資源・エネルギー問題
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「政治・経済」B (2) アが探究の課題として挙げる「地球環境と資源・エネルギー問題」のうち、資源・エネルギー問題の側。
資源を誰が持ち、誰が決めるのかという国際政治の問題と、どのエネルギーでどれだけ電気をつくるかという経済と環境の問題が重なっています。
地球温暖化の条約は 地球環境問題 で扱います。
0. 何を押さえるか
エネルギー源には、それぞれ長所と短所があり、どれか一つで全てを満たすものはありません。どの組み合わせを選ぶかは、
安定して手に入るか(安定供給)・費用・環境への負荷・安全性をどう重みづけるかによって変わり、国や時代によって答えが割れます。
| エネルギー源 | 長所として挙げられる点 | 短所・課題として挙げられる点 |
|---|---|---|
| 化石燃料(石油・石炭・天然ガス) | 出力を調整しやすく、大量に安定して使える | 燃やすと二酸化炭素を出す。埋蔵量に限りがあり、産出が特定の地域に偏る |
| 原子力 | 発電時に二酸化炭素をほとんど出さない。少ない燃料で大きな電力 | 事故が起きたときの被害。高レベル放射性廃棄物の最終処分 |
| 再生可能エネルギー(太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス) | 枯渇せず、発電時に二酸化炭素をほとんど出さない。国内で調達できる | 天候などで出力が変動するもの(太陽光・風力)がある。立地の制約・費用 |
日本の電源構成(発電量に占めるそれぞれの割合)は年ごとに動き、国のエネルギー基本計画もおおむね 3 年ごとに見直されるので、カードの答えにしていません。
原子力発電をどこまで使うべきかも評価の割れる問題なので、カードでは論点を並べるところまでにしています。
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 第 1 次石油危機(1973 年)は第 4 次中東戦争、第 2 次石油危機(1979 年)はイラン革命がきっかけ
- OPEC は産油国の機構(石油輸出国機構)。先進国の側で石油危機を受けて作られたのは国際エネルギー機関(IEA)
- 固定価格買取制度(FIT)は決まった価格で買い取る。FIPは市場価格に上乗せ(プレミアム)を付ける
1. 資源ナショナリズムと石油危機
根拠: 学習指導要領 政治・経済-B-(2)-ア
第二次世界大戦後もしばらく、途上国の石油などの資源は、先進国の大企業(石油ではメジャーと呼ばれた国際石油資本)が開発・販売を握っていました。
独立した途上国は、自国の資源を自国の発展のために使う権利を主張するようになります。
発展途上国が、自国の天然資源を自国のものとして管理し、その開発や利益を自国の発展に役立てようとする動きを何という?
資源ナショナリズム
先進国の企業が握っていた資源の開発・価格の決定を、産出国の手に取り戻そうとした。
1962 年に国連総会が決議した、国家が自国の天然資源を自由に処分・利用できるとする原則を何という?
天然資源に対する恒久主権
資源ナショナリズムを国際的に裏づける原則で、1974 年の新国際経済秩序(NIEO)樹立宣言にも盛り込まれた。
1960 年に産油国が結成し、原油の生産や価格について産油国の立場を強めた組織は?
石油輸出国機構(OPEC)
アラブの産油国によるアラブ石油輸出国機構(OAPEC)とは別の組織。
1973 年の第 1 次石油危機は、何をきっかけに起きたか?
第 4 次中東戦争(アラブ産油国がイスラエルを支持する国への石油の輸出を制限し、OPEC が原油価格を大幅に引き上げた)
石油に頼っていた先進国は、物価の急上昇と不況に同時に見舞われた。日本では高度経済成長が終わるきっかけになった。
1979 年の第 2 次石油危機のきっかけとなった出来事は?
イラン革命
イランの原油の生産・輸出が落ち込み、原油価格が再び大きく上がった。
2. 化石燃料と再生可能エネルギー
根拠: 学習指導要領 政治・経済-B-(2)-ア
化石燃料は、埋蔵量に限りがあることと、燃やすと温室効果ガスを出すことの 2 つの点で、持続可能性が問われています。
これに代わるものとして、使っても尽きない再生可能エネルギーの導入が進められています。
再生可能エネルギーとは、どのような性質を持つエネルギーか?
自然界に常に存在し、使っても枯渇せず繰り返し使えるエネルギー(太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなど)
発電するときに二酸化炭素をほとんど出さない点でも、化石燃料と違う。
再生可能エネルギーでつくった電気を、国が定めた価格で一定期間、電力会社が買い取ることを義務づけた制度を何という?
固定価格買取制度(FIT)
日本では 2012 年 7 月に始まった。買取りの費用の一部は、電気の利用者が払う賦課金でまかなわれる。2022 年からは、市場価格に一定の上乗せ(プレミアム)を付ける FIP 制度も導入された。
太陽光や風力による発電が、電力を安定して送るうえで課題とされるのはなぜか?
天候や時間帯によって発電量が変動し、人が出力を調整しにくいから
電気は、つくる量と使う量を常に一致させる必要がある。蓄電池の活用や、地域をまたいで電気を融通する送電網の強化が対策とされる。
2000 年代後半からアメリカで、地下深くの岩盤層にある天然ガスや原油を掘り出す技術が進み、生産が大きく増えたことを何という?
シェール革命
アメリカは天然ガス・原油の世界有数の生産国となり、エネルギーの輸入国から輸出国へと変わった。資源の産出地の偏りという構図にも影響を与えた。
3. 原子力をめぐる論点
根拠: 学習指導要領 政治・経済-B-(2)-ア
2011 年 3 月の東日本大震災で、東京電力福島第一原子力発電所の事故が起き、原子力の安全をどう確保するかが改めて問われました。
原子力を今後どれだけ使うかは評価の割れる問題で、ここでは事故後にできたしくみと、議論で挙げられる論点を押さえます。
福島第一原子力発電所の事故の後、2012 年に、原子力の安全規制を推進する側の官庁から切り離して一元的に担うために設けられた組織は?
原子力規制委員会
環境省の外局として、独立性の高い委員会の形をとる。原子力発電所の再稼働には、この委員会が定めた新しい規制基準に適合していると認められることが要る。
原子力発電を利用する立場と慎重な立場で、それぞれ主に挙げられる論点は?
利用する側: 発電時に二酸化炭素をほとんど出さず、燃料が少なくて済み、安定して発電できる。慎重な側: 事故が起きたときの被害が大きく、放射性廃棄物の処分の問題が解決していない
どちらを重く見るかで結論が分かれる。どの組み合わせで電気をつくるか(エネルギーミックス)の議論の中で考える問題である。
原子力発電で使い終わった燃料を再処理した後に残る、放射能のきわめて強い廃液を固めたものを何といい、何が未解決の課題とされているか?
高レベル放射性廃棄物。最終処分場(地下深くに埋める場所)が決まっていないこと(2026 年時点)
放射能が十分に弱まるまで非常に長い期間がかかるため、地下深くの地層に処分する方針がとられているが、場所の選定が進んでいない。