財政健全化と地域社会
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「政治・経済」A (2) アが探究の課題として挙げる「歳入・歳出両面での財政健全化」と「地域社会の自立と政府」。
ここでは、国の財政の持続可能性をはかる指標と、地方の財源のしくみ、地方の財政が破綻しないためのしくみをカードにしています。
政府の財政運営の目標は 2026-09-27 に内閣府の「経済財政運営と改革の基本方針 2026」(2026 年 7 月 21 日閣議決定)と、
地方交付税の財源は e-Gov の地方交付税法 6 条と、地方財政の健全化の手続きは e-Gov の地方公共団体の財政の健全化に関する法律と突き合わせました。
0. 何を押さえるか
財政健全化とは、税収などで政策の費用をまかない、借金(国債)の残高が経済の大きさに比べて膨らみ続けないようにすることです。
やり方は、増税などで収入を増やす歳入面と、支出を見直す歳出面の両方があり、どう組み合わせるか・いつ行うかは立場によって考えが分かれます。
地方でも同じ問題があります。地方公共団体は、自分で集める税だけでは仕事の費用をまかなえず、国から配られるお金に頼ってきました。
地方が自分で決め、自分でまかなう力を持つこと——地域社会の自立と政府の関係をどう組み直すか——が、地方分権の課題です。
| 地方の財源 | 自主か依存か | 使い道 |
|---|---|---|
| 地方税 | 自主財源 | 自由(一般財源) |
| 地方交付税 | 依存財源 | 自由(一般財源) |
| 国庫支出金(補助金) | 依存財源 | 決められている(特定財源) |
| 地方債 | 依存財源 | 原則として建設事業など |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 地方交付税は地方の間の財政力の差をならすお金で使い道は自由、国庫支出金は国が使い道を指定するお金
- 自治事務は地方が自らの判断で行う事務、法定受託事務は本来国が果たすべき役割を法律で地方に任せた事務
- プライマリーバランスは利払いを除いた収支、債務残高対 GDP 比は借金の残高を経済の大きさと比べた比率
いまの目標(時点付き。カードの答えにはしていない):
- 政府は長く「国・地方を合わせたプライマリーバランスの黒字化」を財政健全化の目標に掲げてきましたが、2026 年 7 月の「骨太の方針 2026」は、財政運営の目標の中核を国・地方の債務残高対 GDP 比の安定的な低下に置き、プライマリーバランスは単年度の黒字化時期を機械的に追わず複数年で管理する指標に改めました(内閣府、2026 年 9 月時点)。
1. 国の財政の持続可能性
根拠: 学習指導要領 政治・経済-A-(2)-ア
国債の残高が増えると、毎年の予算の中で国債の返済や利払いにあてる国債費が大きくなり、社会保障や教育などに使えるお金が減っていきます。
予算の中で国債費や社会保障費のような減らしにくい経費の割合が高まり、新しい政策にお金を回す余地が小さくなることを何という?
財政の硬直化
国債費は国債を持つ人への約束なので削れない。このため国債残高の増加は、将来の予算の自由度を奪う。
一般会計の歳入のうち、国債(公債)の発行でまかなった収入が占める割合を何という?
公債依存度(国債依存度)
歳入のどれだけを借金に頼っているかを示す。財政の現状をはかる指標の一つ。
国と地方の借金の残高を、その国の経済の大きさ(GDP)で割った比率を何というか。経済の大きさで割って見るのはなぜか?
債務残高対 GDP 比。借金を返す原資となる税収を生む元が、経済の規模だから
同じ残高でも経済が大きくなれば比率は下がる。国際比較にもよく使われる。
財政健全化の方法を、歳入を増やす面と歳出を減らす面に分けたとき、それぞれの代表的な手段は?
歳入面は増税や課税の範囲の見直し、歳出面は社会保障や公共事業などの支出の見直し
歳入面の手段は家計や企業の負担を増やし、歳出面の手段は受けられるサービスを減らすので、どちらにも反対がある。
2. 地方の財源のしくみ
根拠: 学習指導要領 政治・経済-A-(2)-ア
地方の財源のうち、地方公共団体が自らの権限で集める財源を何といい、国から配られたり借りたりする財源を何という?
前者が自主財源、後者が依存財源
自主財源の中心は地方税。自主財源が歳入の 3 割ほどしかないことから、かつて「三割自治」と呼ばれた。
地方交付税の財源になっている国の税は何か?
所得税・法人税・酒税・消費税のそれぞれ一定割合と、地方法人税の全額
地方交付税法 6 条が定める。国が集めた税の一部を、財政力の弱い地方に多く配って、どこでも一定の行政サービスができるようにする。
国が使い道を指定して地方公共団体に支出する補助金や負担金をまとめて何という?
国庫支出金
使い道が決まった特定財源なので、地方の自由度が小さい。三位一体の改革では削減の対象になった。
地方公共団体が地方債を発行するとき、国の許可が必要だったしくみは、2006 年度からどのように変わったか?
許可制から協議制に変わった
国と協議すれば、同意が得られなくても議会に報告して発行できるようになった。財政状況の悪い団体には許可が要る。
3. 地域社会の自立と政府
根拠: 学習指導要領 政治・経済-A-(2)-ア
1999 年の地方分権一括法で機関委任事務が廃止されたあと、地方公共団体の事務は何と何の 2 つに分けられたか?
自治事務と法定受託事務
法定受託事務は国政選挙の事務や旅券の交付など。それ以外が自治事務で、地方が自らの判断で行う。
2006 年に北海道の夕張市が財政破綻を表明したことをきっかけに、2007 年に制定された、地方公共団体の財政悪化を早い段階で見つけ、立て直させるための法律は?
地方公共団体の財政の健全化に関する法律(地方財政健全化法)
財政の指標が基準を超えると「早期健全化団体」、さらに悪化すると「財政再生団体」となり、国の関与のもとで立て直す。
自分の選んだ地方公共団体に寄附すると、その額に応じて住民税などが控除される、2008 年に始まった制度を何という?
ふるさと納税
地方を応援し財源を移すしくみとされる一方、返礼品の競争や、住民の多い都市の税収が減ることが問題になった。
人口の減少と東京圏への一極集中を是正し、地方で仕事と暮らしを成り立たせることをめざして、2014 年に始まった政府の政策を何という?
地方創生
同じ年に「まち・ひと・しごと創生法」が制定された。地域社会の自立を国が後押しする政策の一つ。