地球環境問題
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「政治・経済」B (2) アが探究の課題として挙げる「地球環境と資源・エネルギー問題」のうち、地球環境の側。
内容の取扱いは、国際連合における持続可能な開発のための取組も扱うよう求めています。
京都議定書とパリ協定の中身は、2026-09-27 に環境省の「京都議定書の要点」「パリ協定の概要」と突き合わせました。
0. 何を押さえるか
地球環境の問題(地球温暖化・オゾン層の破壊・生物多様性の減少・有害廃棄物の越境移動など)は、原因も被害も国境を越えるので、
一国の法律では片づかず、条約で国どうしが約束を結んで取り組みます。その土台にある考え方が、環境を守ることと開発を進めることを
両立させる持続可能な開発です。
気候変動では、条約(枠組み)の下に、具体的な約束を定める議定書・協定を置く形をとっています。
| 京都議定書 | パリ協定 | |
|---|---|---|
| 採択 | 1997 年(COP3・京都) | 2015 年(COP21・パリ) |
| 削減の約束を負う国 | 先進国だけ | 先進国・途上国の区別なく全ての国 |
| 目標の決め方 | 国ごとの数値目標を議定書で割り当てる | 各国が自ら決めて提出し、5 年ごとに更新する |
| 目標の性格 | 数値目標の達成に法的拘束力がある | 目標の提出・更新が義務。達成そのものは義務づけていない |
| 全体の目標 | 先進国全体で 1990 年比少なくとも 5% 削減(2008〜2012 年) | 産業革命前からの気温上昇を 2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力を追求 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 京都議定書で削減を義務づけられたのは先進国だけ。中国やインドなど排出の多い途上国は数値目標を負わなかった
- パリ協定は目標を各国が自分で決める(上から割り当てない)。その代わり全ての国が参加する
- 1972 年の国連人間環境会議(ストックホルム)と 1992 年の国連環境開発会議(リオデジャネイロ)を入れ替えない
1. 国際的な取組の始まり
根拠: 学習指導要領 政治・経済-B-(2)-ア
地球環境が国際会議の議題になったのは 1970 年代からです。先進国は公害の経験から環境保全を訴え、途上国は開発する権利を主張し、
その対立をどう乗り越えるかが、その後の会議の軸になりました。
1972 年にストックホルムで開かれ、「かけがえのない地球(Only One Earth)」を掲げた、環境をテーマとする初めての大規模な国連の会議は?
国連人間環境会議
人間環境宣言が採択され、この会議を受けて国連環境計画(UNEP)が設立された。
1992 年の国連環境開発会議(地球サミット)で署名が始まった、2 つの環境条約は?
気候変動枠組条約と生物多様性条約
あわせて、環境と開発に関するリオ宣言と、行動計画「アジェンダ 21」が採択された。
地球サミットから 10 年後の 2002 年に南アフリカのヨハネスブルグで開かれ、アジェンダ 21 の実施状況を点検した国連の会議は?
持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)
さらに 2012 年にはリオデジャネイロで国連持続可能な開発会議(リオ+20)が開かれ、SDGs づくりにつながった。
2. 気候変動の条約と議定書
根拠: 学習指導要領 政治・経済-B-(2)-ア
気候変動枠組条約は、大気中の温室効果ガスの濃度を安定させることを目的とする「枠組み」で、具体的な削減の約束は、
毎年開かれる締約国会議(COP)で結ぶ議定書・協定に委ねています。
気候変動枠組条約やリオ宣言が掲げる、「地球環境の悪化には全ての国に責任があるが、これまで多く排出してきた先進国がより重い責任を負う」という原則を何という?
共通だが差異ある責任
京都議定書が先進国だけに削減義務を課したのは、この原則による。
京都議定書で、先進国に課された温室効果ガス削減の数値目標の性格は?
国ごとに定めた、法的拘束力のある数値目標
2008〜2012 年の 5 年間(第一約束期間)の排出量を、1990 年を基準に削減する。日本は 6%、アメリカは 7%、EU は 8% の削減だった。
京都議定書が導入した、他国と協力して削減の約束を達成するための 3 つのしくみ(京都メカニズム)は?
排出量取引・共同実施・クリーン開発メカニズム(CDM)
排出量取引は先進国間で排出枠をやりとりする。共同実施は先進国どうしの事業、クリーン開発メカニズムは先進国と途上国の共同事業で生じた削減量を先進国が得る。
京都議定書の弱点とされた点は何か?
途上国に削減義務がなく、最大の排出国の一つだったアメリカも締結しなかったこと
アメリカは 2001 年に議定書から離脱を表明した。削減義務を負う国の排出量が世界全体の一部にとどまった。
2015 年の COP21 で採択され、2020 年以降の気候変動対策の国際的な枠組みとなった協定は?
パリ協定
2016 年に発効した。産業革命前からの平均気温の上昇を 2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力を追求することを、世界共通の長期目標とする。
パリ協定では、各国の温室効果ガス削減目標はどのように決められるか?
各国が自ら決めて提出し、5 年ごとに提出・更新する(従来より前進した目標にする)
自国が決定する貢献(NDC)という。5 年ごとに世界全体の進み具合を点検するしくみ(グローバル・ストックテイク)もある。
京都議定書と比べたとき、パリ協定の参加国の範囲はどう違うか?
先進国・途上国の区別なく、全ての国が削減に取り組む
京都議定書は先進国だけに削減義務を課していた。パリ協定は、目標の達成そのものは義務づけない代わりに、全ての国の参加を実現した。
3. オゾン層・生物・廃棄物の条約
根拠: 学習指導要領 政治・経済-B-(2)-ア
地球温暖化のほかにも、国境を越える環境問題ごとに条約が結ばれています。
オゾン層を破壊するフロンなどの物質の生産・消費を段階的に削減・全廃することを定めた、1987 年の国際的な取決めは?
モントリオール議定書
1985 年のオゾン層の保護のためのウィーン条約の下に置かれた議定書。
絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引を規制する条約と、水鳥の生息地として国際的に重要な湿地を保全する条約は、それぞれ何か?
ワシントン条約(取引の規制)とラムサール条約(湿地の保全)
ラムサール条約は 1971 年、ワシントン条約は 1973 年に採択された。
有害廃棄物が国境を越えて移動・処分されることを規制する、1989 年に採択された条約は?
バーゼル条約
先進国の有害廃棄物が途上国へ持ち込まれて捨てられる問題を受けて結ばれた。輸出には相手国の同意が要る。
4. 持続可能な開発と SDGs
根拠: 学習指導要領 政治・経済-B-(2)-ア
国連は、環境と開発の両立という考え方を、2015 年の「持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」で持続可能な開発目標(SDGs)としてまとめました。
気候変動への対策も、SDGs の 17 の目標の一つに入っています。
SDGs は、経済・社会・環境の 3 つの側面をどう扱う目標とされているか?
切り離さず、統合的に(同時に)取り組む
貧困をなくすことと環境を守ることを対立させず、両方を満たす開発をめざす。これが持続可能な開発の考え方である。