広告の規制
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は宅建業法 32 条(誇大広告等の禁止)、33 条(広告の開始時期の制限)、
34 条(取引態様の明示)、36 条(契約締結等の時期の制限)、施行規則 15 条の 6。
2026-08-01 に e-Gov の条文原文と突合済み。
0. どういう制度か
広告は、消費者が業者と会う前にただ一方的に受け取る情報である。会って質問することができない以上、
そこに嘘があると取り返しがつかない。そこで、内容(32 条)・時期(33 条)・立場の明示(34 条)の
三方向から縛っている。
いちばん狙われるのは 33 条(広告)と 36 条(契約)のズレである。
| 広告(33 条) | 契約(36 条) | |
|---|---|---|
| 売買・交換 | 許可・確認前はできない | 許可・確認前はできない |
| 貸借の代理・媒介 | 許可・確認前はできない | 許可・確認前でもできる |
広告のほうが広く禁止されている(貸借まで巻き込む)と覚える。広告は不特定多数に届き、
撤回しても消えないからである。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 誇大広告は、契約が成立しなくても・損害が出なくても違反
- 取引態様の明示は「広告のとき」と「注文を受けたとき」の 2 回
- 未完成物件でも、貸借の代理・媒介の契約なら確認前に締結できる
1. 誇大広告等の禁止
根拠: 宅建業法 32 条
規制されているのは「著しく事実に相違する表示」と「実際のものより著しく優良・有利であると
人を誤認させるような表示」で、誰かが実際に誤認したかは要件になっていない。
広告を出した時点で市場に嘘が流れているからである。
誇大広告等の禁止に違反するのは、どんな表示?
著しく事実に相違する表示、または実際のものより著しく優良・有利であると
人を誤認させるような表示をすること
「誤認させるような」表示であれば足り、実際に誤認した人がいるかは問わない。
誇大広告を出したが、契約は 1 件も成立しなかった。違反になる?
なる
契約の成立も、損害の発生も要件ではない。広告をした時点で違反が成立する。
監督処分に加え、6 月以下の拘禁刑または 100 万円以下の罰金(併科あり)。
実際には存在しない物件を広告した(おとり広告)。32 条違反になる?
なる
売る意思のない物件・すでに売却済みの物件の広告も、
「著しく事実に相違する表示」として違反になる。
誇大広告等の禁止の対象となる事項は?
- 宅地建物の所在・規模・形質
- 現在または将来の利用の制限・環境・交通その他の利便
- 代金・借賃等の対価の額や支払方法
- 代金・交換差金に関する金銭の貸借のあっせん
物件そのものだけでなく、ローンのあっせんまで含む。
2. 広告開始時期の制限
根拠: 宅建業法 33 条
まだ許可も確認も下りていない物件は、そもそも建てられるかどうかが未確定である。
それを広告に出せば、実現しないかもしれないものを既定のものとして消費者に見せることになる。
未完成の宅地建物について広告できるのはいつから?
開発許可・建築確認その他法令に基づく許可等の処分があった後
売買・交換だけでなく、貸借の代理・媒介の広告も禁止される。
処分を申請中であることを明示しても広告はできない。
建築確認を受けた後、変更の確認を申請中である。当初の確認内容で広告できる?
できる(変更の確認を申請中である旨を表示すれば、当初の確認の内容で広告できる)
新たな確認が下りるまで一切広告できなくなるわけではない。
3. 契約締結時期の制限
根拠: 宅建業法 36 条
契約まで禁止すると、賃貸の入居予定者は「完成してから探し始める」しかなくなり、かえって困る。
貸借は金額も拘束も小さいので、契約だけは先に結ばせるという線引きになっている。
未完成物件について、確認前でも締結できる契約は?
貸借の代理・媒介の契約
自ら売主となる売買、売買・交換の代理・媒介は、いずれも処分があるまで締結できない。
広告(33 条)は貸借まで禁止されるのと食い違うので、必ず対で覚える。
宅建業者が「自ら貸主」として建物を貸す。宅建業法の広告・契約の規制を受ける?
受けない(そもそも宅建業に当たらない)
自ら貸借は取引に含まれないため、免許も不要で、業法上の規制も及ばない。
4. 取引態様の明示
根拠: 宅建業法 34 条 1 項・2 項
同じ物件でも、業者が売主なのか媒介なのかで、消費者が払う金額(報酬の有無)も、
負う責任の重さも変わる。だから広告のたび、そして注文を受けたときにもう一度明示させる。
取引態様の明示は、いつ行う?
広告をするときと、注文を受けたとき遅滞なくの 2 回
広告で明示していても、注文を受けたら改めて明示しなければならない。
取引態様の明示の方法に決まりはある?
ない(口頭でもよい。書面である必要はない)
明示する内容は、自ら売買・交換の当事者となるのか、代理して売買・交換・貸借を成立させるのか、
媒介して成立させるのか、という別。
複数回に分けて同じ物件の広告を出す。毎回、取引態様を明示する?
する(広告のたびに明示が必要)
前回の広告で明示したことをもって省略はできない。