用途制限
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は建築基準法 48 条(用途地域等内の建築物の制限)、49 条(特別用途地区)、
49 条の 2(特定用途制限地域)、51 条(卸売市場等の位置)、
91 条(敷地が 2 以上の地域にわたる場合)、別表第二。
2026-08-01 に e-Gov の条文原文と突合済み。
0. どういう制度か
用途地域は、静かに住む場所から、うるさくても働く場所までを並べたグラデーションである。
だから制限も、端から端へ向かって段階的にゆるくなる(そして工業専用でまた住めなくなる)。
第一種低層 → 第二種低層 → 田園住居 → 第一種中高層 → 第二種中高層
→ 第一種住居 → 第二種住居 → 準住居 → 近隣商業 → 商業 → 準工業 → 工業 → 工業専用
(住みやすい) ────────────────────→ (何でも建てられる)
覚え方は「どこでも建つもの」と「両端で建たないもの」の 2 方向から挟む。
| 建築物 | 建てられない地域 |
|---|---|
| 神社・寺院・教会、保育所、診療所、公衆浴場、巡査派出所 | なし(全用途地域で可) |
| 住宅・共同住宅、図書館、老人ホーム | 工業専用のみ不可 |
| 幼稚園・小学校・中学校・高等学校 | 工業・工業専用 |
| 大学・高等専門学校、病院 | 低層 2 種・田園住居・工業・工業専用 |
| ホテル・旅館 | 低層 2 種・田園住居・中高層 2 種・工業・工業専用(第一種住居は 3,000 平方メートル以下) |
| カラオケボックス | 低層 2 種・田園住居・中高層 2 種・第一種住居 |
| 劇場・映画館(客席 200 平方メートル未満) | 準住居・近隣商業・商業・準工業のみ可 |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 診療所はどこでも建つが、病院は低層住居専用地域と工業系に建たない
- 敷地が 2 つの用途地域にまたがるときは、過半を占めるほうの制限による
- 特定行政庁の許可があれば、用途制限は例外的に外れる
1. 全用途地域で建てられるもの
根拠: 建築基準法 48 条、別表第二
生活に不可欠で、周囲への影響が小さい施設は、どこにでも必要になる。
だから用途地域による切り分けの対象から外されている。
すべての用途地域で建築できる建築物は?
神社・寺院・教会、保育所、診療所、公衆浴場、
巡査派出所・公衆電話所、幼保連携型認定こども園
これらは工業専用地域でも建てられる。
工業専用地域にだけ建てられないものは?
住宅・共同住宅・寄宿舎・下宿、図書館、老人ホーム・身体障害者福祉ホーム
住宅が建てられないのは工業専用地域だけ。
2. 学校と医療施設
根拠: 建築基準法 48 条、別表第二
学校は「そこに住んでいる子どもが通う」施設なので住居系に置かれ、
大学や病院は規模と交通量が大きいので低層住居専用地域では建てられない。
幼稚園・小学校・中学校・高等学校が建てられない地域は?
工業地域・工業専用地域
それ以外の 11 の用途地域では建てられる。
大学・高等専門学校・専修学校が建てられない地域は?
第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・田園住居地域、
および工業地域・工業専用地域
小中高との違いは、低層住居専用地域と田園住居地域で建てられない点。
病院と診療所の扱いの違いは?
- 診療所 … すべての用途地域で建てられる
- 病院 … 低層住居専用地域・田園住居地域・工業地域・工業専用地域では建てられない
病床数 20 以上が病院、19 以下が診療所。
3. 商業・遊興施設
根拠: 建築基準法 48 条、別表第二
ホテル・旅館を建てられる用途地域は?
第一種住居地域(3,000 平方メートル以下に限る)、第二種住居地域、
準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域
工業地域・工業専用地域では建てられない(働く場所であって泊まる場所ではない)。
カラオケボックスを建てられる用途地域は?
第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、
準工業地域、工業地域、工業専用地域
ホテルと逆に、工業専用地域でも建てられる。
劇場・映画館・演芸場・観覧場を建てられる用途地域は?
準住居地域(客席部分 200 平方メートル未満に限る)、
近隣商業地域、商業地域、準工業地域
住居系では準住居だけ、しかも小規模に限られる。
店舗・飲食店はどこまで建てられる?
- 第一種低層住居専用地域 … 建てられない(住宅兼用の一定規模のものを除く)
- 第二種低層住居専用地域 … 150 平方メートル以下の一定の店舗(2 階以下)
- 第一種中高層住居専用地域 … 500 平方メートル以下(2 階以下)
- 第二種中高層住居専用地域 … 1,500 平方メートル以下(2 階以下)
- 第一種住居地域 … 3,000 平方メートル以下
- 第二種住居地域以降 … 原則として制限なし(10,000 平方メートル超の大規模集客施設は別扱い)
床面積 10,000 平方メートルを超える店舗・飲食店等を建てられる用途地域は?
近隣商業地域・商業地域・準工業地域のみ
第二種住居地域・準住居地域・工業地域では建てられない。
4. 工場・危険物と、田園住居地域
根拠: 建築基準法 48 条 8 項、別表第二
自動車修理工場はどこまで建てられる?
- 第一種・第二種中高層住居専用地域 … 建てられない
- 第一種住居地域・第二種住居地域 … 作業場の床面積 50 平方メートル以下
- 準住居地域・近隣商業地域 … 150 平方メートル以下
- 商業地域 … 300 平方メートル以下
- 準工業地域以降 … 制限なし
田園住居地域に特有の建築物は?
農産物の生産・集荷・処理・貯蔵に供するもの、
農業の生産資材の貯蔵に供するもの、
農産物直売所・農家レストラン等(500 平方メートル以内の 2 階以下)
制限の厳しさは第二種低層住居専用地域に準じる。
また、田園住居地域内の農地で土地の形質の変更・土石等の堆積をするには
市町村長の許可が必要(都市計画法 52 条)。
5. 用途制限の適用の仕方
根拠: 建築基準法 48 条 16 項、51 条、91 条
敷地が 2 つの用途地域にまたがるとき、用途制限はどう適用される?
敷地の過半が属する用途地域の制限が、敷地全体に適用される(91 条)
建蔽率・容積率のように按分するのではない。
用途制限に反する建築物を建てられる場合は?
特定行政庁が、公益上やむを得ないと認めて許可したとき(48 条 16 項)
許可には、原則として利害関係者の出頭を求めて公開による意見の聴取を行い、
建築審査会の同意を得る必要がある。
卸売市場・火葬場・と畜場・汚物処理場・ごみ焼却場を新築するには?
都市計画においてその敷地の位置が決定しているものでなければ、
新築・増築できない(51 条)
ただし特定行政庁が、都道府県都市計画審議会の議を経て
支障がないと認めて許可した場合を除く。
既存の建築物が用途地域の変更で不適格になった。すぐに是正が必要?
必要ない(3 条 2 項・既存不適格建築物)
ただし、増築・改築・大規模の修繕等をする場合には、
現行の規定が適用される。