最大値と最小値
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅰ (3) 二次関数 ア (イ)「二次関数の最大値や最小値を求めること」。
0. どういうまとまりか
二次関数の最大値・最小値は、平方完成してグラフをかき、定義域の中でいちばん高い点と低い点を読むだけです。
迷うのは、軸(頂点)が定義域の中にあるか外にあるかで、読む場所が変わるところです。
| (下に凸)のとき | 最小値 | 最大値 |
|---|---|---|
| 定義域なし | 頂点 | なし |
| 軸が定義域の中 | 頂点 | 軸から遠いほうの端 |
| 軸が定義域の外 | 軸に近いほうの端 | 軸から遠いほうの端 |
(上に凸)のときは、最大と最小を入れ替えて読みます。
分かれ目は次の 3 つ。
- 最小値()の場合分けは、軸が定義域の「左・中・右」の 3 つ
- 最大値()の場合分けは、軸が定義域の「中央より左か右か」の 2 つ。両端までの距離で決まる
- 文章題や条件つきの問題では、変数のとりうる範囲(定義域)を先に決める
1. 定義域がないとき
根拠: 学習指導要領 数学Ⅰ-(3)-ア-(イ)
がすべての実数をとるとき、放物線は頂点で折り返し、反対側へはどこまでも伸びます。
そのため、頂点で最大値か最小値のどちらか一方だけをとります。
関数の定義域とは何か?
変数 のとりうる値の範囲
のとりうる値の範囲は値域。
()の最大値・最小値は?(定義域はすべての実数)
のとき最小値 、最大値はない
下に凸なので、頂点がいちばん低く、上へはいくらでも大きくなる。
()の最大値・最小値は?(定義域はすべての実数)
のとき最大値 、最小値はない
上に凸なので、頂点がいちばん高い。
2. 定義域があるとき
根拠: 学習指導要領 数学Ⅰ-(3)-ア-(イ)
定義域が決まっているときは、グラフのうち定義域に入る部分だけを見ます。
軸が定義域の中にあるか外にあるかで、最大値・最小値をとる場所が変わります。
定義域のある二次関数の最大値・最小値を求める手順は?
平方完成して軸を出す、軸と定義域の位置を比べる、グラフをかいて両端と頂点の値を読む
頂点が定義域の外なら、頂点の値は答えにならない。
の二次関数で、軸が定義域の中にあるとき、最小値はどこでとるか?
頂点
軸が定義域の外なら、軸に近いほうの端でとる。
の二次関数で、定義域が のとき、最大値はどこでとるか?
軸から遠いほうの端
軸が定義域の中でも外でも同じ。軸がちょうど中央 なら両端で等しい。
定義域が のように端を含まないとき、何に注意するか?
含まない端の値はとらないので、そこで最大・最小になるはずなら「最大値(最小値)はない」
グラフの端に白丸をかいて確かめる。
3. 文字を含む場合の場合分け
根拠: 学習指導要領 数学Ⅰ-(3)-ア-(イ)
軸や定義域が文字 を含むと、 の値によって軸と定義域の位置関係が変わります。
位置関係が変わる境目の値で場合を分けます。
の二次関数で、軸 が動き、定義域が のとき、最小値はどう場合分けするか?
、、 の 3 つ
軸が左の外なら 、中なら頂点、右の外なら で最小。
の二次関数で、軸 が動き、定義域が のとき、最大値はどう場合分けするか?
定義域の中央 と比べて、軸が左か右か( では両端で等しい)
軸が中央より左なら 、右なら で最大。
定義域が のように動くとき、場合分けは何を基準にするか?
固定された軸と、動く定義域の位置関係(最小値は軸が定義域の左・中・右のどこか、最大値は軸が定義域の中央 より左か右か。グラフが下に凸のとき)
軸が動く場合と同じ図を、定義域を動かしてかく。
4. 文章題と条件つきの問題
根拠: 学習指導要領 数学Ⅰ-(3)-ア-(イ)
長さや面積の問題は、1 つの文字で式を立てると二次関数になります。
そのとき、長さが正であることなどから、文字のとりうる範囲が決まるのを忘れないことです。
のような条件があるとき、 と の式の最大・最小はどう求めるか?
一方の文字を消して だけの二次関数にし、消した文字の条件を の定義域に直す
なら から 。
図形の長さを とおいて面積の最大値を求めるとき、式を立てる前に何を決めるか?
の定義域(すべての辺の長さが正になる範囲)
頂点が定義域の外に出ることがあるので、先に範囲を決める。
練習問題
問 1 ()の最大値と最小値を求めよ。
のとき最大値 6、 のとき最小値
方針 定義域があるときは、平方完成して対称軸を出し、軸が定義域の中にあるか外にあるかを先に見る。下に凸の放物線で軸が定義域の中にあれば、最小値は頂点、最大値は軸から遠いほうの端でとる。
- 平方完成する。 の係数 の半分は 、その 2 乗は 4 なので、
- 元の式に入れる。。軸は直線 、頂点は
- 軸と定義域の位置を比べる。軸 は定義域 の中にある。下に凸なので、頂点がいちばん低い。最小値は のとき
- 最大値は両端のどちらかでとる。軸からの距離は、左端 までが 、右端 までが 。遠いのは左端
- を元の式に入れる。。最大値は 6
- 念のため右端も入れると、 のとき 。6 のほうが大きいので、最大値は のときの 6 でよい
ここで間違えやすい 両端の値だけを比べて、「最小値は のときの 」としない。軸が定義域の中にあるときは、頂点の値 がいちばん小さい。
問 2 ()の最大値と最小値を求めよ。
のとき最大値 1、 のとき最小値
方針 平方完成して対称軸を出し、軸が定義域の中にあるか外にあるかを先に見る。軸が定義域の外にあるとき、定義域の中ではグラフは上がり続けるか下がり続けるかのどちらかなので、最大値も最小値も両端でとる。
- の項と の項を でくくる。
- かっこの中を平方完成する。 の係数 の半分は 、その 2 乗は 1 なので、
- かっこの中に戻す。
- 中かっこを外す。 にも が掛かって になるので、。軸は直線
- 軸と定義域の位置を比べる。軸 は定義域 より左にあり、定義域の外。上に凸の放物線は軸より右では右下がりなので、定義域の中では が増えると は減り続ける
- だから、左端 で最大、右端 で最小になる
- を元の式に入れる。
- を元の式に入れる。
ここで間違えやすい 頂点の 座標 3 を最大値にしない。頂点の は定義域 に入っていないので、3 という値はとらない。
問 3 ()の最小値を、 の値で場合分けして求めよ。
のとき 0、 のとき 、 のとき
方針 平方完成すると対称軸は で、 の値によって軸が左右に動く。下に凸の放物線の最小値は、軸が定義域 の「左の外・中・右の外」のどこにあるかで、とる場所が変わる。だから、この 3 つの位置関係で場合を分ける。
- 平方完成する。 の係数 の半分は 、その 2 乗は なので、。軸は直線 、頂点は
- 軸が定義域の左の外にあるとき()。定義域は全部が軸の右側にあり、そこではグラフは右上がり。いちばん低いのは左端 で、最小値は を入れた 、つまり 0
- 軸が定義域の中にあるとき()。頂点が定義域に入っているので、いちばん低いのは頂点。最小値は のときの
- 軸が定義域の右の外にあるとき()。定義域は全部が軸の左側にあり、そこではグラフは右下がり。いちばん低いのは右端 で、最小値は を入れた 、つまり
| 軸の位置 | の範囲 | 最小値をとる | 最小値 |
|---|---|---|---|
| 定義域の左の外 | (左端) | 0 | |
| 定義域の中 | (頂点) | ||
| 定義域の右の外 | (右端) |
確かめ(境目でつながるか): のとき、 は 0 で、1 つ目の場合の 0 と一致する。 のとき、 は 、 は で一致する。
ここで間違えやすい 頂点の値 をそのまま答えにしない。頂点が最小値になるのは、軸 が定義域の中にあるときだけである。
問 4 問 3 の の最大値を、 の値で場合分けして求めよ。
のとき ()、 のとき 0()、 のとき 0()
方針 下に凸の放物線は、軸から離れるほど高くなる。だから最大値は、定義域の両端のうち軸から遠いほうでとる。どちらの端が遠いかは、軸 が定義域 の中央より左にあるか右にあるかで入れ替わるので、中央を境に場合を分ける。
- 両端の値を先に出しておく。 のとき で 0、 のとき で
- 定義域の中央を求める。 なので、中央は
- 軸が中央より左にあるとき()。軸から遠いのは右端 なので、最大値は のときの
- 軸がちょうど中央にあるとき()。両端は軸から同じ距離にあり、値も等しい。 のときの値は で、 のときの 0 と同じ。最大値は のときの 0
- 軸が中央より右にあるとき()。軸から遠いのは左端 なので、最大値は のときの 0
| 軸の位置 | の範囲 | 最大値をとる | 最大値 |
|---|---|---|---|
| 中央より左 | (右端) | ||
| ちょうど中央 | (両端) | 0 | |
| 中央より右 | (左端) | 0 |
確かめ(両端の値を直接比べる): 右端の値 が左端の値 0 より大きいのは、 から 、つまり のとき。大きいほうが最大値なので、上の場合分けと同じ結論になる。
ここで間違えやすい 問 3 の最小値と同じ区切り(、、)で分けない。最大値は端でしかとらないので、軸が定義域の中か外かは関係がなく、「どちらの端が遠いか」だけで決まる。
問 5 、、 のとき、 の最大値と最小値を求めよ。
最大値 16( または )、最小値 8()
方針 文字が 2 つあるままでは最大・最小を調べられないので、条件 を使って を消し、 だけの二次関数にする。そのとき、消した の条件()を の範囲に直して、定義域を先に決める。
- 条件 を について解く。
- 定義域を決める。 に代入すると で、。 と合わせて、
- に代入する。 なので、
- の項と の項を 2 でくくる。
- かっこの中を平方完成する。 なので、
- 軸と定義域の位置を比べる。軸 は定義域 の中にあり、しかもちょうど中央。下に凸で軸が定義域の中にあるので、最小値は頂点でとる。 のとき最小値 8 で、このとき
- 最大値は軸から遠いほうの端でとるが、軸が中央にあるので両端は同じ距離にあり、値も等しい。 のとき で、このとき
- のときも で、このとき 。最大値は 16
ここで間違えやすい 定義域を決めずに平方完成だけすると、「最小値 8、最大値はない」としてしまう。 から が出るので、 の動く範囲は限られている。
問 6 まっすぐな壁を 1 辺に使い、残りの 3 辺を長さ 24 m の柵で囲んで長方形の花壇を作る。花壇の面積の最大値と、そのときの辺の長さを求めよ。
壁に垂直な辺 6 m、壁に平行な辺 12 m のとき、最大値 72 m²
方針 辺の長さを 1 つ とおくと、もう 1 つの辺は柵の長さから決まり、面積は の二次関数になる。式を立てたら、辺の長さが正になる条件から の定義域を先に決め、その範囲の中で最大値を読む。
- 壁に垂直な辺を m とおく。柵を使うのは、壁に垂直な辺 2 本と、壁に平行な辺 1 本。柵は全部で 24 m なので、壁に平行な辺は m
- 定義域を決める。辺の長さは正なので、 かつ 。2 つ目の式から 、。合わせて、
- 面積を m² とすると、
- でくくる。
- かっこの中を平方完成する。 の係数 の半分は 、その 2 乗は 36 なので、
- かっこの中に戻して外す。 にも が掛かって になり、
- 軸と定義域の位置を比べる。軸 は定義域 の中にある。上に凸なので、頂点がいちばん高い。 のとき最大値 72
- このとき、壁に平行な辺は m
確かめ: 壁に垂直な辺 6 m、壁に平行な辺 12 m の長方形の面積は m² で、柵の長さは m。
ここで間違えやすい 壁に平行な辺を としない。壁に垂直な辺は左右に 2 本あるので、柵から引くのは である。