印紙税
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は印紙税法 2 条(課税物件)、3 条(納税義務者)、4 条、5 条(非課税文書)、
8 条(印紙による納付)、20 条(過怠税)、別表第一。
2026-08-01 に e-Gov の条文原文と突合済み。
0. どういう制度か
契約書や領収書といった文書を作ったことに対してかかる国税である。
文書に印紙を貼って消印すれば納付したことになる、という簡便な方式をとっている。
宅建で問われるのは、課税されるかどうかと記載金額をどう読むかの 2 点に尽きる。
| 文書 | 課税 |
|---|---|
| 土地の売買契約書、土地の賃貸借契約書 | 課税 |
| 建物の賃貸借契約書 | 不課税 |
| 建物の請負契約書 | 課税 |
| 営業に関する領収書 | 課税(5 万円未満は非課税) |
| 抵当権設定契約書、委任状、媒介契約書 | 不課税 |
土地の賃貸借だけ課税されるのは、権利金という形でまとまった対価が動くからである。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 建物の賃貸借契約書には課税されない(土地とは扱いが違う)
- 土地の賃貸借契約書の記載金額は権利金等(賃料は記載金額にならない)
- 契約金額を減額する変更契約書には記載金額がない(増額なら増加額が記載金額)
1. 課税文書と納税義務者
根拠: 印紙税法 2 条、3 条 1 項・2 項、5 条、別表第一
印紙税の納税義務者は?
課税文書の作成者
一つの文書を 2 以上の者が共同して作成した場合、
作成者は連帯して納税義務を負う。
国・地方公共団体と私人が共同で契約書を 2 通作成した。課税されるのはどちら?
- 国等が保存するもの(私人が作成したとみなされる) … 課税される
- 私人が保存するもの(国等が作成したとみなされる) … 非課税
保存する側ではなく、作成したとみなされる側で決まる。
建物の賃貸借契約書に印紙税は課税される?
課税されない
土地の賃貸借契約書は課税される(別表第一 1 号の 2)。
建物の賃貸借は課税物件表に掲げられていない。
抵当権設定契約書・媒介契約書は課税される?
いずれも課税されない
不動産の譲渡や土地の賃借権の設定に関する契約書ではないため。
一方、建物の請負契約書(2 号文書)や不動産の売買契約書(1 号文書)は課税される。
2. 記載金額の読み方
根拠: 印紙税法 2 条、別表第一(課税物件表・通則)
税額が金額で決まる以上、何を「契約金額」と読むかがそのまま税額を変える。
ここが出題の中心になる。
土地の賃貸借契約書の記載金額は?
権利金・礼金など、後日返還されない金額
賃料は記載金額にならない。
返還される保証金・敷金も記載金額に含まれない。
土地と建物を一括して 5,000 万円(うち建物 2,000 万円)で売買する契約書の記載金額は?
5,000 万円
区分されていても、契約書全体の契約金額の合計で判断する。
消費税額が区分して明記されている場合は、その消費税額は記載金額に含めない。
交換契約書の記載金額は?
- 双方の価額が記載されている場合 … 高いほうの金額
- 交換差金のみが記載されている場合 … 交換差金の額
「土地 3,000 万円と土地 3,500 万円を交換し、差額 500 万円を支払う」なら
記載金額は 3,500 万円。
契約金額を 5,000 万円から 6,000 万円に増額する変更契約書の記載金額は?
増加額の 1,000 万円
逆に 5,000 万円から 4,000 万円に減額する変更契約書は、
記載金額のない文書として扱われる(200 円)。
贈与契約書の記載金額は?
記載金額のない契約書として扱われる(印紙税額 200 円)
贈与には対価がないため。
「契約金額は別途定める」とだけ書いた契約書は?
記載金額のない契約書(200 円)
ただし、他の文書を引用して金額が計算できる場合は、その金額が記載金額となる。
3. 納付と過怠税
根拠: 印紙税法 8 条 1 項・2 項、20 条 1 項〜4 項
印紙税はどう納付する?
課税文書に印紙を貼り付け、その文書と印紙の彩紋とにかけて
判明に消印する(8 条)
消印は、作成者本人だけでなく代理人・使用人その他の従業者の印章・署名でもよい。
印紙を貼らなかった場合の過怠税は?
納付しなかった印紙税額の 3 倍(本来の税額とあわせて 3 倍)。
ただし、税務調査を受ける前に自主的に申し出た場合は 1.1 倍に軽減される。
印紙は貼ったが消印をしなかった場合は?
消印されていない印紙の額面金額に相当する過怠税が課される(20 条 2 項)
3 倍ではない。
契約書を作成したが、契約が成立しなかった。印紙税は還付される?
還付される(誤って貼った場合や、納付の必要がない文書に貼った場合を含む)
税務署長に還付を請求する。