西アジアと北アフリカ
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「地理探究」B (2) ア (ア) の「諸地域に見られる地域的特色や地球的課題などについて理解すること」を、西アジアと北アフリカを例に扱います。
乾燥した気候のもとで水を得る工夫が農牧業を形づくり、ペルシア湾岸の石油が経済を支え、イスラームとアラビア語が広く共通する、という点がこの地域の地域的特色の柱です。
過剰な灌漑による塩害や地下水の枯渇、民族・宗教をめぐる対立と難民は、この地域の地球的課題です。
0. 何を押さえるか
| 観点 | 内容 | 仕組み |
|---|---|---|
| 気候 | 砂漠気候(BW)・ステップ気候(BS)が広い。地中海沿岸は地中海性気候(Cs) | 亜熱帯(中緯度)高圧帯の下降気流 |
| 農牧業 | 遊牧、オアシス農業、地中海式農業 | 水の得られる所に農業が集まる |
| 資源 | ペルシア湾岸に油田が集中 | 産油国は石油の輸出に経済を頼る |
| 文化 | イスラームが広く信仰され、アラビア語を話すアラブ人が多い | イランはペルシア語、トルコはトルコ語、イスラエルはヘブライ語 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 地下水路の呼び名は地域で違う。イランではカナート、北アフリカではフォガラ、アフガニスタンなどではカレーズ
- イスラームの国がすべてアラブ人の国ではない。イラン(ペルシア人)とトルコ(トルコ人)はアラブの国ではない
- ナイル川は外来河川。湿潤な上流から水が流れてくるので、砂漠の中でも川沿いで農業ができる
1. 乾燥気候と灌漑
根拠: 学習指導要領 地理探究-B-(2)-ア-(ア)
この地域の大部分は、亜熱帯(中緯度)高圧帯におおわれて雨が少なく、砂漠やステップが広がります。
農業は、川・地下水・オアシスなど、水の得られる所に限られます。
北アフリカのサハラ砂漠やアラビア半島に砂漠が広がる、主な気候上の理由は?
亜熱帯(中緯度)高圧帯の下降気流におおわれ、雨雲ができにくいから
回帰線付近の大陸の西側から内陸にかけて、砂漠が広がりやすい。
イランのカナートのような地下水路が、地表ではなく地下を通っているのはなぜか?
強い日射による水の蒸発を防ぐため
カナートは山ろくの地下水を集めて集落や耕地へ導く水路。北アフリカではフォガラ、アフガニスタンなどではカレーズと呼ばれる。
西アジア・北アフリカのオアシスで栽培され、実を食料とする代表的な樹木は?
なつめやし
乾燥や暑さに強い。その木陰で小麦や野菜も育てられる。
西アジア・北アフリカで、らくだ・羊・やぎなどとともに移動してきた遊牧民の暮らしは、近年どう変わっているか?
定住化が進み、遊牧で暮らす人は減っている
遊牧は、水や草を求めて家畜とともに移動する牧畜。国による定住化の政策や、都市での仕事の増加が背景にある。
エジプトで、ナイル川が砂漠の中を流れても涸れないのはなぜか?
上流が雨の多い湿潤な地域にあり、そこから水が流れてくるから(外来河川)
エジプトでは古くからナイル川の水と、洪水が運ぶ肥沃な土を使って農業が営まれてきた。
1970 年にエジプトで完成したアスワンハイダムがもたらした、農業面での負の影響は?
下流に肥沃な土砂が届かなくなったことと、灌漑による土壌の塩類集積(塩害)
一年中灌漑ができるようになり耕地は広がった一方で、河口付近で海岸が削られる問題も起きた。
サウジアラビアの砂漠でセンターピボット方式の小麦栽培を支えてきた、長い年月をかけてたまり補給がほとんどない地下水を何と呼ぶか?
化石水
回転するスプリンクラーで円形に散水する。くみ上げた分が補われないため枯渇が心配され、小麦の生産は縮小された。
2. 石油と産油国
根拠: 学習指導要領 地理探究-B-(2)-ア-(ア)
ペルシア湾の沿岸には大規模な油田が集中しています。
産油国は、かつて欧米の国際石油資本に握られていた石油の利益を自国のものにし、その収入で国づくりを進めてきました。
1960 年にイラン・イラク・クウェート・サウジアラビア・ベネズエラの 5 か国で結成された、産油国の組織は?
OPEC(石油輸出国機構)
原油の生産量や価格について、産油国の立場から協調しようとする組織。
資源ナショナリズムの高まりのもとで、西アジアの産油国が国際石油資本(メジャー)に対して進めたことは何か?
油田の国有化(石油の権利と利益を自国に取り戻すこと)
資源ナショナリズムは、自国の資源は自国のものとして、その開発や利益を自国で管理しようとする動き。
1973 年の第 4 次中東戦争のとき、OPEC の産油国は原油についてどのような行動をとったか?
原油の価格を大幅に引き上げた(アラブの産油国は生産の削減や輸出の制限も行った)
これが第 1 次石油危機(オイルショック)で、世界経済が混乱した。1979 年のイラン革命をきっかけに、第 2 次石油危機が起きた。
アラブ首長国連邦のドバイなどの産油国が、観光・金融・物流などの産業を育ててきたのはなぜか?
石油は限りある資源で、価格の変動も大きく、石油だけに頼る経済は不安定だから
産業の多角化を進め、国際的な空港や港を整えて、人と物が行き交う拠点になろうとしている。
ペルシア湾岸の産油国で、建設業やサービス業の働き手として多く暮らしているのはどのような人々か?
南アジアなどからの外国人労働者
石油収入で建設が進み、国内の労働力だけでは足りなくなった。
3. イスラームと民族問題
根拠: 学習指導要領 地理探究-B-(2)-ア-(ア)
この地域ではイスラームが広く信仰され、アラビア語を話すアラブ人が多数を占めます。
一方で、民族や宗教の分布と国境が一致しないことから、対立や難民の問題が生じてきました。
クルド人が自分たちの国家をもたず、トルコ・イラク・イラン・シリアなどに分かれて暮らしているのはなぜか?
住む地域が、第一次世界大戦後に引かれた国境で分けられたから
各国で少数派となり、自治や独立を求める動きがある。
1948 年のイスラエルの建国と、その後の中東戦争で、住んでいた土地を離れて難民となった人々が多く出たアラブ系の住民を何という?
パレスチナ人
聖地エルサレムの帰属などをめぐって、対立が続いている。
モロッコ・アルジェリア・チュニジアを中心とする北アフリカ北西部の地域を、アラビア語で「日の沈む所」を意味する語で何と呼ぶ?
マグレブ(諸国)
いずれもフランスの植民地や保護国だった歴史があり、フランスへ移り住んだ人が多い。先住のベルベル系の人々も暮らす。