開発許可
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は都市計画法 4 条(定義)、29 条(開発行為の許可)、32 条(公共施設の管理者の同意)、
33 条(許可の基準)、34 条(市街化調整区域の基準)、35 条の 2(変更の許可)、
36 条(工事完了の検査)、37 条(建築制限)、40 条(公共施設用地の帰属)、
41 条(建蔽率等の制限)、42 条、43 条(開発許可を受けた土地以外の建築制限)、
都市計画法施行令 19 条・22 条・23 条の 3。2026-08-01 に e-Gov の条文原文と突合済み。
0. どういう制度か
家を建てる前に、土地を平らにし、道路を通し、排水を整える。この土地の側の工事を
開発行為といい、粗雑なまま宅地が売られるのを防ぐために許可制になっている。
許可が要るかどうかは、どこで・どれだけの規模かで決まる。
| 区域 | 許可が不要な規模 |
|---|---|
| 市街化区域 | 1,000 平方メートル未満 |
| 市街化調整区域 | 規模を問わず許可が必要 |
| 非線引き区域・準都市計画区域 | 3,000 平方メートル未満 |
| 都市計画区域外・準都市計画区域外 | 1 ヘクタール未満 |
規模とは別に、どこであっても許可が要らない行為(農林漁業用、公益上必要な施設、
都市計画事業等の施行)がある。この 2 段構えで判断する。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 市街化調整区域には規模の例外がない(10 平方メートルでも許可が要る)
- 学校・病院・社会福祉施設は「公益上必要な建築物」に含まれない(許可が要る)
- 農林漁業用の例外は、市街化区域では使えない
1. 開発行為とは
根拠: 都市計画法 4 条 12 項・11 項、都市計画法施行令 1 条
開発行為とは?
主として建築物の建築または特定工作物の建設の用に供する目的で行う
土地の区画形質の変更(4 条 12 項)
建築目的でない土地の造成(青空駐車場・資材置場)は開発行為に当たらない。
第一種特定工作物と第二種特定工作物の違いは?
- 第一種 … コンクリートプラント、アスファルトプラント、クラッシャープラントなど
周辺の環境の悪化をもたらすおそれがある工作物(面積要件なし) - 第二種 … ゴルフコース(面積を問わない)、1 ヘクタール以上の野球場・
庭球場・遊園地・墓園など
1 ヘクタール未満の野球場等は特定工作物に当たらない。
2. 許可が不要な場合
根拠: 都市計画法 29 条 1 項各号、都市計画法施行令 19 条、22 条
規模で切るのは「小さければ被害も小さい」からで、行為で切るのは
その施設が必要とされる場所と、規制の目的がぶつかるからである。
市街化区域内で開発許可が不要となる規模は?
1,000 平方メートル未満
三大都市圏の一定の区域(首都圏の既成市街地・近郊整備地帯など)では
500 平方メートル未満に引き下げられている。
市街化調整区域で、規模が小さければ開発許可は不要?
規模にかかわらず必要
市街化を抑制すべき区域なので、小規模の例外が置かれていない。
農林漁業用の建築物のための開発行為は、許可が不要?
市街化区域以外であれば不要(29 条 1 項 2 号)
対象は、畜舎・温室などの農林漁業の用に供する建築物と、
農林漁業を営む者の居住の用に供する建築物。
市街化区域内では、規模が 1,000 平方メートル以上なら許可が必要。
公益上必要な建築物として、開発許可が不要になるのは?
駅舎その他の鉄道の施設、図書館、公民館、変電所など(施行令 21 条)
学校・病院・社会福祉施設は含まれない(許可が必要)。
かつては不要だったが、市街化調整区域への無秩序な立地を防ぐために外された。
区域を問わず開発許可が不要な行為は?
- 都市計画事業・土地区画整理事業・市街地再開発事業等の施行として行うもの
- 公有水面埋立法の免許を受けた埋立地での行為
- 非常災害のため必要な応急措置
- 通常の管理行為・軽易な行為(仮設建築物の建築のための開発行為など)
3. 許可の手続
根拠: 都市計画法 30 条、32 条 1 項・2 項、33 条 1 項、34 条、35 条 1 項・2 項、35 条の 2 第 1 項
開発行為は道路や下水道といった公共施設を作り替える。だから、先に管理者と話をつけて
おかないと、完成後に誰も引き取らない施設が残ってしまう。
開発許可を申請する前にしておくことは?
- 開発行為に関係がある公共施設の管理者の同意を得る
- 開発行為により設置される公共施設を将来管理することとなる者と協議する(32 条)
同意と協議は別物。申請書には、同意を得たことを証する書面と協議の経過を示す書面を添付する。
開発許可の申請に対する処分は、どう通知される?
文書をもって申請者に通知される(35 条 2 項)
許可・不許可のいずれの場合も文書。
不許可処分に不服があるときは、開発審査会に審査請求できる。
市街化調整区域内での開発許可には、どんな上乗せがある?
33 条の基準に加えて、34 条各号のいずれかに該当しなければ許可できない
(周辺住民の日常生活に必要な店舗、鉱物資源の利用上必要な施設、
農林水産物の処理・加工に必要な施設、既存集落内の住宅など)
市街化を抑制すべき区域なので、立地できるものが限定列挙されている。
開発許可の内容を変更するには?
都道府県知事の許可が必要(35 条の 2 第 1 項)
ただし、変更後の開発行為がそもそも許可不要のものであるとき、
または軽微な変更であるときは、遅滞なく届け出れば足りる。
4. 工事完了と建築制限
根拠: 都市計画法 36 条 1 項〜3 項、37 条、40 条 1 項・2 項、41 条 1 項・2 項、42 条 1 項
未完成の宅地に建物が建つと、道路も排水もないまま人が住み始めてしまう。
だから工事完了の公告が、建てられるかどうかの境目になっている。
開発行為の工事が完了したら、どうする?
① 開発許可を受けた者が都道府県知事に届け出る
② 知事が検査し、適合していれば検査済証を交付する
③ 知事が工事完了の公告をする(36 条)
工事完了の公告があるまで、開発区域内に建築物を建てられる?
原則として建てられない(37 条)
例外は、①知事が支障がないと認めたとき、
②開発行為に同意していない土地の所有者等がその権利の行使として建築するとき。
工事完了の公告があった後、開発区域内で建てられる建築物は?
予定建築物等以外の建築物は建てられない(42 条 1 項)
例外は、知事が許可したとき、または用途地域等が定められているとき。
開発行為で設置された公共施設は、誰が管理する?
工事完了の公告の日の翌日に、原則としてその公共施設の所在する市町村の管理に属する(40 条 2 項)
他の法律に基づく管理者が別にあるとき、または管理者について協議で定めたときはその者。
用途地域が定められていない土地で開発許可をするとき、知事は何を定められる?
建蔽率・建築物の高さ・壁面の位置その他建築物の敷地・構造・設備に関する制限(41 条 1 項)
この制限に反する建築物は、知事の許可がなければ建てられない。
5. 市街化調整区域の建築制限
根拠: 都市計画法 43 条 1 項
市街化調整区域のうち、開発許可を受けた開発区域以外の区域で建築するには?
都道府県知事の許可が必要(43 条 1 項)
開発行為を伴わない建築(すでに宅地である土地に建てる場合)でも許可が要る。
農林漁業用の建築物や公益上必要な建築物などは例外。