みならいノート

数学Ⅰ 2027年度版

仮説検定の考え方

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このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

学習指導要領 数学Ⅰ (4) データの分析 ア (ウ)「具体的な事象において仮説検定の考え方を理解すること」。

0. どういうまとまりか

「このコインは表が出やすい」「新しい商品のほうが好まれている」といった主張を、データを根拠にして判断する方法を学びます。
考え方の流れは次のとおりです。

段階 すること
① 仮説を立てる 主張と反対の「たまたまそうなっただけ」という仮説を立てる(例:コインは公正で、表と裏が同じ確率で出る)
② 確率を調べる その仮説が正しいとして、観測された結果(またはそれより極端な結果)が起こる確率を、実験やシミュレーションで調べる
③ 基準と比べる 確率が基準(5% など)以下なら「めったに起こらないことが起きた」として仮説を否定し、主張が正しいと判断する

分かれ目は次の 3 つ。

1. 仮説検定とは

根拠: 学習指導要領 数学Ⅰ-(4)-ア-(ウ)

コインを 10 回投げて表が 9 回出たとき、このコインは表が出やすいと言ってよいでしょうか。
公正なコインでも、たまたま 9 回出ることはあり得ます。そこで「コインは公正だ」という仮説のもとで、
表が 9 回以上出ることがどれくらい起こりにくいかを調べ、それで判断します。このような方法を仮説検定といいます。

仮説検定とはどんな方法か?

ある仮説が正しいとしたとき、観測された結果がどれくらい起こりにくいか(確率)を調べ、その仮説が正しいかを判断する方法

確率が小さければ、その仮説は正しくなかったと考える。

「このコインは表が出やすい」と主張したいとき、仮説検定で正しいと仮定して確率を調べる仮説は何か?

「このコインは公正である(表と裏が同じ確率で出る)」

主張したいことの反対の仮説を立て、それが否定できるかを見る。

仮説検定で、「起こりにくい」かどうかを判断する基準の確率として、よく使われる値は?

5%(0.05)。より厳しく判断するときは 1%(0.01)

基準は判断する前に決めておく。結果を見てから都合よく変えない。

仮説のもとで調べた確率が基準以下だったとき、どう判断するか?

仮説は正しくなかった(否定される)と判断し、主張が正しいと考える

「仮説が正しいなら、めったに起こらないことが起きた」と考えるより、仮説のほうが誤っていたと考えるほうが自然だから。

2. 実験やシミュレーションで確率を見積もる

根拠: 学習指導要領 数学Ⅰ-(4)-ア-(ウ)

仮説のもとでの確率は、公正なコインを実際に何度も投げたり、コンピュータで乱数を使って投げるまねをしたりして
(シミュレーション)、結果の相対度数から見積もります。

次の表は、公正なコインを 10 回投げることを 1000 セットくり返した実験の結果の一例です。

表の回数 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
度数 2 9 45 118 203 248 207 114 43 10 1

表が 9 回以上出たのは セットで、相対度数は 。約 1.1% です。

仮説のもとでの確率を、実験やシミュレーションで見積もるにはどうするか?

仮説どおりの状況で何度もくり返し、その結果が起こった相対度数を確率とみなす

くり返す回数が多いほど、相対度数は確率に近づく。

コインを 10 回投げて表が 9 回出たとき、仮説検定で調べる確率は「ちょうど 9 回」の確率か?

「9 回以上」(9 回または 10 回)の確率

観測された結果と、それより極端な結果をまとめて「このくらい偏ることが起こる確率」とする。

3. 判断の言い方

根拠: 学習指導要領 数学Ⅰ-(4)-ア-(ウ)

確率が基準より大きいときは、「たまたま起きた」と考えても不自然ではありません。
このとき仮説は否定できませんが、仮説が正しいと証明されたわけでもありません。言い方を区別します。

仮説のもとでの確率が基準より大きかったとき、どう判断するか?

仮説は否定できない。主張が正しいとは言えない

仮説が正しいと示されたわけではない。判断を保留する、と考える。

「主張が正しいとは言えない」と「主張は誤りだと言える」は同じ意味か?

同じではない

前者は「データからは判断できない」ということ。データを増やせば、正しいと判断できるようになることもある。

仮説検定で「仮説は正しくない」と判断したとき、その判断が誤っている可能性はあるか?

ある

仮説が正しくても、基準以下の確率のことはたまたま起こる。基準 5% なら、仮説が正しいのに否定してしまう確率が最大で 5% ある。

同じデータでも、判断の基準を 5% から 1% に変えると結論が変わることはあるか?

ある

確率が 1% より大きく 5% 以下なら、5% の基準では仮説を否定でき、1% の基準では否定できない。

練習問題

問 1 あるコインを 10 回投げたら表が 9 回出た。2 の節の実験結果を使い、基準を 5% として「このコインは表が出やすい」と判断できるか答えよ。

判断できる

方針 主張「表が出やすい」の反対の仮説「コインは公正である」を立てる。その仮説のもとで「表が 9 回以上出る」ことがどれくらい起こるかを、実験結果の相対度数で見積もり、基準の 5% と比べる。

  1. 仮説は「コインは公正である(表と裏が同じ確率で出る)」。
  2. 2 の節の表から、表が 9 回以上(9 回または 10 回)出たのは セット。
  3. 相対度数は で、約 1.1%
  4. 1.1% は基準の 5% 以下なので、「公正なコインでは、めったに起こらないことが起きた」ことになり、仮説は否定される。
  5. よって、このコインは表が出やすいと判断できる。

ここで間違えやすい 数えるのは「ちょうど 9 回」の 10 セットではなく、「9 回以上」の 11 セット。

問 2 別のコインを 10 回投げたら表が 8 回出た。同じ実験結果を使い、基準を 5% として判断せよ。

表が出やすいとは言えない

方針 問 1 と同じく、仮説「コインは公正である」のもとで、今度は「表が 8 回以上出る」相対度数を表から求め、基準の 5% と比べる。

  1. 仮説は「コインは公正である」。
  2. 表から、表が 8 回以上(8 回・9 回・10 回)出たのは セット。
  3. 相対度数は で、約 5.4%
  4. 5.4% は基準の 5% より大きいので、「公正なコインでもたまたま起こりうる」と考えられ、仮説は否定できない。
  5. よって、表が出やすいとは言えない。

ここで間違えやすい 「公正なコインだ」と言えたわけではない。仮説を否定できなかっただけで、判断は保留になる。

問 3 問 1 で、基準を 1% にしていたら判断はどうなるか。

表が出やすいとは言えない

方針 データも仮説も問 1 と同じなので、仮説のもとでの相対度数(約 1.1%)は変わらない。変わるのは比べる相手の基準だけなので、1.1% と 1% の大小を比べ直す。

  1. 問 1 から、公正なコインで表が 9 回以上出る相対度数は で、約 1.1%
  2. 基準の 1% は 。 なので、相対度数は基準より大きい。
  3. 基準以下ではないので、仮説「コインは公正である」は否定できない。
  4. よって、表が出やすいとは言えない。

基準を厳しくすると、同じデータでも結論が変わる例。だから基準は、結果を見る前に決めておく。

問 4 新しい飲み物 A と今までの飲み物 B を 20 人に飲み比べてもらったところ、15 人が A のほうがおいしいと答えた。
「どちらを選ぶかは五分五分」という仮説のもとで、公正なコインを 20 回投げることを 1000 セットくり返すと、表が 15 回以上出たのは 21 セットだった。
基準を 5% として、「A のほうがおいしいと感じる人が多い」と判断できるか。

判断できる

方針 主張「A のほうがおいしいと感じる人が多い」の反対の仮説は「どちらを選ぶかは五分五分」。五分五分なら、1 人が A を選ぶことは公正なコインで表が出ることと同じなので、「20 人中 15 人以上が A」を「20 回中 15 回以上が表」に置きかえて、その相対度数を基準と比べる。

  1. 仮説は「どちらを選ぶかは五分五分」。
  2. この仮説のもとで、20 人中 15 人以上が A を選ぶ確率を、コインの実験の相対度数で見積もる。表が 15 回以上出たのは 1000 セット中 21 セットなので、 で、約 2.1%
  3. 2.1% は基準の 5% 以下なので、「五分五分なら、めったに起こらないことが起きた」ことになり、仮説は否定される。
  4. よって、A のほうがおいしいと感じる人が多いと判断できる。

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答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

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