監督処分と罰則
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は宅建業法 65 条(指示処分・業務停止処分)、66 条(免許取消処分)、67 条、
68 条(取引士に対する処分)、68 条の 2(登録の消除)、69 条(聴聞)、70 条(公告)、
79 条以下(罰則)。2026-08-01 に e-Gov の条文原文と突合済み。
0. どういう制度か
監督処分は「免許・登録を与えた側が取り上げる」制度である。だから
いちばん重い処分は、与えた役所しかできない。軽い処分は、現に迷惑が起きている土地の
知事にも認められている——その場で止められなければ被害が広がるからである。
| 相手 | 軽 → 重 | いちばん重い処分ができるのは |
|---|---|---|
| 宅建業者 | 指示 → 業務停止(1 年以内)→ 免許取消 | 免許権者のみ |
| 宅地建物取引士 | 指示 → 事務禁止(1 年以内)→ 登録消除 | 登録している知事のみ |
指示処分と業務停止処分は、業務を行っている場所の都道府県知事もできる。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 免許取消・登録消除は「与えた役所」だけ。他県の知事はできない
- 公告されるのは業務停止と免許取消。指示処分は公告されない
- どの監督処分でも聴聞(または弁明の機会)が要る
1. 業者に対する処分
根拠: 宅建業法 65 条 1 項〜4 項、66 条 1 項・2 項
宅建業者に対する監督処分は、軽いものから順に何がある?
① 指示処分 ② 業務停止処分(1 年以内の期間) ③ 免許取消処分
①②は免許権者のほか、業務を行っている都道府県の知事もできる。
③は免許権者のみ。
知事免許の業者が、他県で業務に関し不正をした。その他県の知事は何ができる?
指示処分と業務停止処分ができる
免許取消はできない(免許を与えた知事だけ)。
処分をした知事は、遅滞なく免許権者に通知しなければならない。
免許を必ず取り消さなければならない(必要的取消)のはどんな場合?
- 免許の欠格事由に該当したとき
- 免許換えをすべきなのにしていないとき
- 免許を受けてから 1 年以内に事業を開始せず、または引き続き 1 年以上事業を休止したとき
- 廃業等の届出がないのに廃業の事実が判明したとき
- 不正の手段で免許を受けたとき
- 業務停止処分事由に当たり情状が特に重いとき
所在が不明になった業者の免許を取り消すには?
公告をし、その日から 30 日を経過しても申出がないときに取り消せる(任意的取消)
事務所の所在地や代表者の所在が確知できない場合の手続。
2. 取引士に対する処分
根拠: 宅建業法 68 条 1 項〜4 項、68 条の 2 第 1 項
宅地建物取引士に対する監督処分は?
① 指示処分 ② 事務禁止処分(1 年以内) ③ 登録消除処分
①②は登録している知事のほか、取引士が事務を行う都道府県の知事もできる。
③は登録している知事のみ。
取引士が登録を消除されるのはどんな場合?
- 登録の欠格事由に該当したとき
- 不正の手段で登録を受けたとき/取引士証の交付を受けたとき
- 事務禁止処分に違反したとき
- 取引士でない者が取引士としてすべき事務を行い、情状が特に重いとき
取引士証の交付を受けていない登録者(いわゆる資格者)も、監督処分の対象になる?
なる
登録を受けていれば、取引士証の交付を受けていなくても
指示処分・登録消除処分の対象となる。
3. 手続と公告
根拠: 宅建業法 69 条 1 項、70 条 1 項・2 項
処分は相手の営業や資格を奪うので、必ず言い分を聞く場を設ける。
公告するのは、その業者と取引しようとしている人に知らせる必要があるからで、
指示処分は営業を止めないので公告されない。
監督処分をするとき、必ず必要な手続は?
聴聞(公開により行われる)
指示処分・業務停止処分・免許取消処分・取引士への処分のいずれでも必要。
なお、所在不明を理由とする免許取消しでは聴聞は不要。
公告されるのはどの処分?
業務停止処分と免許取消処分
指示処分は公告されない。取引士に対する処分も公告されない。
国土交通大臣が大臣免許の業者を監督処分するとき、必要な手続は?
あらかじめ内閣総理大臣に協議する(消費者保護に関する規定に違反する場合)
大臣免許の業者に対する処分は、免許権者である国土交通大臣が行う。
4. 罰則
根拠: 宅建業法 79 条、79 条の 2、81 条、82 条、83 条、84 条、86 条
無免許で宅建業を営んだ場合の罰則は?
3 年以下の拘禁刑もしくは 300 万円以下の罰金、またはこれを併科
名義貸し(他人に宅建業を営ませた場合)、不正の手段で免許を取得した場合も同じ。
法人に対しては 1 億円以下の罰金(両罰規定)。
誇大広告をした場合の罰則は?
6 月以下の拘禁刑もしくは 100 万円以下の罰金、またはこれを併科
不当な履行遅延(44 条)も同じ。
不当に高額の報酬を要求した場合は 1 年以下の拘禁刑もしくは 100 万円以下の罰金。
宅地建物取引士証の提示義務に違反した場合は?
10 万円以下の過料
刑罰ではなく過料。取引士証を返納・提出しなかった場合も同じ。
守秘義務(45 条)に違反した場合は?
50 万円以下の罰金
親告罪であり、告訴がなければ公訴を提起できない。