宅地建物取引士
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は宅建業法 15 条(業務処理の原則)、18 条(登録)、19 条の 2(登録の移転)、20 条(変更の登録)、
21 条(死亡等の届出)、22 条の 2(取引士証)、22 条の 4(提示義務)、31 条の 3(専任の取引士の設置)、
施行規則 15 条の 5 の 3。2026-08-01 に e-Gov の条文原文と突合済み。
0. どういう制度か
取引士は「業者の中に置かれた、消費者側を向いた専門家」という位置づけである。
だから資格は業者ではなく個人に紐づき、業者が潰れても登録は残る。
段階が 3 つあり、それぞれ別の役所・別の期限で動く。ここを混ぜるのが最大の失点源。
| 段階 | 誰に対して | 有効期間 |
|---|---|---|
| 試験合格 | — | 一生(合格そのものは失効しない) |
| 資格登録 | 試験を行った都道府県知事 | 一生(有効期間なし) |
| 取引士証の交付 | 登録している都道府県知事 | 5 年 |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 有効期間があるのは取引士証だけ(登録には無い)
- 変更の登録は「遅滞なく」、死亡等の届出は「30 日以内」
- 登録の移転は任意(できる)だが、事務禁止処分中はできない
1. 登録を受けられる者
根拠: 宅建業法 18 条 1 項
登録は「一人で重要事項説明の場に立たせてよいか」の審査なので、合格だけでは足りず
実務の経験を要求する。経験が無い者には講習で代替させる。
宅建士試験に合格した者が資格登録を受けるには、合格のほかに何が必要?
2 年以上の実務経験、または登録実務講習の修了
登録を受けるのは、試験を行った都道府県知事(受験地の知事)。
勤務先や住所地の知事ではない。
未成年者は宅地建物取引士の登録を受けられる?
婚姻していない未成年者は、原則として受けられない
ただし、法定代理人から宅建業の営業に関し許可を受けている未成年者は登録できる。
登録を受けている者が、破産手続開始の決定を受けた。登録はどうなる?
登録が消除される(欠格事由に当たる)
復権を得れば直ちに登録を受けられる(5 年待つ必要はない)。
免許の欠格事由と同じ扱い。
2. 変更の登録・登録の移転・死亡等の届出
根拠: 宅建業法 19 条の 2、20 条、21 条
登録簿は「この取引士が今どこで働いているか」を追えるようにするための帳簿である。
だから勤務先が変わったら遅滞なく直させる。一方、本人が動けなくなる事由は
周りの人が届け出るしかないので、期限を切って 30 日以内としている。
登録を受けている宅建士の氏名・住所・本籍が変わった。どうする?
遅滞なく変更の登録を申請する(登録している知事へ)
勤務先の宅建業者の商号・名称と免許証番号も変更の登録の対象。
「30 日以内」ではなく「遅滞なく」である点に注意。
登録の移転はどんなときにできる?義務?
登録している知事以外の知事の管轄区域内にある事務所に勤務する(勤務しようとする)ときに
できる。任意であって義務ではない
住所を移しただけでは移転できない。
また、事務禁止処分を受けている間は登録の移転を申請できない。
登録の移転をした。取引士証の有効期間はどうなる?
従前の取引士証の残りの期間を引き継ぐ(新しく 5 年にはならない)
移転先の知事が新しい取引士証を交付するが、期間は延びない。
免許換えで有効期間が 5 年に戻るのと逆なので、混同しやすい。
登録を受けている者が死亡した。誰が、いつまでに届け出る?
相続人が、死亡の事実を知った日から 30 日以内に、登録している知事へ
心身の故障により業務を適正に営めなくなったときは本人・法定代理人・同居の親族が、
その他の欠格事由に当たったときは本人が、その日から 30 日以内に届け出る。
3. 取引士証
根拠: 宅建業法 22 条の 2、22 条の 4
取引士証は「今この人は取引士として動ける状態にある」ことの証明なので、
知識が古びないよう 5 年ごとに講習をはさむ。合格直後の者に講習を課さないのは、
試験そのものが直近の知識を確かめたばかりだからである。
取引士証の交付を受けるには、申請前いつまでの講習を受ける必要がある?
交付の申請前 6 月以内に行われる、登録している知事が指定した講習(法定講習)
ただし、試験合格の日から 1 年以内に交付を受けようとする者は受講不要。
取引士証の有効期間は?更新は?
5 年。申請により更新でき、更新後も 5 年
更新の際にも、申請前 6 月以内の法定講習を受けなければならない。
重要事項の説明をするとき、取引士証はどうする?
相手方から請求がなくても提示しなければならない
一方、取引の関係者から請求があったときは、いつでも提示しなければならない。
「請求がなくても」は重要事項説明の場面だけである。
取引士証の提示義務に違反した場合の制裁は?
10 万円以下の過料
罰金でも科料でもなく「過料」。
取引士証を返納・提出しなかった場合も同じ 10 万円以下の過料。
事務禁止処分を受けた。取引士証はどうする?
速やかに、交付を受けた知事に提出する
登録が消除されたとき・取引士証が失効したときは「返納」。
事務禁止処分のときは「提出」で、期間満了後に返還を請求できる。
4. 専任の宅地建物取引士
根拠: 宅建業法 31 条の 3、施行規則 15 条の 5 の 3
説明の場に専門家が確実にいるようにするための人数規制なので、
契約の意思決定が行われる場所ほど厳しく、単なる案内だけの場所には課されない。
事務所に置くべき専任の宅地建物取引士の数は?
業務に従事する者 5 人に 1 人以上
端数は切り上げ(従業者 11 人なら 3 人以上)。
契約の申込みを受ける案内所に置くべき専任の取引士の数は?
1 人以上(従事者数にかかわらず)
申込みも契約も行わない、単なる展示のみの案内所には設置義務がない。
専任の取引士が退職して人数が足りなくなった。どうする?
2 週間以内に必要な措置を執る
補充だけでなく、業務の縮小など人数を満たす措置であればよい。
措置を執ったら、専任の取引士の氏名について変更の届出(30 日以内)も必要。
宅建業者が自ら宅地建物取引士である場合、その者は専任の取引士とみなされる?
みなされる(その者が主として業務に従事する事務所について)
法人の場合は、役員が取引士であれば、その者が従事する事務所について同じ扱い。