景品表示法
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」。
根拠は景品表示法 4 条(景品類の制限)、5 条(不当な表示の禁止)、7 条(措置命令)、
8 条(課徴金納付命令)、31 条(公正競争規約)。
実務の細目は、この規約に基づく不動産の表示に関する公正競争規約が定める
(規約は条番号を持つが e-Gov の法令ではないため、条文突合の対象外)。
2026-08-01 に条文原文および規約本文と突合済み。
0. どういう制度か
広告の嘘を止める法律は 2 つある。宅建業法 32 条(誇大広告等の禁止)と、この景品表示法である。
違いは誰を守るかにある。
| 宅建業法 32 条 | 景品表示法 | |
|---|---|---|
| 対象 | 宅建業者の広告 | すべての事業者の広告 |
| 何を守るか | 取引の相手方 | 一般消費者の自主的・合理的な選択 |
| 制裁 | 監督処分・罰則 | 措置命令・課徴金(売上額の 3%) |
実際の出題は、業界団体が作った公正競争規約の細かい表示ルールが中心である。
「徒歩 1 分=80 メートル」のような数字は、法律ではなく規約に書かれている。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 徒歩の所要時間は道路距離 80 メートルにつき 1 分、端数は切り上げ
- 「新築」は建築後 1 年未満かつ未入居(どちらか一方では足りない)
- 市街化調整区域である旨は 16 ポイント以上の文字で明示
1. 景品類の制限と不当表示
根拠: 景品表示法 4 条、5 条 1 号〜3 号、7 条 1 項、8 条 1 項
不当表示として禁止されるのは?
① 優良誤認表示 … 品質・規格その他の内容について、実際のものより著しく優良であると
示す表示
② 有利誤認表示 … 価格その他の取引条件について、実際のものより著しく有利であると
誤認される表示
③ 内閣総理大臣が指定するもの(おとり広告、原産国に関する表示など)
不当表示があったとき、消費者庁長官は何ができる?
措置命令(表示の差止め、再発防止措置、公示等)を命じられる(7 条)。
優良誤認・有利誤認表示については、
対象商品・役務の売上額の 3% の課徴金納付命令も出せる(8 条)。
懸賞による景品類の限度額は?
- 一般懸賞 … 取引価額の 20 倍または 10 万円のいずれか低い額。
景品類の総額は懸賞に係る売上予定総額の 2% - 総付景品(もれなく提供) … 取引価額の 10 分の 1 または 100 万円の
いずれか低い額
2. 距離と時間の表示
根拠: 不動産の表示に関する公正競争規約 15 条、表示規約施行規則 9 条 9 号〜11 号
数字が一律に決まっているのは、業者ごとに測り方が違うと比較できなくなるからである。
だから「実際に歩いた時間」ではなく、機械的に道路距離から算出させる。
徒歩による所要時間はどう表示する?
道路距離 80 メートルにつき 1 分として算出し、
1 分未満の端数は切り上げる
信号待ちや坂道による時間は考慮しない。
物件が複数ある場合(分譲地など)の所要時間はどう表示する?
それぞれの区画のうち、駅等から最も近い区画と最も遠い区画の
両方について表示する
最も近い区画だけを表示することはできない。
自転車による所要時間はどう表示する?
道路距離を明示して、走行に要する時間を表示する
自転車の速度は、道路の状況に応じ、走行に通常要する時間を表示する。
学校・病院・公園などの施設は、どう表示する?
現に利用できるものを、物件からの道路距離または徒歩所要時間を明示して表示する。
将来設置される予定の施設は、設置予定時期を明示して表示できる。
3. 物件の表示
根拠: 不動産の表示に関する公正競争規約 18 条、表示規約施行規則 3 条・7 条
「新築」と表示できるのは?
建築工事完了後 1 年未満であって、かつ居住の用に供されたことがないもの
築 11 か月でも一度誰かが住めば「新築」とは表示できない。
「新発売」と表示できるのは?
新たに造成された宅地・新築の住宅について、
一般消費者に対し、初めて購入の申込みの勧誘を行うこと
一団の宅地建物について、2 回以上に分けて売り出す場合は、
そのそれぞれについて「新発売」と表示できる。
市街化調整区域内の土地を広告するとき、必要な表示は?
「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません」と、
16 ポイント以上の文字で明示する
(開発許可を受けている場合等を除く。)
傾斜地を含む土地について、必要な表示は?
傾斜地の割合がおおむね 30% 以上を占める場合(マンション・別荘地等を除く)は、
傾斜地を含む旨および傾斜地の割合または面積を明示する。
傾斜地の割合が 30% 未満でも、傾斜地を含むことにより
土地の有効な利用が著しく阻害される場合は明示が必要。
私道負担がある土地の表示は?
私道負担の面積を明示する
私道負担がない場合は「私道負担なし」と表示する。
面積の表示で認められる端数処理は?
1 平方メートル未満の端数は切り捨てて表示できる
住宅の居室等の広さを畳数で表示する場合は、
畳 1 枚あたり 1.62 平方メートル以上の広さがあるという意味で用いる。
4. 価格の表示
根拠: 不動産の表示に関する公正競争規約 20 条、表示規約施行規則 12 条
過去の販売価格を併記する二重価格表示ができる条件は?
- 過去の販売価格の公表日および値下げした日を明示する
- 値下げの日から 6 か月以内に表示する
- 過去の販売価格が、値下げの日から 2 か月以上前に公表され、かつ
3 か月以上の期間にわたり実際に販売のために公表していたものであること - 値下げ前後の価格差が 1 割以上であること
分譲宅地・新築分譲住宅の価格は、どう表示する?
1 区画(1 戸)あたりの価格を表示する。
10 以上の住宅・区画がある場合は、
最低価格・最高価格・最多価格帯とその数を表示すれば足りる。
おとり広告として禁止されるのは?
- 存在しない物件の広告
- 取引の対象となり得ない物件(すでに売却済み等)の広告
- 取引する意思がない物件の広告
宅建業法 32 条の誇大広告等の禁止にも該当する。