区分所有法
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は区分所有法 2 条(定義)、4 条(共用部分)、11 条(共用部分の共有関係)、
17 条(共用部分の変更)、18 条(共用部分の管理)、22 条(分離処分の禁止)、
25 条(管理者の選任)、30 条・31 条(規約)、33 条(規約の保管)、34 条・35 条(集会)、
39 条(議決権)、45 条(書面決議)、61 条(小規模滅失)、62 条(建替え)。
2026-08-01 に e-Gov の条文原文と突合済み。
0. どういう制度か
一棟の建物を区切って所有すると、専有部分は各自の物だが、廊下・階段・外壁は共同で使う。
共同で使う部分をどう決めるかを定めたのが区分所有法である。
決議に必要な数は、その決定が各区分所有者の生活をどれだけ変えるかで段階が付いている。
| 事項 | 必要な決議 |
|---|---|
| 通常の管理・管理者の選任解任 | 区分所有者および議決権の各 過半数 |
| 共用部分の重大変更・規約の設定変更廃止・管理組合法人化 | 各 4 分の 3 以上 |
| 使用禁止請求・競売請求・引渡請求(義務違反者) | 各 4 分の 3 以上(訴えが必要) |
| 建替え | 各 5 分の 4 以上 |
共用部分の重大変更だけは、区分所有者の定数のみ規約で過半数まで減らせる。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 決議は「区分所有者の数」と「議決権(専有部分の床面積の割合)」の両方で数える
- 規約は書面か電磁的記録で作り、集会の決議は原則として招集通知に示した事項に限られる
- 建替え決議だけが 5 分の 4
1. 専有部分と共用部分
根拠: 区分所有法 2 条、4 条 1 項・2 項、11 条 1 項、22 条 1 項
共用部分を専有部分と切り離して売れると、廊下だけを他人が持つという事態になる。
そこで分離処分を禁止して、建物全体が一体で動くようにしている。
法定共用部分と規約共用部分の違いは?
- 法定共用部分 … 廊下・階段・エレベーターなど、構造上共用とされる部分。登記できない
- 規約共用部分 … 集会室・管理人室など本来は専有部分となりうる部分を、
規約で共用部分としたもの。登記しなければ第三者に対抗できない
共用部分の持分はどう決まる?
専有部分の床面積の割合による(11 条 1 項・14 条)
床面積は内側線で測る(壁心ではない)。
規約で別段の定めをすることもできる。
専有部分と共用部分の持分を分離して処分できる?
できない(22 条 1 項・分離処分の禁止)
敷地利用権についても同じ(規約に別段の定めがあるときを除く)。
一部共用部分とは?
一部の区分所有者のみの共用に供されることが明らかな共用部分
その一部の区分所有者だけの共有となるが、
規約で区分所有者全員の共有とすることもできる。
2. 共用部分の管理と変更
根拠: 区分所有法 17 条 1 項・2 項、18 条 1 項・2 項、19 条
共用部分の重大変更(形状または効用の著しい変更を伴うもの)に必要な決議は?
区分所有者および議決権の各 4 分の 3 以上
ただし区分所有者の定数は、規約で過半数まで減じることができる。
議決権の 4 分の 3 は減らせない。
共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすときは?
その専有部分の所有者の承諾を得なければならない(17 条 2 項)
決議が成立していても、承諾がなければ実施できない。
共用部分の管理(保存を除く)はどう決める?
集会の普通決議(区分所有者および議決権の各過半数)
保存行為は各区分所有者が単独でできる。
いずれも規約で別段の定めができる。
3. 管理者と管理組合法人
根拠: 区分所有法 25 条 1 項、26 条 1 項・2 項・4 項、47 条 1 項
管理者はどう選任・解任する?資格は?
規約に別段の定めがない限り、集会の決議(普通決議)で選任・解任する。
区分所有者である必要はなく、法人でもよい。任期の定めもない。
管理者の権限は?
共用部分等を保存し、集会の決議を実行し、規約で定めた行為をする。
その職務に関し、区分所有者を代理する。
規約または集会の決議により、管理者が原告・被告となることもできる。
管理組合を法人にするには?
区分所有者および議決権の各 4 分の 3 以上の集会の決議で、
名称・事務所を定め、主たる事務所の所在地で登記する
区分所有者の数が 30 人以上といった人数要件は現在ない。
4. 規約と集会
根拠: 区分所有法 30 条 1 項、31 条 1 項、33 条 1 項、34 条 1 項〜4 項、35 条 1 項、39 条 1 項、45 条 1 項
規約はその建物の憲法にあたるので、変更には重い決議が要る。一方で集会は
あらかじめ知らされていない議題で決められては困るので、通知した事項に議決を縛っている。
規約の設定・変更・廃止に必要な決議は?
区分所有者および議決権の各 4 分の 3 以上
一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、
その者の承諾が必要(31 条 1 項)。
規約は誰が保管し、誰に閲覧させる?
管理者(管理者がないときは、規約または集会の決議で定める区分所有者)が保管する。
利害関係人から請求があれば、正当な理由がなければ閲覧を拒めない。
保管場所は建物内の見やすい場所に掲示する。
集会は誰が、どれくらいの頻度で招集する?
管理者が、少なくとも毎年 1 回招集しなければならない(34 条 2 項)
区分所有者の 5 分の 1 以上で議決権の 5 分の 1 以上を有する者は、
管理者に集会の招集を請求できる(規約で減じることができる)。
集会の招集通知はいつまでに出す?
会日より少なくとも 1 週間前に、会議の目的である事項を示して発する。
規約で伸縮できる。建替え決議を目的とする場合は、
少なくとも 2 か月前に発しなければならない(規約で伸長のみ可)。
区分所有者全員の同意があるとき、集会の招集手続はどうなる?
招集手続を経ないで開くことができる(36 条)
また、区分所有者全員の承諾があれば、書面(または電磁的方法)による決議もできる。
議事について全員の書面による合意があれば、決議があったものとみなされる(45 条)。
規約や集会の決議は、専有部分を買った人にも効力が及ぶ?
及ぶ(46 条 1 項・特定承継人にも効力が及ぶ)
占有者(賃借人)も、建物・敷地の使用方法については
区分所有者が負うのと同一の義務を負う。
占有者(賃借人)は集会に出席できる?
利害関係を有する場合は出席して意見を述べられる(44 条 1 項)
ただし議決権はない。
そのために、集会の招集通知は建物内の見やすい場所に掲示して行う。
5. 復旧と建替え
根拠: 区分所有法 61 条 1 項・5 項、62 条 1 項
建物の価格の 2 分の 1 以下に相当する部分が滅失した(小規模滅失)。復旧はどうする?
各区分所有者が単独で復旧できる(61 条 1 項)。
ただし集会で復旧の決議(普通決議)があったときは、それに従う。
建物の価格の 2 分の 1 を超える部分が滅失した(大規模滅失)。復旧の決議は?
区分所有者および議決権の各 4 分の 3 以上(61 条 5 項)
決議に賛成しなかった者は、賛成者に対して
建物・敷地に関する権利を時価で買い取るよう請求できる。
建替え決議に必要な数は?
区分所有者および議決権の各 5 分の 4 以上(62 条 1 項)
規約で減じることはできない。
決議に賛成しなかった者に対しては、賛成者から売渡請求ができる。