観光
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「地理探究」A (3) ア (ア) の「交通・通信網と物流や人の移動に関する運輸,観光などに関わる諸事象」と、「交通・通信,観光に関わる問題の現状や要因,解決に向けた取組」。
このノートは、観光が一部の人の楽しみから多くの人の行動になった背景と、観光の新しい形、観光が地域にもたらす問題を扱います。
0. 何を押さえるか
観光が盛んになるには、使えるお金・休み・移動手段の 3 つがそろう必要があります。
| 段階・形 | 中身 | 例 |
|---|---|---|
| マスツーリズム | 多くの人が団体旅行などで同じ観光地へ向かう | 地中海沿岸のリゾート |
| エコツーリズム | 自然を守りながら、その仕組みを学び体験する | コスタリカ、ガラパゴス諸島 |
| グリーンツーリズム | 農村に滞在し、農業や暮らしを体験する | ヨーロッパの農家民宿 |
| オーバーツーリズム | 観光客が集中しすぎて、住民の暮らしや環境が損なわれる | ヴェネツィア、バルセロナ、京都 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- エコツーリズムは自然、グリーンツーリズムは農村。どちらも大量消費型の観光への反省から生まれた
- 北西ヨーロッパの人々は夏に南の地中海沿岸へ向かう。夏に晴れて乾燥する地中海性気候が、日差しを求める人を引き寄せる
- 観光に頼る経済はもろい。感染症・災害・景気の悪化で観光客が急に減ると、地域の収入がすぐに落ちる
1. 観光の大衆化
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(3)-ア-(ア)
かつて観光は一部の豊かな人のものでしたが、20 世紀後半から先進国を中心に多くの人が楽しむものになりました。
観光が一部の人の楽しみから、多くの人の行動になった背景を 3 つ挙げると?
所得が増えた、休暇(余暇の時間)が増えた、交通が発達して速く安く移動できるようになった
ジェット旅客機の普及と、のちの LCC の広がりが、国境を越える観光客を大きく増やした。
大勢の人が団体旅行などで同じ観光地に押し寄せる、大衆化した観光を何というか?
マスツーリズム
観光地の開発と雇用を生んだ一方で、環境の破壊や地域の文化の変質も招いた。
外国から自国へ観光客などが訪れてくる旅行を何というか?
インバウンド(日本なら訪日外国人旅行)
反対に、自国から外国へ出かける旅行をアウトバウンドという。
2. バカンスとリゾート
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(3)-ア-(ア)
ヨーロッパでは長い休暇の制度が観光を支え、季節ごとに大きな人の流れを生んでいます。
フランスで法律によって保障されている、夏などにとる長期の有給休暇を何というか?
バカンス
現在は年 5 週間の有給休暇が保障されている。休暇を観光地でゆっくり過ごす滞在型の観光が根づいている。
ドイツやイギリスなど北西ヨーロッパの人々が、夏の休暇に地中海沿岸へ向かうのはなぜか?
地中海沿岸は夏に晴れて乾燥し、強い日差しを楽しめるから
北西ヨーロッパは曇りや雨の日が多く日照が少ない。スペインやイタリア、フランス南部の海岸にリゾートが並ぶ。
フランス南東部の地中海沿岸に広がる、ニースなどのリゾート地が並ぶ海岸を何というか?
コートダジュール
温暖な気候を生かし、古くから避寒地・保養地として発達した。
3. 新しい観光の形
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(3)-ア-(ア)
大量に人を運んで消費する観光への反省から、地域の自然や暮らしを損なわずに体験する観光が広がっています。
自然環境や文化を損なわないようにしながら、その価値や仕組みを学び体験する観光を何というか?
エコツーリズム
熱帯林の広がるコスタリカや、独自の生物が見られるガラパゴス諸島(エクアドル)が代表例。観光の収入を自然の保護に回す。
農村に滞在して、農作業や地域の暮らしを体験する観光を何というか?
グリーンツーリズム
ヨーロッパで盛んで、農家が民宿を営み農業以外の収入を得る。日本でも農山村の活性化の手段として進められている。
世界遺産条約を採択し、世界遺産の登録を行っている国際連合の機関は?
UNESCO(国連教育科学文化機関)
世界遺産条約は 1972 年に採択された。登録されると観光客が増える一方で、保護との両立が課題になる。
4. 観光の問題と取り組み
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(3)-ア-(ア)
観光は地域を潤す一方で、集中しすぎると暮らしと環境を圧迫します。受け入れ方を工夫する取り組みが各地で始まっています。
観光客が特定の場所に集中しすぎて、住民の暮らしや自然環境に悪い影響が出ることを何というか?
オーバーツーリズム
交通の混雑、ごみ、騒音、家賃の上昇などが起きる。住民が住み続けられなくなる例もある。
オーバーツーリズムへの対策として、観光地が取り組んでいることの例は?
入場料・入域料をとる、訪れる人数を制限する、時期や場所を分散させる
イタリアのヴェネツィアは、2024 年から一部の日に日帰り客から入域料をとる取り組みを始めた。
カリブ海や太平洋の島国など、観光収入に大きく頼る地域の経済の弱みは何か?
感染症の流行・災害・世界の景気など、外からの出来事で観光客が急に減ると、収入がすぐに落ちる
観光以外の産業が小さいほど影響は大きい。産業を多様にすることが課題になっている。