盛土規制法
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
正式名称は「宅地造成及び特定盛土等規制法」。
根拠は盛土規制法 2 条(定義)、10 条(宅地造成等工事規制区域)、12 条(工事の許可)、
17 条(完了検査)、18 条(中間検査)、19 条(定期の報告)、21 条(保全義務)、
22 条(改善命令)、26 条(工事等の届出)、45 条(造成宅地防災区域)。
2026-08-01 に e-Gov の条文原文と突合済み。
0. どういう制度か
盛土や切土をした土地は、大雨のときに崩れて人命を奪う。2021 年の熱海の土石流を受けて、
従来の宅地造成等規制法が用途を問わず・盛土全般を対象とする法律に作り替えられた。
区域は 2 つあり、名前が似ているので役割で分ける。
| 区域 | どこに指定するか | 何のためか |
|---|---|---|
| 宅地造成等工事規制区域 | 市街地・集落など、被害を及ぼしうる区域 | これからの工事を許可制にする |
| 造成宅地防災区域 | 上記区域外の、すでに造成された宅地 | 既にある危険な宅地を是正させる |
許可が必要になる規模は、崖の高さと面積で決まる。
| 工事 | 許可が必要になる規模 |
|---|---|
| 切土 | 高さ 2 メートル超の崖を生じる |
| 盛土 | 高さ 1 メートル超の崖を生じる |
| 切土と盛土を同時に行う | 高さ 2 メートル超の崖を生じる |
| 崖を生じない盛土 | 高さ 2 メートル超 |
| 面積 | 切土・盛土をする土地の面積が 500 平方メートル超 |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 盛土のほうが崖の基準が低い(1 メートル超。盛った土は締まっておらず崩れやすい)
- 面積 500 平方メートル超なら、崖の高さに関係なく許可が要る
- 造成宅地防災区域は、宅地造成等工事規制区域「外」に指定される
1. 区域と定義
根拠: 盛土規制法 2 条、10 条 1 項、26 条 1 項、45 条 1 項
宅地造成等工事規制区域は誰が指定する?
都道府県知事(指定都市・中核市の長を含む)
宅地造成・特定盛土等・土石の堆積に伴い、災害が生じるおそれが大きい市街地・
市街地となろうとする土地の区域・集落の区域について指定する。
都市計画区域の内外を問わない。
この法律でいう「宅地」とは?
農地・採草放牧地・森林、および道路・公園・河川その他の公共施設の用に供する土地
以外の土地
つまり住宅用地に限られない。工場用地や資材置場も宅地に当たる。
造成宅地防災区域はどこに指定される?
宅地造成等工事規制区域「外」の土地で、
すでに造成された宅地のうち災害の発生のおそれが大きいもの(45 条)
すでにある宅地を是正させるための区域なので、
これからの工事を規制する宅地造成等工事規制区域とは重ならない。
2. 許可が必要な工事
根拠: 盛土規制法 12 条 1 項、盛土規制法施行令 3 条
宅地造成等工事規制区域内で、許可が必要になる切土・盛土の規模は?
- 切土 … 高さ 2 メートル超の崖を生じるもの
- 盛土 … 高さ 1 メートル超の崖を生じるもの
- 切土と盛土を同時に行い、高さ 2 メートル超の崖を生じるもの
- 崖を生じない盛土で、高さ 2 メートル超のもの
- 上記に該当しなくても、土地の面積が 500 平方メートル超のもの
高さ 0.5 メートルの崖を生じる盛土を、600 平方メートルの土地で行う。許可は必要?
必要
崖の高さでは基準に届かないが、面積が 500 平方メートルを超えるため。
面積要件は独立して働く。
許可を申請するのは誰?
工事主(工事の請負契約の注文者、または自ら工事をする者)
工事に着手する前に、都道府県知事の許可を受ける。
工事の技術的基準として求められるのは?
擁壁・排水施設の設置その他、崖崩れ・土砂の流出を防止するための措置。
一定規模以上の擁壁の設置等の工事は、政令で定める資格を有する者が
設計しなければならない。
3. 工事中と完了後
根拠: 盛土規制法 17 条 1 項、18 条 1 項、19 条 1 項、21 条 1 項・2 項、22 条 1 項
工事が完了したら、どうする?
都道府県知事の検査を申請し、技術的基準に適合していれば
検査済証の交付を受ける(17 条)
中間検査が必要になるのは?
特定工程(盛土をする前の地盤面・盛土の内部の排水施設の設置など)を含む
一定規模以上の工事。
高さ 5 メートル超の崖を生じる盛土など、政令で定める規模の工事が対象。
許可を受けた工事について、定期の報告は必要?
必要(19 条)
一定規模以上の工事については、
3 か月ごとに工事の実施状況等を知事に報告しなければならない。
造成された土地の所有者・管理者・占有者は、どんな義務を負う?
宅地造成等に伴う災害が生じないよう、常時安全な状態に維持するよう努める(21 条 1 項)
知事は、災害防止のため必要があれば勧告でき、
災害の防止のため必要な擁壁等が設置されていない場合には改善命令を出せる(22 条)。
4. 届出が必要な場合
根拠: 盛土規制法 21 条 3 項、26 条 1 項〜3 項
許可の対象にならない行為でも、危険を増やしうるものは把握しておく必要がある。
そこで届出制が置かれている。期限の 21 日・14 日は取り違えやすい。
宅地造成等工事規制区域の指定時に、すでに工事中だった場合は?
工事主は、指定があった日から 21 日以内に、
都道府県知事に届け出る(許可ではない)
高さ 2 メートルを超える擁壁や排水施設を除却する工事をするときは?
工事に着手する日の 14 日前までに、都道府県知事に届け出る(26 条 2 項)
許可を受けた工事として行う場合を除く。
宅地造成等工事規制区域内の土地を、公共施設用地から宅地に転用したときは?
転用した日から 14 日以内に、都道府県知事に届け出る(26 条 3 項)
こちらは事後の届出。
5. 監督処分と報告徴収
根拠: 盛土規制法 20 条 1 項、25 条
知事は、無許可で工事をした者に何ができる?
工事の施行の停止を命じ、または相当の猶予期限を付けて
擁壁等の設置その他の必要な措置を命じることができる(20 条)
土地の所有者・管理者・占有者や工事施工者に対しても命じられる。
知事は土地の所有者等に報告を求められる?
求められる(25 条)
宅地造成等工事規制区域内の土地の所有者・管理者・占有者に対し、
土地または工事の状況について報告を求めることができる。