとき
- 絶対値は数直線上の原点からの距離( は が負なら )
1. 数の範囲の広がり
根拠: 学習指導要領 数学Ⅰ-(1)-ア-(ア)
自然数どうしの引き算は自然数になるとは限りません()。そこで整数に広げ、割り算のために有理数に広げ、
2 乗して 2 になる数のために無理数を加えて、実数になります。
ある範囲の数どうしの計算の結果が、いつでもその範囲に入るとき、その範囲は「その計算について閉じている」といいます。
自然数・整数・有理数・実数の包含関係を、記号 で表すと?
自然数 整数 有理数 実数
実数は、有理数と無理数に分かれる。無理数は整数や自然数を含まない。
実数とは、どんな数か?
有理数と無理数をあわせた数
数直線上の点で表せる数すべて。
無理数とは、どんな数か? 小数で表すとどうなるか。
実数のうち、有理数でない数。小数で表すと循環しない無限小数になる
例: 、。
自然数・整数は、四則のうちどの計算について閉じているか?
自然数は加法・乗法、整数は加法・減法・乗法
自然数は減法で閉じていない( は自然数でない)。整数は除法で閉じていない( は整数でない)。
有理数・実数は、四則について閉じているか?
閉じている(ただし 0 で割ることは除く)
有理数どうしの和・差・積・商は、どれも分数の形に表せる。
無理数は、四則について閉じているか?
閉じていない
例: 、 は、無理数どうしの計算なのに有理数になる。
2. 有理数と小数
根拠: 学習指導要領 数学Ⅰ-(1)-ア-(ア)
分数を小数に直すと、割り切れて有限小数になるか、割り切れずに同じ数字の並びがくり返す循環小数になります。
くり返す部分の最初と最後の数字の上に点を打って、、 のように書きます。
有理数を小数で表すと、どんな小数になるか?
有限小数か、循環小数
割り算の余りは から(分母 )までの有限通りしかないので、割り切れなければいつか同じ余りが出て、そこから先がくり返す。
既約分数 が有限小数になるのは、分母 がどんなときか?
の素因数が 2 と 5 だけのとき
なので、分母を の形にそろえられる。。分母に 3 や 7 などを含むと循環小数になる。
循環小数 を分数に直す手順は?
くり返しの桁数だけ 10 倍を重ね、元の式を引いて循環部分を消す
から を引いて 、。
3. 実数と数直線、絶対値
根拠: 学習指導要領 数学Ⅰ-(1)-ア-(ア)
数直線上の点には、1 つずつ実数が対応し、どの実数にも数直線上の点が 1 つずつ対応します。
この対応があるので、実数の大小は数直線の左右、差の大きさは 2 点の間の距離として読めます。
実数と数直線上の点は、どう対応しているか?
1 つの実数に 1 つの点、1 つの点に 1 つの実数が対応する(1 対 1 に対応する)
有理数だけでは数直線はうまらない。 の点のような「すき間」を無理数がうめる。
実数 の絶対値 とは何か? 場合分けで書くと?
数直線上で原点と の点との距離。 なら 、 なら
。 が負のとき は正の数になる。
数直線上の 2 点 、 の間の距離は?
( でも同じ)
大きいほうから小さいほうを引いた値。どちらが大きいか分からなくても絶対値で書ける。
練習問題
問 1 次の分数のうち、有限小数で表せるものをすべて選べ。
方針 割り算を最後までしなくても、分母を見れば判定できる。既約分数が有限小数になるのは、分母の素因数が 2 と 5 だけのとき。まず既約であることを確かめ、分母を素因数分解する。
- 4 つとも、分子と分母に 1 以外の公約数がないので既約分数である
- 分母を素因数分解する。、、、
- 素因数が 2 と 5 だけなのは と 。 は 3 を、 は 7 を含む
- よって、有限小数で表せるのは と
確かめ: 実際に 、 は割り切れ、 は 、 は と循環する。
ここで間違えやすい 判定は約分してからする。たとえば は分母に 3 を含むが、約分すると で、有限小数 になる。
問 2 次の循環小数を分数で表せ。 (1) (2)
(1) (2)
方針 循環小数を とおき、 倍や 倍して、小数点より下が同じ並びになる式を 2 つ作る。その 2 つを引くと循環部分が消えて、 の一次方程式になる。
- (1) とおく。くり返しは 2 桁なので 倍すると、
- から を引くと、小数点より下が消える。、つまり
- 両辺を で割り、 で約分する。
- (2) とおく。循環が小数第 2 位から始まるので、先に 倍して循環の始まりを小数点の直後にそろえる。
- くり返しは 1 桁なので、さらに 倍する。
- から を引くと、小数点より下が消える。、つまり
- 両辺を で割り、 で約分する。
確かめ: 、 で、元の循環小数に戻る。
ここで間違えやすい 最後の約分を忘れない。 や のままでは、まだ約分できる。
問 3 次の数を、自然数・整数・有理数・無理数に分類せよ(あてはまるものすべてに入れる)。
自然数: 整数: 有理数: 無理数:
方針 見た目で決めず、まず根号や小数を簡単な形に直す。そのあと、狭い範囲(自然数)から順に、整数・有理数に入るかを見る。自然数は整数でも有理数でもあるので、広い範囲にも重ねて入れる。
- 形を直す。、。、、、 はこのまま
- 自然数()は、 になる だけ
- 整数は、自然数に と負の整数を加えたもの。 と
- 有理数は、整数の分数で表せる数。整数の と に加えて、 と
- 無理数は、有理数でない実数。 と、根号が外れない
ここで間違えやすい 根号が付いているだけで無理数としない( は自然数)。また、 を整数だけに入れて有理数から落とさない。
問 4 次の値を求めよ。 (1) (2)
(1) (2)
方針 絶対値は、中身が 以上ならそのまま、負なら符号を変えて外す。だから先に中身を計算して(または大小を比べて)、符号を決める。
- (1) は負なので、符号を変えて
- は、先に中身を計算する。 で負なので、
- 2 つを足す。
- (2) 中身 の符号を調べる。 で より小さいので、
- 負なので符号を変えて外す。 で、かっこを外すと
ここで間違えやすい (1) で絶対値を別々に付けて としない(これは になる)。絶対値の中の計算を先にする。
問 5 数直線上の 2 点 、 の間の距離を求めよ。
方針 数直線上の 2 点 、 の間の距離は、座標の差の絶対値 。座標に負の数があっても、この式にそのまま入れればよい。
- 、 を入れる。距離は
- 中身を計算する。負の数を引くのは足すのと同じなので、
- は正なので、絶対値はそのまま
確かめ: 逆の順に引いても で、絶対値は同じ 。数直線で見ても、 から までが 、 から までが で、合わせて 。
ここで間違えやすい 符号を落として としない。原点をはさむ 2 点の距離は、それぞれの原点からの距離の和になる。