地理情報システムと様々な地図
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「地理総合」A (1) ア (イ) の「日常生活の中で見られる様々な地図の読図などを基に,地図や地理情報システムの役割や有用性などについて理解すること」。
内容の取扱いは、様々な情報を地理情報化し、地図化して読み取ることや、衛星画像・空中写真・景観写真を読み取ることを求めています。
このノートは、地理情報システム(GIS)のしくみと、地図・写真がそれぞれ何を写し取っているかを扱います。
0. 何を押さえるか
地理情報システム(GIS)は、位置の情報を持つデータをコンピュータで重ね合わせ、分析して地図に表すしくみです。
紙の地図と違い、目的に合わせてデータを重ねたり外したり、拡大・縮小したりでき、新しいデータですぐ更新できます。
| 資料 | どこから写すか | 読み取れること |
|---|---|---|
| 衛星画像 | 人工衛星(宇宙) | 広い範囲の土地利用・植生・災害の被害・変化 |
| 空中写真 | 航空機など(上空) | 建物や道路の配置、地形。地形図づくりの元になる |
| 景観写真 | 地上 | 人の目の高さから見た建物・土地利用・生活の様子 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 地理情報化は「位置を付けること」、地図化は「地図に表すこと」。GIS はまず情報に位置を付け(地理情報化)、それを重ねて地図に表す(地図化)
- GPS はアメリカの衛星測位システムの名前。衛星で位置を測るしくみ全体は GNSS といい、日本の準天頂衛星システム「みちびき」もその 1 つ
- 空中写真は上から、景観写真は地上から写す。景観写真は、どこからどの向きに撮ったかを地図に記録して初めて地理の資料になる
1. 地理情報システムのしくみ
根拠: 学習指導要領 地理総合-A-(1)-ア-(イ)
GIS では、道路・建物・人口・土地利用など、テーマごとのデータを層(レイヤ)として持ち、必要なものを重ねて分析します。
位置の情報を持つ様々なデータをコンピュータで重ね合わせ、分析・表示するしくみを何というか?
地理情報システム(GIS)
カーナビゲーションやスマートフォンの地図アプリ、ハザードマップ、店の出店場所の検討などに使われている。
GIS で、道路・建物・人口などテーマごとに分けて持ち、重ねたり外したりできるデータの層を何というか?
レイヤ
必要なレイヤだけを重ねることで、たとえば「浸水しやすい土地に住む高齢者の分布」のように、複数の情報の関係が読み取れる。
統計や住所録などの情報に、緯度・経度のような位置の情報を付けて、地図の上で扱えるようにすることを何というか?
地理情報化
住所を緯度・経度に変換する作業はジオコーディングと呼ばれる。位置を持った情報は、GIS で重ねたり地図化したりできる。
データを地図に表す(地図化する)ことで分かるようになることは何か?
分布の偏りや、ほかの事柄との位置の関係
表の数字の並びでは気づきにくい「どこに集まっているか」「何の近くにあるか」が、地図にすると一目で見える。
19 世紀のロンドンで、コレラによる死者の住所を地図に表し、患者が特定の井戸(水くみポンプ)の周りに集まっていることを突き止めた医師は?
ジョン・スノウ
地図化によって原因を突き止めた例として知られる。GIS の考え方の先がけとされる。
国土地理院がインターネットで公開している、地形図・空中写真・標高などを重ねて見られるウェブ地図は?
地理院地図
地形の断面図を描いたり、昔の空中写真と今を比べたりでき、身近な地域の調べ学習に使える。
2. 衛星で位置を測る
根拠: 学習指導要領 地理総合-A-(1)-ア-(イ)
スマートフォンの地図が現在地を示せるのは、複数の人工衛星からの電波を受けて位置を計算しているからです。
人工衛星からの電波を使って地上の位置を測るしくみを、各国のシステムをまとめて何というか?
GNSS(全球測位衛星システム)
アメリカの GPS はその代表で、ほかにヨーロッパのガリレオやロシアのグロナスなどがある。
日本のほぼ真上の空に長くとどまるように軌道を工夫し、GPS と組み合わせて日本付近の測位の精度を高める日本の衛星システムは?
準天頂衛星システム「みちびき」
ビルや山にさえぎられにくい天頂近くから電波を届けるので、都市部や山間部でも位置を測りやすくなる。
3. 衛星画像・空中写真・景観写真
根拠: 学習指導要領 地理総合-A-(1)-ア-(イ)
地図のもとになり、地図だけでは分からないことを補うのが写真です。どこから撮ったかで、読み取れることが変わります。
人工衛星や航空機から、離れた所にある地表の様子を電磁波(光など)でとらえて調べることを何というか?
リモートセンシング(遠隔探査)
衛星画像はその代表。広い範囲を定期的に繰り返し撮れるので、森林の減少や砂漠化、災害の被害の広がりなど、変化をとらえるのに向く。
衛星画像で、目に見えない近赤外線の強さを赤色で表すと、植物が赤く写る。このように実際とは違う色を割り当てた画像を何というか?
フォールスカラー(疑似カラー)画像
植物の葉は近赤外線を強く反射するので、植生の多い所が赤く目立ち、市街地や裸地と区別しやすくなる。
航空機などから地表を撮影した写真で、国土地理院が地形図をつくるもとにしているものは?
空中写真
撮影する範囲を少しずつ重ねて連続して撮る。重なった 2 枚を左右の目で別々に見る(実体視する)と、土地の起伏が立体的に見える。
景観写真(地上から撮った写真)を地理の資料として使うとき、写真と一緒に記録しておくべきことは?
撮影した地点と向き(と日時)
地図上に撮影地点と方向を示すことで、写っている建物や土地利用を地図と照らし合わせて読み取れる。