37条書面
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は宅建業法 37 条 1 項(売買・交換)、2 項(貸借)、3 項(宅建士の記名)、4 項・5 項(電磁的方法)、
35 条(重要事項の説明)、78 条 2 項(業者間取引への適用除外の範囲)。
2026-08-01 に e-Gov の条文原文と突合済み。
0. どういう制度か
35 条書面と 37 条書面は、名前も交付者も似ているが目的がまったく別。
- 35 条書面 … 契約するかどうかを決めるための判断材料。だから契約前に、買う側・借りる側にだけ渡す
- 37 条書面 … 契約で何を決めたかの証拠。だから契約後に、当事者全員へ渡す
この違いから、細かい相違はすべて導ける。
| 35 条書面 | 37 条書面 | |
|---|---|---|
| 時期 | 契約成立まで | 契約成立後、遅滞なく |
| 交付先 | 取得・賃借する側 | 契約の当事者双方 |
| 説明 | 必要(宅建士) | 不要(交付のみ) |
| 宅建士の記名 | 必要 | 必要 |
| 宅建士証の提示 | 必要 | 不要 |
| 相手が業者のとき | 説明不要・交付のみ | 通常どおり交付 |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 37 条書面に説明義務はない(記名は要る)
- 相手が業者でも 37 条書面は省略できない
- 「定めがあるときは」が付く項目(任意的記載事項)と、必ず書く項目(必要的記載事項)の区別
1. 誰に、いつ
根拠: 宅建業法 37 条 1 項・2 項・3 項、78 条 2 項
37 条書面は契約内容の証拠なので、契約に関わった当事者全員が持っていなければ意味がない。
売主も買主も、代理を頼んだ人も受け取る。35 条書面が片側にしか渡らないのと逆になる。
37 条書面は誰に交付する?(自ら当事者・代理・媒介の 3 つの場合)
自ら当事者として契約したとき … その相手方
代理して契約したとき … 契約の相手方と代理を依頼した者
媒介により成立したとき … 契約の各当事者
35 条と違い、売主・貸主の側にも渡る。
37 条書面はいつ交付する?
契約が成立した後、遅滞なく
35 条書面(契約成立まで)と時期が逆。
37 条書面について、宅建士は説明をしなければならない?
説明は不要。ただし書面に記名する必要がある
決まった内容を渡すだけなので、判断材料としての説明は要らない。
宅建士証の提示義務もない。
買主も売主も宅地建物取引業者だった。37 条書面の交付は必要?
必要
業者間取引で適用除外になるのは 33 条の 2 と 37 条の 2 から 43 条まで(8 種制限等)。
35 条書面も 37 条書面も、業者間取引で省略できない
(35 条は「説明」が省けるだけで、交付は必要)。
貸借の契約でも 37 条書面は必要?
必要
貸借では媒介契約書(34 条の 2)だけが不要で、35 条書面・37 条書面はどちらも必要。
ここが 3 つの書面で唯一ずれる点。
2. 必ず書く事項(必要的記載事項)
根拠: 宅建業法 37 条 1 項 1 号〜5 号・2 号の 2、37 条 2 項
契約の骨組みそのもの。これが書かれていなければ、後で何を約束したのか確定できない。
37 条書面に、定めの有無にかかわらず必ず書く事項は?
当事者の氏名・住所/物件の特定に必要な表示/代金・交換差金の額と支払の時期・方法/
引渡しの時期/移転登記の申請の時期
いずれも契約の骨組み。
このうち引渡しの時期と移転登記の申請の時期は、35 条には出てこない。
既存建物のとき、37 条書面に必ず書く事項は?
構造耐力上主要な部分等の状況について、当事者の双方が確認した事項
35 条が「建物状況調査を実施したか、その結果の概要」を説明させるのに対し、
37 条は当事者が合意して確認した内容を残す。
貸借の 37 条書面に書く、金銭に関する事項は?
借賃の額・支払の時期・方法、および借賃以外の金銭の額・授受の時期・目的
売買の「代金」に対応する項目。
なお貸借では移転登記の申請の時期を書かない。
3. 定めがあるときだけ書く事項(任意的記載事項)
根拠: 宅建業法 37 条 1 項 6 号〜12 号
決めていないことは書きようがない。だから「定めがあるときは、その内容」という書き方になる。
35 条が「定めが無ければ無いと説明する」のと正反対で、ここが最頻出の対比。
37 条書面で「定めがあるときは、その内容」とされている事項は?
契約の解除/損害賠償額の予定・違約金/ローンのあっせん不成立時の措置/
天災その他不可抗力による損害の負担(危険負担)/契約不適合責任やその履行に関する措置/
租税その他の公課の負担
定めが無ければ記載しない。
35 条ではこれらの多くが「定めが無くてもその旨を説明」になる。
契約の解除について定めが無い場合、35 条書面・37 条書面それぞれどうする?
35 条は「定めが無い」と説明する。37 条は記載しない
判断材料(35 条)か、合意の記録(37 条)かの違いがそのまま出る。
天災その他不可抗力による損害の負担(危険負担)は、どちらの書面の記載事項?
37 条だけ(定めがあるとき)
35 条の説明事項には入っていない。
逆に「代金以外の金銭の授受の目的」は 35 条にもあるが、時期は 37 条だけ。
ローンのあっせんについて、35 条と 37 条で書く内容はどう違う?
35 条 … あっせんの内容と、成立しないときの措置
37 条 … 定めがあるときに、成立しないときの措置
35 条のほうが広い。あっせんの内容自体は 37 条の記載事項ではない。
4. 電磁的方法
根拠: 宅建業法 37 条 4 項・5 項
37 条書面を電磁的方法で提供できる? そのとき宅建士の記名はどうなる?
相手方の承諾を得れば提供できる。記名に代わる措置を講じたうえで提供すれば、
書面を交付したものとみなされ、記名の規定は適用されない
35 条書面も同様に、承諾を得て電磁的方法で提供できる。