免許の欠格事由
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は宅建業法 5 条 1 項(免許の基準)、66 条 1 項 8 号・9 号(5 年待ちの対象となる取消事由)、
11 条 1 項 4 号・5 号(廃業等の届出)、31 条の 3(事務所ごとの専任の宅建士)。
2026-08-01 に e-Gov の条文原文と突合済み(刑法改正により「禁錮」は 拘禁刑 に変わっている)。
0. どういう制度か
免許は「他人の財産を預かって取引を仲立ちする資格」なので、
信用できない者を入口で弾くのが 5 条の役割。ポイントは 2 つ。
- なぜ 5 年か … 過去の非行は一生ついて回るものではない。反省と更生の期間として一律 5 年を置き、
それを過ぎれば免許を受けられる。だから「いつから 5 年か」の起算点が問われる。 - なぜ本人以外も見るか … 法人や未成年者は、実際に動かしている人間(役員・法定代理人・使用人)が
信用できなければ意味がない。名義だけ替えて潜り込むのを防ぐため、周辺の人まで審査が及ぶ。
引っかけの分かれ目は次の 3 つに集約される。
- 5 年待つのか、待たなくていいのか(破産・執行猶予は待たない)
- 罰金は、どの罪なら 5 年待ちか
- 免許を取り消されたら必ず 5 年か(対象は 3 つの取消事由だけ)
1. 破産・刑罰
根拠: 宅建業法 5 条 1 項 1 号・5 号・6 号
破産は借金の整理手続であって、不誠実さの証明ではない。だから復権すればその時点で終わり。
一方、刑罰を受けた者に更生期間を置くのは当然として、刑の重さで線を引く。
拘禁刑以上ならどんな罪でも 5 年、罰金なら「取引の相手を害しかねない罪」だけを拾う、という組み立て。
破産手続開始の決定を受けた。復権を得たら、いつから免許を受けられる?
復権を得れば直ちに受けられる(5 年待つ必要はない)
欠格なのは「復権を得ない者」だけ。
拘禁刑に処せられた。いつから免許を受けられる?
刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から 5 年を経過したとき
拘禁刑以上の刑なら、罪の種類は問わない(過失犯でも同じ)。
拘禁刑に処せられたが、執行猶予がついた。猶予期間が満了したらどうなる?
満了と同時に免許を受けられる(さらに 5 年待つ必要はない)
猶予期間が満了すれば刑の言渡しは効力を失うため。
猶予期間中は欠格のままである点に注意。
第一審で拘禁刑の判決を受けたが、控訴して係争中。免許を受けられる?
受けられる
欠格事由は「刑に処せられた」こと、つまり刑の確定を前提にしている。
確定していない以上は該当しない。
罰金の刑で 5 年待たされるのは、どんな罪を犯した場合か?
宅建業法違反、暴力団対策法違反、暴力行為等処罰法の罪、
および刑法の傷害・現場助勢・暴行・凶器準備集合・脅迫・背任
暴力性のある罪と、取引の信用に直結する罪に限られている。
自動車の過失運転致傷で罰金の刑に処せられた。免許を受けられる?
受けられる
罰金で欠格になるのは限定列挙された罪だけで、過失運転致死傷は入っていない。
同じ行為でも拘禁刑になれば 5 年待ちになる。
2. 免許を取り消された場合
根拠: 宅建業法 5 条 1 項 2 号〜4 号、66 条 1 項 8 号・9 号
取消しにも軽重がある。悪質な 3 つの取消事由だけが 5 年の締め出しを伴い、
事務所の要件を欠いたなど是正すれば済む取消しは、直したその時点で再申請できる。
さらに、聴聞の公示を受けてから慌てて廃業届を出し、取消しを免れて 5 年を回避する——
という抜け道を塞ぐ規定(3 号・4 号)が続けて置かれている。
免許を取り消されると必ず 5 年間は免許を受けられない?
そうではない。5 年の対象は 66 条 1 項 8 号・9 号による取消しだけ
具体的には、
不正の手段で免許を受けた/業務停止処分事由に該当し情状が特に重い/業務停止処分に違反した、
この 3 つ。
事務所に置くべき専任の宅建士が不足したまま是正せず、免許を取り消された。5 年待つ?
待たない(是正すれば直ちに免許を受けられる)
5 年の対象となる 3 つの取消事由に当たらないため。
法人が悪質な 3 事由で免許を取り消された。この法人の役員はどうなる?
取消しに係る聴聞の期日・場所の公示の日前 60 日以内に役員だった者も、
取消しの日から 5 年は免許を受けられない
法人を畳んで役員が個人で免許を取り直す、という抜け道を塞ぐため。
聴聞の公示後、処分が決まる前に廃業の届出をして取消しを免れた。免許はいつから受けられる?
届出の日から 5 年を経過したとき
公示から処分(または不処分の決定)までの間の届出が対象。
ただし廃業に相当の理由がある場合は除かれる。
3. 本人以外を見る場合
根拠: 宅建業法 5 条 1 項 11 号〜13 号
実際に業務を動かす人が信用できなければ、名義人が清廉でも意味がない。
そこで「役員」は肩書ではなく実質的な支配力で判定し、相談役・顧問でも
取締役と同等以上の力を持つ者は役員として審査される。
法人の非常勤取締役に欠格事由がある。この法人は免許を受けられる?
受けられない
役員に常勤・非常勤の区別はない。
相談役・顧問など名称を問わず、業務を執行する役員と同等以上の支配力を持つ者も「役員」に含まれる。
法人の従業員に欠格事由がある。この法人は免許を受けられる?
役員または政令で定める使用人でなければ受けられる
見られるのは役員と、政令で定める使用人(事務所の代表者)だけ。
一般の従業員は対象外。
営業に関し成年者と同一の行為能力を有する未成年者。法定代理人に欠格事由があると免許を受けられない?
受けられる(法定代理人は関係ない)
法定代理人まで見るのは「成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」の場合。
自分で営業できる未成年者は本人だけを見る。
4. その他
根拠: 宅建業法 5 条 1 項 7 号〜10 号・14 号・15 号、31 条の 3、施行規則 15 条の 5 の 3
暴力団員でなくなった。いつから免許を受けられる?
やめた日から 5 年を経過したとき
現に暴力団員である者と同様に扱われる。
別に、暴力団員等が事業活動を支配している者も欠格。
免許の申請前 5 年以内に、宅建業に関して不正または著しく不当な行為をした。免許を受けられる?
受けられない
刑罰や処分を受けていなくても、行為そのもので欠格になる。
「不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者」も同じく欠格。
事務所に置くべき専任の宅建士の数が足りない状態で免許を申請した。免許を受けられる?
受けられない
31 条の 3 の要件(事務所ごとに業務に従事する者 5 人に 1 人以上の専任の宅建士)を欠く者は欠格。
人の信用ではなく体制の不備で弾かれる、唯一の類型。