土地区画整理法
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は土地区画整理法 2 条(定義)、3 条(施行者)、14 条(組合の設立)、25 条(組合員)、
76 条(建築行為等の制限)、86 条(換地計画)、89 条(換地照応の原則)、
95 条、96 条(保留地)、98 条(仮換地の指定)、99 条、100 条、103 条(換地処分)、
104 条(換地処分の効果)、106 条、107 条(登記)。2026-08-01 に e-Gov の条文原文と突合済み。
0. どういう制度か
道が細く区画がばらばらな市街地を、いったん全部の土地を位置ごとずらして並べ直す事業である。
道路や公園の用地は、地権者が少しずつ土地を出し合って生み出す(減歩)。
事業は 3 つの段階で進み、それぞれ土地の扱いが変わる。
| 段階 | 従前の宅地 | 使えるのはどこか |
|---|---|---|
| 事業計画決定の公告後 | そのまま | 従前地(建築等には知事等の許可が要る) |
| 仮換地の指定後 | 所有権はそのまま | 仮換地(従前地は使えない) |
| 換地処分の公告後 | 換地が従前の宅地とみなされる | 換地 |
所有権が移るのは換地処分の公告の翌日であり、仮換地の指定では移らない。
ここが最大の分かれ目である。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 仮換地を指定されても、従前の宅地を売ることはできる(所有権は動いていない)
- 換地処分の効果は、公告の日の「翌日」に生じる(清算金と公共施設の帰属だけが公告の日)
- 保留地は、換地処分の公告の翌日に施行者が取得する
1. 施行者
根拠: 土地区画整理法 3 条 1 項〜4 項、14 条 1 項、18 条、25 条 1 項
土地区画整理事業の施行者になれるのは?
- 個人(宅地の所有者・借地権者、またはその同意を得た者)
- 土地区画整理組合
- 区画整理会社
- 地方公共団体(都道府県・市町村)
- 国土交通大臣
- 都市再生機構・地方住宅供給公社
土地区画整理組合を設立するには?
7 人以上が共同して定款・事業計画を定め、
都道府県知事の認可を受ける(14 条 1 項)
設立には、施行地区内の宅地の所有者および借地権者のそれぞれ 3 分の 2 以上の同意
(かつ同意者の宅地・借地の地積の合計が 3 分の 2 以上)が必要(18 条)。
組合の組合員になるのは誰?
施行地区内の宅地の所有者および借地権者のすべて(25 条 1 項)
設立に同意しなかった者も当然に組合員となる。
組合員から宅地を承継した者も、組合員の地位を承継する。
組合が施行する事業で、公共施設の用地はどこから生み出す?
減歩(各地権者の宅地の面積を少しずつ減らす)と、
保留地の処分による事業費の調達。
組合は、定款で定めれば事業に要する費用に充てるため保留地を定められる(96 条 1 項)。
公的施行の場合は、土地の価額の総額が増加する範囲内に限られる。
2. 建築行為等の制限
根拠: 土地区画整理法 76 条 1 項・4 項
工事の進行中に建物が建つと、換地の設計がやり直しになる。
だから事業計画が決まった段階から規制が始まる。
施行地区内で、建築行為等に許可が必要になるのはいつから?
事業計画の決定(認可)の公告があった日から、
換地処分の公告がある日まで(76 条 1 項)
対象は、土地の形質の変更・建築物その他の工作物の新築改築増築、
および移動の容易でない物件の設置・堆積。
76 条の許可権者は?
- 個人施行者・組合・区画整理会社・市町村・機構等が施行する場合 … 都道府県知事等
- 国土交通大臣が施行する場合 … 国土交通大臣
施行者が許可するのではない点に注意。
許可を受けずに建築した場合は?
許可権者は、建築物等の移転・除却を命じることができる(76 条 4 項)
命令には相当の期限を付ける。
3. 仮換地の指定
根拠: 土地区画整理法 98 条 1 項・5 項、99 条 1 項・2 項、100 条 1 項、101 条
仮換地は「工事のあいだ、代わりにここを使ってください」という指定であって、
権利そのものは動かさない。だから登記も移らないし、売買も従前地について行う。
仮換地を指定するとき、施行者は何をする?
仮換地となるべき土地の所有者と従前の宅地の所有者に対し、
仮換地の位置・地積と、仮換地の指定の効力発生の日を通知する(98 条 5 項)
組合が施行する場合は総会等の同意、個人施行者は関係権利者の同意が必要。
仮換地の指定を受けたら、従前の宅地はどうなる?
効力発生の日から換地処分の公告の日まで、
従前の宅地について使用・収益ができなくなる(99 条 1 項)。
代わりに仮換地を使用・収益できる
所有権は従前の宅地に残るので、従前の宅地を売却することはできる。
仮換地に使用収益の障害があるとき、施行者はどうできる?
使用または収益を開始できる日を、効力発生の日と別に定められる(99 条 2 項)
この場合、仮換地の使用収益はその日から可能になる。
仮換地の指定により使用できなくなった従前の宅地は、誰が管理する?
施行者が管理する(100 条の 2)
また、施行者は、仮換地の指定に伴い必要があれば従前の建築物の移転・除却ができる(77 条)。
仮換地の指定により損失を受けた者は?
施行者に対して損失の補償を請求できる(101 条)
使用収益ができない期間について、施行者が補償する。
4. 換地計画と換地処分
根拠: 土地区画整理法 86 条 1 項、87 条、89 条 1 項、90 条、95 条、103 条 1 項・4 項
換地計画には何を定める?認可は必要?
換地設計・各筆換地明細・各筆各権利別清算金明細・保留地その他の特別の定めをする土地。
施行者が都道府県知事以外の場合は、都道府県知事の認可が必要(86 条 1 項)。
換地照応の原則とは?
換地は、従前の宅地と位置・地積・土質・水利・利用状況・環境等が
照応するように定めなければならない(89 条 1 項)
ただし、申出により換地を定めないこともできる(90 条・所有者の同意が必要)。
換地処分はどう行われる?
関係権利者に対し、換地計画において定められた関係事項を通知して行う(103 条 1 項)。
原則として換地計画に係る区域の全部について工事が完了した後に行うが、
規準・規約・定款・施行規程に別段の定めがあれば工事の完了前にもできる。
換地処分の公告があった日の「翌日」に生じる効果は?
- 換地が従前の宅地とみなされる(所有権の移転)
- 換地を定めなかった従前の宅地の権利が消滅する
- 保留地を施行者が取得する
- 換地に地役権を除く権利が移る
換地処分の公告があった日に(翌日ではなく)生じる効果は?
- 清算金が確定する
- 事業により設置された公共施設が、原則として市町村の管理に属する
- 公共施設の用に供する土地が、原則として市町村に帰属する
換地処分に伴う登記は誰が行う?
施行者が、遅滞なく変更・更正の登記を申請または嘱託する(107 条)
この登記がされるまでは、原則として施行地区内の土地について
他の登記をすることができない。
5. 清算金
根拠: 土地区画整理法 94 条、110 条 1 項
清算金はどんなときに定める?
換地を定め、または定めないことによって不均衡が生じると認められるときに、
金銭で清算するために定める(94 条)
換地処分の公告の日に確定し、施行者が徴収または交付する。