みならいノート

数学Ⅰ 2027年度版

データの変換と外れ値

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このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

学習指導要領 数学Ⅰ (4) データの分析 ア (イ)「コンピュータなどの情報機器を用いるなどして,データを表やグラフに整理したり,分散や標準偏差などの基本的な統計量を求めたりすること」と、
(ア)「分散,標準偏差,散布図及び相関係数の意味やその用い方を理解すること」。

0. どういうまとまりか

データの値をすべて何倍かしたり、一定の数を足したりすると、統計量がどう変わるかを学びます。
単位を換える(cm から mm、摂氏から華氏)ときや、大きな数を小さな数に直して計算を楽にするときに使います。
あわせて、ほかの値から極端に離れた外れ値が統計量に与える影響を見ます。

としたとき 変わり方
平均値
分散 ( は関係ない)
標準偏差 ( は関係ない)
相関係数 なら変わらない、 なら符号だけ変わる

分かれ目は次の 3 つ。

1. データを表やグラフに整理する

根拠: 学習指導要領 数学Ⅰ-(4)-ア-(イ)

データは目的に合わせて表やグラフに整理します。個数の多いデータは、コンピュータ(表計算ソフトなど)で統計量を求めたりグラフを描いたりします。
2 つの変量の組は、散布図のほかに、相関表(2 つの変量の度数分布表)にまとめることもできます。

次の目的に合う表・グラフは何か?
① 1 つの変量の分布の形を見る ② いくつかの集団の分布を並べて比べる ③ 2 つの変量の関係を見る

① ヒストグラム(度数分布表) ② 箱ひげ図 ③ 散布図(相関表)

相関表とは何か?

2 つの変量の値の組を、縦と横に階級をとって度数でまとめた表

2 つの変量の度数分布表。散布図の点を、区画ごとに数えたものにあたる。

2. 変量の変換

根拠: 学習指導要領 数学Ⅰ-(4)-ア-(イ)

変量 の各値を 倍して を足した を考えます。
偏差は となり、 が消えて 倍だけが残ります。分散は偏差の 2 乗の平均なので 倍になります。

変量を と変換したとき、平均値 は?

平均値も、各値と同じように 倍して を足せばよい。

変量を と変換したとき、分散と標準偏差はそれぞれ何倍になるか?

分散は 倍、標準偏差は 倍

偏差が 倍になるので、偏差の 2 乗は 倍。標準偏差は負にならないので 倍。

すべての値に同じ数 を足すと、分散・標準偏差はどうなるか?

変わらない

全体が同じだけずれるだけで、平均値からの離れ具合(偏差)は変わらない。

を と変換して計算するのは何のためか? また、 の平均値と分散は からどう戻すか?

大きな数や小数を扱いやすい小さな整数に直して、計算を楽にするため

、。 には平均値に近いきりのよい数(仮の平均)を選ぶ。

をそれぞれ 、 と変換したとき、共分散と相関係数はどうなるか?

共分散は 倍。相関係数は なら変わらず、 なら符号だけ変わる

で、大きさは約分されて符号だけが残る。

3. 外れ値

根拠: 学習指導要領 数学Ⅰ-(4)-ア-(ア)

ほかの値から極端に離れた値を外れ値といいます。どこからを外れ値とするかは決まっていませんが、
四分位範囲を使った次の基準がよく使われます。

外れ値は平均値・分散・標準偏差を大きく動かしますが、中央値・四分位範囲はほとんど動かしません。

外れ値とは何か?

データの中で、ほかの値から極端に離れた値

測り間違いのこともあれば、本当に珍しい値のこともある。

四分位範囲を使った外れ値の基準の一例は?

第 1 四分位数 − 1.5 × 四分位範囲 より小さい値、または第 3 四分位数 + 1.5 × 四分位範囲 より大きい値

基準はこれに限らない。どの基準を使ったかを明らかにする。

外れ値の影響を大きく受ける統計量と、受けにくい統計量は?

受けやすい:平均値・分散・標準偏差・範囲
受けにくい:中央値・四分位数・四分位範囲

分散は偏差を 2 乗するので、離れた値ほど強く効く。

外れ値が見つかったら、すぐに取り除いてよいか?

よくない。なぜ外れたのか(記録の誤りか、本当の値か)を調べてから扱いを決める

本当の値なら、それ自体がデータの大事な特徴のことがある。

箱ひげ図で外れ値を表すときは、どう描くことが多いか?

外れ値を点(○ など)で別に示し、ひげは外れ値を除いた最大値・最小値までにする

練習問題

問 1 変量 の平均値が 50、分散が 16 である。 としたとき、 の平均値・分散・標準偏差を求めよ。

平均値 130、分散 144、標準偏差 12

方針  は の形(、)なので、変換の公式を使う。平均値は同じ式で移り、分散は 倍になる。足した数 は散らばりに関係しない。

  1. 平均値は、 の平均値を同じ式に入れる。
  2. 分散は 倍になる。
  3. 標準偏差は分散の正の平方根なので、

確かめ: の標準偏差は 。標準偏差は 3 倍になるから で、一致する。

ここで間違えやすい 分散を 3 倍()にしない。また、分散や標準偏差から 20 を引かない。

問 2 ある町の 1 か月の最高気温(摂氏)は、平均値 20、標準偏差 5 だった。華氏 は摂氏 から で求まる。華氏での平均値・標準偏差・分散を求めよ。

平均値 68、標準偏差 9、分散 81

方針  は の形(、)。平均値は同じ式で移り、標準偏差は 倍になる。標準偏差が与えられているので、先に標準偏差を出し、それを 2 乗して分散にする。

  1. 平均値は、摂氏の平均値を同じ式に入れる。
  2. 標準偏差は 倍になる。。足した 32 は散らばりに関係しない。
  3. 分散は標準偏差の 2 乗なので、

確かめ:摂氏での分散は 。分散は 倍になるから で、一致する。

ここで間違えやすい 標準偏差に 32 を足して 41 としない。

問 3 5 人の身長(cm)が 172, 176, 178, 180, 184 である。 と変換して、身長の平均値と分散・標準偏差を求めよ。

平均値 178 cm、分散 16、標準偏差 4 cm

方針 大きい数のまま計算せず、 という小さな整数に直してから平均値と分散を求め、最後に に戻す。 を について解くと なので、戻すときは 、 の変換の公式を使う。

  1. 各値を に直す。たとえば 172 は 。ほかも同じようにして、 は (下の表)。
  2. の合計は なので、 の平均値は
  3. 平均値が 0 なので、 の偏差は そのもの。 の分散は
  4. なので、身長の平均値は
  5. 分散は 倍になるので、
  6. 標準偏差は分散の正の平方根なので、
172 176 178 180 184 合計

ここで間違えやすい 戻すとき、分散には 178 を足さない。また、分散は 2 倍ではなく 倍。

問 4 変量 の相関係数が である。次の 2 つの変量の相関係数を求めよ。
(1) と  (2) と

(1)  (2)

方針 相関係数は、変量に数を掛けたり足したりしても大きさが変わらない。変わりうるのは符号だけで、2 つの変量に掛けた数の積が正なら同じ符号、負なら逆の符号になる。足した数は関係ないので、掛けた数だけを見る。

  1. (1) は に 3 を掛けている。 はそのままなので、掛けた数は 1 とみる。
  2. 掛けた数の積は で正。相関係数は変わらず
  3. (2) は に を、 は に を掛けている。
  4. 掛けた数の積は で負。符号だけが変わって

ここで間違えやすい (2) で、積がたまたま だから になるのではない。積が でも でも、答えは 。大きさは標準偏差で割るときに約分されて、いつも変わらない。

問 5 データ 12, 15, 16, 18, 19, 20, 21, 23, 24, 45 について、四分位範囲を求め、「第 1 四分位数 − 1.5 × 四分位範囲 より小さいか、第 3 四分位数 + 1.5 × 四分位範囲 より大きい」という基準で外れ値を答えよ。

四分位範囲 7。外れ値は 45

方針 四分位数は、小さい順に並べたデータを前半と後半に分け、それぞれの中央値をとる。四分位範囲が出たら、基準の 2 つの境目を計算して、その外側にある値を探す。

  1. データは小さい順に並んでいて 10 個。前半の 5 個は 12, 15, 16, 18, 19、後半の 5 個は 20, 21, 23, 24, 45
  2. 前半の中央値(3 番目)は 16。これが第 1 四分位数。
  3. 後半の中央値(3 番目)は 23。これが第 3 四分位数。
  4. 四分位範囲は
  5. 下の境目は 。5.5 より小さい値はない(最小値は 12)。
  6. 上の境目は 。33.5 より大きい値は 45 だけ。
  7. よって、外れ値は 45

問 6 問 5 のデータから外れ値 45 を除くと、平均値・中央値・分散はそれぞれどう変わるか。

平均値 21.3 から (約 18.7)に、中央値 19.5 から 19 に、分散 74.41 から (約 13.3)に変わる

方針 10 個のときと、45 を除いた 9 個のときとで、平均値・中央値・分散をそれぞれ求めて並べる。平均値が整数にならないので、分散は「2 乗の平均値 − 平均値の 2 乗」で求める。9 個のほうの合計は、10 個の合計から 45 の分を引けば済む。

  1. 10 個の合計は なので、平均値は
  2. 10 個の中央値は、5 番目と 6 番目の平均で
  3. 10 個の 2 乗の合計は なので、2 乗の平均値は
  4. 10 個の分散は
  5. 45 を除くと、合計は なので、平均値は
  6. 9 個の中央値は、5 番目の値で 19
  7. 9 個の 2 乗の合計は なので、2 乗の平均値は
  8. 平均値の 2 乗は なので、9 個の分散は
10 個 45 を除いた 9 個
平均値
中央値
分散

中央値はわずかしか動かないが、平均値は大きく、分散は 5 分の 1 以下に下がる。

ここで間違えやすい 9 個にしたら、割る数も 9 に変える。中央値の位置も変わる(10 個は 5・6 番目の平均、9 個は 5 番目)。

このノートの 12 問を、暗記カードで復習できます

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答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

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