国内や国家間の結び付き
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「地理総合」A (1) ア (ア) の「国内や国家間の結び付き」。内容の取扱いは、物流・陸運・海運などの交通、
世界の国家群、貿易、交通・通信、観光などを取り上げ、様々な主題図を読んで、人や物、情報がどのように結び付いているかを理解するよう求めています。
このノートは、何をどの手段で運ぶのが向いているか(輸送の特徴)と、国どうしのまとまり、結び付きを表す地図の選び方を扱います。
貿易額・旅客数・観光客数などの統計は毎年変わるので、カードにしていません。教科書・地図帳の最新の統計で確かめてください。
0. 何を押さえるか
人や物、情報の結び付きは、運ぶ手段の特徴で決まる部分が大きくあります。重くかさばる物は船、軽くて高価な物や急ぐ物は飛行機、
戸口まで届けるのは自動車、という向き不向きが、港・空港・道路の配置や、どの国と何を取り引きするかに表れます。
| 輸送手段 | 長所 | 短所 | 向いている物 |
|---|---|---|---|
| 海運(船) | 大量の物を安く長距離運べる | 速度が遅い | 原油・鉄鉱石・石炭・穀物・自動車 |
| 航空(飛行機) | 速い | 運賃が高く、一度に運べる量が少ない | 電子部品などの軽くて高価な物、生鮮品 |
| 陸運・自動車(トラック) | 戸口から戸口まで運べる | 大量輸送には不向きで、二酸化炭素の排出が多い | 近距離・中距離の多様な貨物 |
| 陸運・鉄道 | 大量の物を定時に運べ、二酸化炭素の排出が少ない | 線路のある所までしか運べない | 長距離の大量輸送 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 重い物ほど船、軽くて値段の高い物ほど飛行機。IC(集積回路)のような電子部品は、重さのわりに値段が高いので航空輸送に向く
- 垂直貿易と水平貿易。原料と製品を交換するのが垂直貿易、工業製品どうしを交換するのが水平貿易
- 比率(人口密度・割合)は階級区分図、数量(人口・生産量)は図形表現図やドットマップ。数量を階級区分図で表すと、面積の大きい地域が多く見えてしまう
1. 物流と交通の手段
根拠: 学習指導要領 地理総合-A-(1)-ア-(ア)
物流とは、原材料や製品を運び、保管し、届けるまでの物の流れのことです。どの手段で運ぶかは、物の重さ・値段・急ぎかどうかで選ばれます。
原油・鉄鉱石・穀物のように重くかさばる物を、長距離にわたって大量に運ぶのに向く輸送手段は?
海運(船による輸送)
速度は遅いが、一度に大量の物を安く運べる。日本の貿易は重さでみるとほとんどを海運が担っている。
電子部品のような軽くて値段の高い物や、生花・生鮮品のように急ぐ物を運ぶのに向く輸送手段は?
航空輸送
運賃は高いが、軽くて高価な物なら運賃の負担が小さく、速さが生きる。空港の近くに電子部品の工場が集まることがある。
陸運のうち、自動車(トラック)による輸送の長所は?
積み替えなしに、出発地の戸口から目的地の戸口まで運べる(ドア・ツー・ドア)
高速道路網の整備とともに国内の貨物輸送の中心になった。一方で、二酸化炭素の排出や運転手の不足が課題になっている。
トラックによる貨物輸送の一部を、鉄道や船による輸送に切り替えることを何というか?
モーダルシフト
二酸化炭素の排出を減らせるうえ、少ない人手で大量に運べる。
大きさがそろった金属の箱に荷物を詰めて運ぶことで、船・トラック・鉄道の間の積み替えを速くした輸送の方法は?
コンテナ輸送
箱ごと積み替えるので荷役の時間と費用が減った。コンテナ船が寄港する大きな港には、広いコンテナ埠頭が整備されている。
多くの路線が集まり、そこで乗り継いだり積み替えたりして各地へ広がる拠点となる空港や港を何というか?
ハブ空港・ハブ港
自転車の車輪の中心(ハブ)から放射状に広がるスポークに見立てた呼び名。拠点どうしが乗り継ぎ客や貨物を奪い合っている。
2. 世界の国家群と貿易
根拠: 学習指導要領 地理総合-A-(1)-ア-(ア)
近くの国どうしが、関税をなくしたり人の移動を自由にしたりして結び付きを強めたものが、世界の国家群(地域統合)です。
貿易の相手や品目は、こうした国家群の結び付きと、それぞれの国の産業によって決まります。加盟国の数は変わるので、カードにしていません。
ヨーロッパの国々がつくり、多くの加盟国が共通通貨ユーロを使っている地域統合の組織は?
EU(ヨーロッパ連合)
加盟国の間では関税がなく、多くの国の間では国境での出入国の審査もなくして、人・物・お金・サービスが自由に移動できる。
東南アジアの国々がつくる地域協力の組織は?
ASEAN(東南アジア諸国連合)
域内の関税を引き下げて経済の結び付きを強め、日本・中国・韓国などとも協定を結んでいる。
発展途上国が原料や燃料を輸出し、先進国が工業製品を輸出するように、原料と製品を交換する貿易を何というか?
垂直貿易
これに対し、工業製品どうしを交換する貿易を水平貿易という。先進国どうしの貿易は水平貿易が中心。
3. 交通・通信と観光
根拠: 学習指導要領 地理総合-A-(1)-ア-(ア)
交通・通信の発達は、遠い場所どうしを「近く」しました。その近さは、距離ではなく時間や費用で測られるようになっています。
2 地点の間を、実際の距離ではなく、移動にかかる時間で表したものを何というか?
時間距離
高速鉄道や航空路が開通すると、実際の距離は変わらなくても時間距離は縮まる。
大陸と大陸の間のインターネットの国際通信の大部分を担っているのは、通信衛星と海底ケーブルのどちらか?
海底ケーブル
光ファイバーを使い、大容量の通信を担う。通信衛星は、ケーブルの届かない所や放送・移動体との通信に使われる。
外国から自国を訪れる旅行(日本でいえば訪日外国人旅行)を何というか?
インバウンド(観光)
反対に、自国から外国へ出かける旅行をアウトバウンドという。観光は交通の発達と所得の向上とともに国境を越えて広がった。
4. 結び付きを表す主題図
根拠: 学習指導要領 地理総合-A-(1)-ア-(ア)
地図には、地形・道路・集落などを網羅的に描いた一般図と、特定のテーマを表した主題図があります。
人や物の流れを読むときは、何をどの主題図で表すかを選ぶ必要があります。
| 主題図 | 表すもの | 例 |
|---|---|---|
| 階級区分図 | 比率・密度を地域ごとに塗り分ける | 人口密度、高齢化率 |
| 図形表現図 | 数量を円や棒の大きさで表す | 都市の人口、貿易額 |
| ドットマップ | 1 点を一定の数量として分布を表す | 家畜の頭数、工場の分布 |
| 流線図 | 移動の向きと量を矢の太さで表す | 人口移動、貿易の流れ |
| 等値線図 | 同じ値の地点を線で結ぶ | 等高線、等温線 |
特定のテーマ(人口・気温・交通の流れなど)を選んで表した地図を何というか?
主題図
これに対し、地形・土地利用・道路・集落などを網羅的に描いた地図を一般図という(国土地理院の地形図など)。
人の移動や貿易のように、ある地点から別の地点への流れの向きと量を、矢の向きと太さで表す主題図は?
流線図
矢が太いほど流れの量が多い。国家間の結び付きを一目で比べられる。
人口密度や高齢化率のような「比率」を地域ごとに表すのに向く主題図は?
階級区分図
人口の総数のような「数量」を階級区分図で塗り分けると、面積の広い地域が目立って誤解を生むので、数量は図形表現図やドットマップで表す。