みならいノート

数学Ⅰ 2027年度版

命題の証明

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このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

学習指導要領 数学Ⅰ (1) 数と式 ア (イ)「集合と命題に関する基本的な概念を理解すること」。

0. どういうまとまりか

命題 から、仮定と結論を入れかえたり否定したりして、3 つの命題が作れます。
このうち対偶は元の命題と真偽が必ず一致するので、元の命題を直接示しにくいときに、対偶を示して代わりにできます。

名前 形 元の命題との真偽
元の命題
逆 一致するとは限らない
裏 一致するとは限らない
対偶 必ず一致する

分かれ目は次の 3 つ。

1. 逆・裏・対偶

根拠: 学習指導要領 数学Ⅰ-(1)-ア-(イ)

逆・裏・対偶は、仮定と結論の「入れかえ」と「否定」の組み合わせです。
対偶は、入れかえと否定を両方おこなったものです。

命題 の逆・裏・対偶は?

逆:  裏:  対偶:

逆は入れかえ、裏は否定、対偶は入れかえて否定。

命題とその対偶の真偽の関係は? 集合で見た理由は?

真偽は必ず一致する。 と は同じことを表すから

が に含まれるなら、 の外側は の外側に含まれる。

命題の逆と裏の真偽の関係は?

必ず一致する(逆と裏は、たがいに対偶の関係にある)

逆 の対偶は 、つまり裏。

元の命題が真なら、その逆も真といえるか?

いえない(真とは限らない)

「」は真だが、逆「」は が反例で偽。

2. 対偶を利用した証明

根拠: 学習指導要領 数学Ⅰ-(1)-ア-(イ)

「 が偶数ならば は偶数」を直接示そうとすると、 の形から を取り出すのに困ります。
対偶「 が奇数ならば は奇数」なら、 とおいて計算するだけで示せます。

対偶を利用した証明とは、どういう証明か? どんなときに使うか?

元の命題の代わりに対偶 を証明し、元の命題が真だと結論する。仮定や結論が「〜でない」の形のときや、元の向きで式が扱いにくいときに使う

命題と対偶は真偽が一致するから、この証明が成り立つ。

「整数 について、 が偶数ならば は偶数」を対偶で示すとき、何を証明するか?

「 が奇数ならば は奇数」

( は整数)とおくと、 で奇数。

3. 背理法

根拠: 学習指導要領 数学Ⅰ-(1)-ア-(イ)

背理法は、「結論が成り立たない」と仮定して議論を進め、矛盾が出ることから、仮定が誤り、つまり結論が成り立つと示す方法です。
「無理数である」は「有理数でない」という否定の形の性質なので、背理法がよく使われます。

背理法とは、どんな証明の方法か?

結論が成り立たないと仮定して矛盾を導き、それによって結論が成り立つと示す方法

矛盾の相手は、仮定・定義・すでに知っている事実のどれでもよい。

対偶を利用した証明と背理法の違いは?

対偶の証明は から を導く。背理法は「 かつ 」から、何らかの矛盾を導く

背理法は、矛盾の相手が の否定でなくてよい。そのぶん使える場面が広い。

「 は無理数である」を背理法で示すとき、最初に何と仮定するか?

は有理数である、つまり ( は互いに素な自然数)と表せると仮定する

「互いに素」(1 以外の公約数をもたない)と置くのが、あとで矛盾を出す鍵になる。

( は互いに素)と仮定したあと、どんな矛盾が出るか?

も も偶数になり、互いに素であることに矛盾する

から が偶数、よって が偶数。 を代入して 、よって も偶数。

が有理数で、 の値が になるとき、 はどうなるか?( は無理数とする)

かつ

と仮定すると で、右辺は有理数になり矛盾(背理法)。よって 、そこから 。

練習問題

問 1 命題「」( は実数)の逆・裏・対偶を書き、それぞれの真偽を答えよ。

逆「」偽 裏「」偽 対偶「」真

方針 仮定 を「」、結論 を「」として、逆は入れかえ、裏は両方を否定、対偶は入れかえて否定して作る。真偽は「元の命題と対偶」「逆と裏」がそれぞれ一致するので、2 つ調べれば 4 つとも決まる。

  1. 否定を用意する。「」の否定は「」、「」の否定は「」
  2. 3 つの命題を作る。逆は「」、裏は「」、対偶は「」
  3. 元の命題の真偽を調べる。 なら で が成り立つので真。対偶は元の命題と真偽が一致するので、対偶も真
  4. 逆の真偽を調べる。 を満たすのは と で、 は を満たさない。反例があるので偽
  5. 裏は逆の対偶なので、逆と同じく偽。実際、 は を満たすが、 で を満たさない

ここで間違えやすい 元の命題が真でも、逆と裏は真とは限らない。逆と裏は、元の命題とは別に調べる。

問 2 整数 について、「 が奇数ならば は奇数」を証明せよ。

対偶「 が偶数ならば は偶数」を示す。

方針 仮定の「 が奇数」からは、 そのものを式で表しにくい。対偶にすると「 が偶数」から始められ、 とおいて を計算するだけになる。

  1. 対偶を作る。「 は奇数」の否定は「 は偶数」、「 は奇数」の否定は「 は偶数」なので、対偶は「 が偶数ならば は偶数」
  2. が偶数のとき、整数 を使って とおける
  3. 2 乗する。
  4. (整数)の形にする。 で、 は整数なので、 は偶数
  5. 対偶が真なので、元の命題も真

ここで間違えやすい 最後に「対偶が真なので、元の命題も真」と書いて終える。対偶を示しただけで止めると、元の命題の証明になっていない。

問 3 実数 について、「 ならば または 」を証明せよ。

対偶「 かつ ならば 」を示す。

方針 結論が「または」なので、そのまま示そうとすると場合分けが要る。対偶にすると、結論の「または」の否定が「かつ」になり、仮定が 2 つそろうので、辺ごとに加えるだけで示せる。

  1. 結論を否定する。「 または 」の否定は、「または」が「かつ」に変わって、「 かつ 」
  2. 仮定を否定する。「」の否定は「」。よって対偶は「 かつ ならば 」
  3. 対偶を示す。 と を辺ごとに加えると、
  4. 右辺を計算して、。対偶が成り立つ
  5. 対偶が真なので、元の命題も真

ここで間違えやすい 否定するときに「または」をそのままにしない。また、 の否定は ではなく (等号が入る)。

問 4  が無理数であることを用いて、 が無理数であることを証明せよ。

背理法で示す。

方針 「無理数である」は「有理数でない」という否定の形なので、直接は示しにくい。そこで有理数だと仮定し、使ってよい事実「 は無理数」と食い違うことを導く。そのために、式を の形に直す。

  1. 結論を否定して仮定する。 が有理数であると仮定し、( は有理数)とおく
  2. を移項して、 について解く。
  3. 右辺を調べる。 も も有理数で、有理数から有理数を引いた数は有理数なので、 は有理数
  4. すると左辺の も有理数ということになり、 が無理数であることに矛盾する
  5. 矛盾が出たので、最初の仮定が誤り。よって は無理数

ここで間違えやすい 「有理数と無理数を足すと無理数だから」とだけ書くと、示したいことをそのまま使っていて証明にならない。有理数が四則で閉じていることを使って、矛盾を出す。

問 5  が無理数であることを、背理法で証明せよ。ただし「整数 について、 が偶数ならば は偶数」は用いてよい。

解答例

方針 有理数だと仮定して、分数 とおく。このとき、これ以上約分できない形( は互いに素)にしておくのが鍵で、あとで も も偶数になることを導いて、これと矛盾させる。

  1. 結論を否定して仮定する。 が有理数であると仮定すると、互いに素な自然数 を用いて と表せる
  2. 根号を消すために、両辺を 2 乗する。
  3. 両辺に を掛けて分母を払う。
  4. 右辺は (整数)で偶数なので、 は偶数。用いてよい事実から、 も偶数
  5. は偶数なので、( は自然数)とおける。3 の式に代入すると、、つまり
  6. 両辺を で割る。。右辺は偶数なので は偶数で、4 と同じ理由から も偶数
  7. がともに偶数なので、公約数 をもつ。これは が互いに素であることに矛盾する
  8. 矛盾が出たので、最初の仮定が誤り。よって は無理数である

ここで間違えやすい 1 で「互いに素」と断っておかないと、 がともに偶数になっても矛盾にならない(約分すればよいだけになる)。

問 6  が有理数で、 が成り立つとき、 の値を求めよ。

方針 有理数の部分と の付いた部分が混じった等式なので、「 が有理数で の値が ならば 」を使い、2 つの部分を別々に とおく。この事実は が有理数のときだけ使えるので、先にそれを確かめる。

  1. 式を の形と見比べる。 にあたるのは 、 にあたるのは
  2. は有理数なので、有理数どうしの差 と和 も有理数。上の事実が使える
  3. から、。よって
  4. から、。よって

確かめ: を入れると、、 なので、左辺は で になる。

ここで間違えやすい 「有理数」の条件がなければ、答えは 1 組に決まらない。たとえば も、 となって等式を満たす。

このノートの 11 問を、暗記カードで復習できます

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答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

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