建築確認と単体規定
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は建築基準法 2 条(定義)、6 条(建築確認)、6 条の 4、7 条(完了検査)、7 条の 3(中間検査)、
7 条の 6(仮使用)、9 条(違反建築物に対する措置)、19 条(敷地の衛生・安全)、
20 条(構造耐力)、26 条(防火壁)、28 条(居室の採光・換気)、
35 条の 2、69 条(建築協定)。2026-08-01 に e-Gov の条文原文と突合済み。
0. どういう制度か
建築基準法は 2 種類の規定でできている。
| 何のための規定か | どこで適用されるか | |
|---|---|---|
| 単体規定 | 建物そのものの安全・衛生 | 全国どこでも |
| 集団規定(用途・建蔽率・容積率・高さ等) | 街並みの秩序 | 都市計画区域・準都市計画区域内 |
建築確認は、この規定に適合しているかを着工前に確かめる手続である。
確認が要るかどうかは 3 つの号のいずれかに当たるかで決まる。
| 号 | 対象 | 区域 |
|---|---|---|
| 1 号 | 特殊建築物で、その用途の床面積が 200 平方メートル超 | 全国 |
| 2 号 | 階数 2 以上または延べ面積 200 平方メートル超の建築物 | 全国 |
| 3 号 | 1 号・2 号以外の建築物 | 都市計画区域等の内に限る |
都市計画区域内なら、規模を問わずすべての新築に確認が要る(3 号)のが要点。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 増築・改築・移転は、防火・準防火地域外で 10 平方メートル以内なら確認不要
- 用途変更は、特殊建築物(200 平方メートル超)になる場合に確認が要る(類似用途間は不要)
- 完了検査の申請は、工事完了から 4 日以内に到達するように行う
1. 建築確認が必要な場合
根拠: 建築基準法 6 条 1 項各号・2 項、87 条 1 項、別表第一
特殊建築物とは?確認が必要になる規模は?
劇場・映画館・病院・ホテル・共同住宅・学校・百貨店・倉庫・自動車車庫などで、
その用途に供する部分の床面積が 200 平方メートルを超えるもの(6 条 1 項 1 号)
事務所は特殊建築物ではない。
都市計画区域内で、木造 2 階建て 100 平方メートルの住宅を新築する。確認は必要?
必要
階数 2 以上なので 2 号に当たる。
仮にこれが平屋 50 平方メートルであっても、
都市計画区域内であれば 3 号により確認が必要になる。
増築・改築・移転で建築確認が不要になるのは?
防火地域および準防火地域以外において、
増築・改築・移転に係る部分の床面積の合計が 10 平方メートル以内のとき(6 条 2 項)
防火地域・準防火地域内であれば、1 平方メートルの増築でも確認が必要。
用途変更で建築確認が必要になるのは?
建築物の用途を変更して、200 平方メートル超の特殊建築物とする場合(87 条 1 項)
ただし類似の用途相互間の変更(劇場↔映画館、下宿↔寄宿舎など)は不要。
用途変更では完了検査は不要で、工事完了後に建築主事等へ届け出る。
大規模の修繕・大規模の模様替えで確認が必要なのは?
1 号・2 号の建築物について行う場合
3 号(小規模な建築物)については、大規模の修繕・模様替えでは確認が不要。
2. 確認から使用開始までの流れ
根拠: 建築基準法 6 条 4 項、7 条 1 項・2 項・5 項、7 条の 3 第 1 項、7 条の 6 第 1 項
建築確認の申請に対する審査期間は?
- 1 号・2 号の建築物 … 35 日以内
- 3 号の建築物 … 7 日以内
建築主事等は、期間内に確認済証を交付しなければならない。
工事が完了したら、いつまでに何をする?
工事完了の日から 4 日以内に到達するように、
建築主事等へ完了検査を申請する(7 条 2 項)。
建築主事等は申請を受理した日から 7 日以内に検査し、
適合していれば検査済証を交付する。
検査済証の交付を受ける前に建築物を使用できる?
1 号・2 号の建築物は原則として使用できない(7 条の 6)。
例外は、①特定行政庁が仮使用の認定をしたとき、
②完了検査の申請が受理された日から 7 日を経過したとき。
3 号の建築物は、検査済証の交付前でも使用できる。
中間検査はどんなときに必要?
階数 3 以上の共同住宅の床・はりに鉄筋を配置する工事の工程、
および特定行政庁が指定する工程(特定工程)を終えたとき。
工事を終えた日から 4 日以内に到達するように申請する(7 条の 3)。
中間検査合格証の交付を受けるまで、後続の工程に進めない。
3. 単体規定
根拠: 建築基準法 19 条 1 項、28 条 1 項・2 項、26 条、35 条の 2、建築基準法施行令 20 条、20 条の 7、21 条
単体規定は建物そのものの安全と衛生を守るので、都市計画区域の内外を問わず適用される。
数字は「採光は 7 分の 1、換気は 20 分の 1、天井は 2.1 メートル」を軸に覚える。
住宅の居室に必要な採光のための開口部の面積は?
床面積の 7 分の 1 以上(28 条 1 項)
一定の照明設備を設けた場合は 10 分の 1 まで緩和される。
学校の教室は 5 分の 1、病院の病室などは 7 分の 1。
居室に必要な換気のための開口部の面積は?
床面積の 20 分の 1 以上(28 条 2 項)
これに満たない場合は、政令で定める技術的基準に従った換気設備を設ける。
居室の天井の高さは?
2.1 メートル以上(施行令 21 条)
一室で天井の高さが異なる場合は、平均の高さによる。
防火壁による区画が必要なのは?
延べ面積が 1,000 平方メートルを超える建築物
1,000 平方メートル以内ごとに防火壁または防火床で区画する(26 条)。
耐火建築物・準耐火建築物などは除かれる。
建築物の敷地について、19 条が求めていることは?
敷地は、これに接する道の境より高くなければならない。
建築物の地盤面は、これに接する周囲の土地より高くなければならない。
湿潤な土地・出水のおそれの多い土地には、盛土・地盤の改良その他の措置を講じる。
シックハウス対策として規制されているのは?
クロルピリホス(居室を有する建築物に使用禁止)と
ホルムアルデヒド(内装の仕上げの制限・換気設備の義務づけ)(28 条の 2、施行令 20 条の 5 以下)
石綿(アスベスト)は、建築材料に添加してはならない。
4. 違反建築物と建築協定
根拠: 建築基準法 9 条 1 項・7 項、69 条、70 条 3 項、75 条
違反建築物に対して特定行政庁ができることは?
建築主・工事施工者等に対し、工事の施工の停止を命じ、
または相当の猶予期限を付けて除却・移転・改築・使用禁止・使用制限等を命じられる(9 条 1 項)
緊急の必要がある場合は、手続によらず仮に施工の停止を命じられる。
建築協定を締結・変更・廃止するには?
- 締結・変更 … 土地の所有者等の全員の合意
- 廃止 … 土地の所有者等の過半数の合意
いずれも特定行政庁の認可が必要(70 条・76 条)。
建築協定を締結できる旨の条例があることが前提。
建築協定は、後から土地を買った人にも効力が及ぶ?
及ぶ(認可の公告後に土地の所有者等となった者に対しても効力がある・75 条)
一人しか所有者がいない土地についても建築協定を定めることができ、
認可の日から 3 年以内に 2 人以上になった時から効力を生じる(76 条の 3)。