媒介契約
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は宅建業法 34 条の 2(媒介契約)、施行規則 15 条の 10(指定流通機構への登録期間)。
2026-08-01 に e-Gov の条文原文と突合済み。
0. どういう制度か
媒介の依頼者は、業者が本当に売る努力をしているかを外から確認できない。
特に専任媒介は他の業者に頼む道を閉ざすので、業者が抱え込んで放置しても依頼者は動けなくなる
(囲い込み)。そこで、依頼者を縛る度合いが強い契約ほど業者側の義務を重くするという設計になっている。
| 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 | |
|---|---|---|---|
| 有効期間の上限 | なし | 3 月 | 3 月 |
| 指定流通機構への登録 | 義務なし | 7 日以内 | 5 日以内 |
| 業務処理状況の報告 | 義務なし | 2 週間に 1 回以上 | 1 週間に 1 回以上 |
縛りが強い順に義務も重くなる、という一本の理屈で覚えれば、数字を取り違えにくい。
なお登録期間の日数には休業日を算入しない。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 貸借の媒介には 34 条の 2 が適用されない(書面の作成義務がない)
- 記名押印するのは業者(宅建士ではない)
- 3 月を超える期間を定めても契約は無効にならず、3 月に短縮される
1. どの契約に適用されるか
根拠: 宅建業法 34 条の 2 第 1 項
34 条の 2 は売買・交換の媒介にしか適用されない。貸借は金額が小さく、
契約も短期で流動的なので、書面義務まで課す必要が薄いと整理されている。
(貸借でも 35 条・37 条の書面は必要である点と混同しやすい。)
媒介契約書の作成・交付が義務づけられるのは、どんな媒介か?
売買・交換の媒介(および代理)
貸借の媒介には 34 条の 2 が適用されず、書面の作成義務はない。
35 条書面・37 条書面は貸借でも必要なので、そこと混同しないこと。
媒介契約書に記名押印するのは誰?
宅地建物取引業者
宅建士ではない。
35 条書面・37 条書面が宅建士の記名であるのと逆になっている。
2. 有効期間
根拠: 宅建業法 34 条の 2 第 3 項・4 項
期間の上限は依頼者を長く縛らないための規制なので、上限を超えた合意は上限まで削られるだけで、
契約そのものを無効にはしない(無効にすると依頼者が保護されない)。
更新も、業者の側から自動で延ばせては規制の意味がないため、依頼者の申出を必要としている。
専任媒介契約で有効期間を 6 月と定めた。この契約はどうなる?
契約は有効のまま、期間だけが 3 月になる
無効になるのではなく短縮される。
一般媒介契約には期間の上限がない。
専任媒介契約に「期間満了後、自動的に更新する」という特約を付けた。有効?
無効
更新は依頼者の申出によらなければならない。
更新後の期間も 3 月を超えられない。
3. 指定流通機構への登録
根拠: 宅建業法 34 条の 2 第 5 項〜7 項、施行規則 15 条の 10
登録は、抱え込みを防いで物件情報を市場に出させるための仕組み。
だから他の業者に頼めない専任型にだけ課され、より強く縛る専属専任のほうが期限が短い。
専任媒介契約・専属専任媒介契約で、指定流通機構に登録すべき期限は?
専任は締結の日から 7 日以内、専属専任は 5 日以内
いずれも休業日は算入しない。
一般媒介契約には登録義務がない。
指定流通機構に登録した業者が、その後しなければならないことは?
登録を証する書面を遅滞なく依頼者に引き渡すこと。
売買・交換の契約が成立したら、遅滞なくその旨を指定流通機構に通知すること
成約情報を戻させることで、市場のデータを正しく保つ。
4. 報告義務
根拠: 宅建業法 34 条の 2 第 8 項・9 項
依頼者は自分では探せない立場に置かれるので、業者の動きを定期的に知らせる義務を負わせる。
縛りが強いほど頻度が上がるのは、依頼者の自由を奪った分の埋め合わせという位置づけ。
専任媒介契約・専属専任媒介契約で、業務の処理状況を報告すべき頻度は?
専任は 2 週間に 1 回以上、専属専任は 1 週間に 1 回以上
報告の方法に定めはなく、口頭でもよい。
一般媒介契約に定期報告の義務はない。
一般媒介契約を締結した物件に、購入の申込みがあった。依頼者に報告する義務はある?
ある(媒介契約の種類を問わず、遅滞なく報告する)
定期報告と違い、申込みがあったときの報告はすべての媒介契約に共通の義務。
5. 記載事項と特約
根拠: 宅建業法 34 条の 2 第 1 項 4 号・第 2 項・第 10 項・第 11 項
依頼者に売買すべき価額について意見を述べるとき、業者は何をしなければならない?
その根拠を明らかにする
根拠さえ示せば方法は問われず、口頭でもよい。
根拠を示すための調査に費用がかかっても、依頼者に請求できない。
既存建物の媒介契約書に記載すべき、建物状況調査に関する事項とは?
建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項
調査そのものを実施する義務ではなく、あっせんするかどうかを書面に書く義務。
媒介契約について、依頼者に不利な特約はどうなる?
無効
有効期間・更新・指定流通機構への登録・登録を証する書面の引渡し・報告義務に反する特約が対象。
逆に依頼者に有利な特約(報告を毎日する等)は有効。
媒介契約書の交付に代えて、電磁的方法で提供できる?
できる(依頼者の承諾が必要)
承諾を得て所定の方法で提供すれば、記名押印して交付したものとみなされる。