財政と租税
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「政治・経済」A (1) ア (イ) の「財政の働きと仕組み及び租税などの意義」。
公共では財政の 3 つの機能、直接税と間接税、建設国債と特例国債までを扱います。ここではそれを前提に、予算がどんな種類に分かれ国会でどう決まるか、
財政政策と金融政策の組み合わせ、戦後の税制の骨格と税の原則、国と地方のお金の流れ、国債が積み上がると何が起きるかまで扱います。
国債の条文は 2026-09-27 に e-Gov 法令検索の財政法 4 条・5 条と、国債残高は同日に財務省「財政に関する資料」と突き合わせました。
0. 何を押さえるか
財政は、政府が税などで集めたお金を予算に従って使う経済活動です。市場に任せると足りなくなる公共財を供給し(資源配分)、
所得の格差を縮め(所得再分配)、景気の波をならします(経済の安定化)。財政のお金の出入りは、毎年度、国会が議決する予算で決まります。
| 予算の区分 | 中身 |
|---|---|
| 一般会計 | 国の基本的な収入と支出(税収・社会保障・公共事業・国債費など) |
| 特別会計 | 年金や保険など、特定の事業のために一般会計と分けて管理する会計 |
| 財政投融資 | 国が財投債などで集めた資金を、政策金融機関などを通じて長期・低利で貸し出す。かつて「第二の予算」と呼ばれた |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 租税法律主義(憲法 84 条): 新しく税を課したり税の内容を変えたりするには、法律か、法律の定める条件によらなければならない
- 地方交付税は使い道を国が決めない(一般財源)。国庫支出金は使い道が決まっている(特定財源、いわゆる補助金)
- 国債の発行は財政法 4 条で原則として禁止され、ただし書きで建設国債だけが認められる。日本銀行の引受けは財政法 5 条で原則として禁止
国の借金の現状(時点付き。カードの答えにはしていない): 普通国債の残高は、令和 8(2026)年度末に 1,145 兆円に上る見込み(財務省、2026 年時点)。
1. 予算のしくみ
根拠: 学習指導要領 政治・経済-A-(1)-ア-(イ)
予算は内閣が作成して国会に提出し(憲法 86 条)、衆議院が先に審議します(憲法 60 条)。
年度が始まるまでに成立しないときや、年度の途中で事情が変わったときのために、本予算のほかに 2 種類の予算があります。
予算が新年度の開始までに成立しないとき、当面の必要な経費をまかなうために組まれる予算を何という?
暫定予算
本予算が成立すると、暫定予算はそれに吸収される。年度の途中で、災害などのため本予算を変える必要が出たときに組むのは補正予算。
参議院が、衆議院の可決した予算を受け取ってから何日以内に議決しないと、衆議院の議決が国会の議決になるか(国会休会中の期間を除く)?
30 日(憲法 60 条 2 項)
予算は衆議院に先議権があり、議決でも衆議院が優越する。法律案と違い、衆議院で出席議員の 3 分の 2 以上で再可決する必要はない。
郵便貯金や年金の積立金の預託を受けて運用していたしくみが 2001 年に改められ、財投債(国債の一種)の発行などで市場から資金を集めて、政策金融機関などに長期・低利で貸し出すようになった制度を何という?
財政投融資
規模の大きさから、かつては「第二の予算」と呼ばれた。財政投融資計画は予算とあわせて国会に出され、財政融資資金の長期運用予定額が国会の議決を受ける。
2. 財政政策と景気
根拠: 学習指導要領 政治・経済-A-(1)-ア-(イ)
財政が景気をならす働きには、制度に組み込まれて自動で働くもの(ビルト・イン・スタビライザー)と、政府がそのつど判断して行うもの(フィスカル・ポリシー)があります。
景気や物価の目標を実現するために、財政政策と金融政策(金融のしくみと日本銀行)を組み合わせて使うこともあります。
政府の財政政策と日本銀行の金融政策など、複数の政策手段を組み合わせて、景気の安定や物価の安定などの目標を同時にめざすことを何という?
ポリシー・ミックス
たとえば不況のとき、政府が公共投資を増やし、同時に中央銀行が金融を緩和する。
不況のとき、裁量的な財政政策として政府がとる歳出と税の手段は、それぞれ何か?
歳出では公共投資の拡大、税では減税
有効需要を増やして景気を支える。景気が過熱しているときは、公共投資の削減と増税で需要を抑える。
3. 租税の意義と税制
根拠: 学習指導要領 政治・経済-A-(1)-ア-(イ)
租税は、公共サービスの費用を社会の構成員が分かち合うためのもので、その取り方は国会が法律で決めます。
税の良し悪しをはかる物差しとして、公平・中立・簡素の 3 つがよく挙げられます。戦後日本の税制の骨格を作ったのはシャウプ勧告でした。
| 直接税 | 間接税 | |
|---|---|---|
| 国税 | 所得税・法人税・相続税 | 消費税・酒税・揮発油税・関税 |
| 地方税 | 住民税・事業税・固定資産税 | 地方消費税・たばこ税 |
憲法 84 条が定める、新たに租税を課し、または現行の租税を変更するには、法律または法律の定める条件によることを必要とする原則を何という?
租税法律主義
国民の代表である国会の同意なしに課税されない、という近代の議会制の出発点になった考え方。
1949 年に来日した税制使節団の勧告で、所得税などの直接税を中心とする戦後日本の税制の骨格をつくったものを何という?
シャウプ勧告
直接税中心の税制は長く続いたが、1989 年の消費税の導入などで間接税の割合が高まった。直接税と間接税の割合を直間比率という。
税制のよさをはかる 3 つの原則として、よく挙げられるものは?
公平・中立・簡素
公平は負担を能力に応じて分かち合うこと、中立は税が人々や企業の選択をゆがめないこと、簡素は仕組みが分かりやすく手続きの負担が少ないこと。
住民税と固定資産税は、それぞれ国税か地方税か。また、直接税か間接税か?
どちらも地方税で、直接税
国に納めるか地方公共団体に納めるか(国税・地方税)と、納める人と負担する人が同じかどうか(直接税・間接税)は、別の軸の区分。
4. 地方財政と国債
根拠: 学習指導要領 政治・経済-A-(1)-ア-(イ)
地方公共団体の仕事に比べて地方税の収入が少なく、国からの資金に頼る状態は、かつて「三割自治」と呼ばれました。
国の財政では、国債の残高が積み上がると、予算の中で国債の返済と利払いにあてる国債費が増え、ほかの政策に使えるお金が減ります。
国が、地方公共団体どうしの財政力の差をならすために、国税の一定割合を配分する資金で、使い道が指定されないものを何という。使い道が指定される補助金は何という?
地方交付税(地方交付税交付金)。使い道が指定されるのは国庫支出金
2000 年代の「三位一体の改革」では、国庫支出金の削減、地方交付税の見直し、国から地方への税源の移譲を一体で進めた。
国債の残高が増えて国債費が予算の中で大きくなり、社会保障や教育などほかの政策に自由に使えるお金が少なくなることを何という?
財政の硬直化
さらに、いまの世代が使った費用の返済を将来の世代が税で負うことになる。財政健全化の課題は 03 のフォルダで扱う。