自給的農業と商業的農業
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「地理探究」A (2) ア (ア) の「資源・エネルギーや農業,工業などに関わる諸事象」の空間的な規則性,傾向性を理解すること。
このノートは、自分たちで食べるための自給的農業(遊牧・焼畑農業・オアシス農業・アジア式稲作)と、ヨーロッパで市場向けに発達した商業的農業(混合農業・酪農・園芸農業・地中海式農業)を、成り立ちの仕組みから扱います。
0. 何を押さえるか
自給的農業はその土地の気候に合わせた工夫、商業的農業は都市の市場との結び付きで形が決まります。
| 農業 | 主な地域の気候 | 何を作る・飼う | 成り立ちの鍵 |
|---|---|---|---|
| 遊牧 | 乾燥帯・ツンドラ | 羊・ヤギ・ラクダ・トナカイ | 草と水を求めて移動 |
| 焼畑農業 | 熱帯 | いも類・陸稲 | 灰を肥料にし、地力が落ちたら移動 |
| オアシス農業 | 乾燥帯 | なつめやし・小麦 | 外来河川や地下水 |
| アジア式稲作農業 | モンスーンの湿潤地域 | 米 | 多い降水と多くの人手 |
| 混合農業 | 西ヨーロッパの温帯 | 穀物・飼料作物と肉用家畜 | 三圃式農業から発達 |
| 酪農 | 冷涼でやせた土地・大都市近郊 | 牧草と乳牛 | 乳製品の市場 |
| 園芸農業 | 大都市近郊・温暖地 | 野菜・花・果樹 | 市場への近さ・輸送 |
| 地中海式農業 | 地中海性気候 | オリーブ・ぶどう・冬の小麦 | 夏の乾燥に耐える樹木作物 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 遊牧と移牧。遊牧は住まいごと家畜と移動する。移牧は人は村に定住し、家畜を季節で高地と低地の牧場に移す
- 混合農業と酪農。混合農業は穀物・飼料作物の栽培と肉用家畜を組み合わせる。酪農は牧草を育てて乳牛を飼い、乳製品を売る
- 地中海式農業は夏に樹木作物、冬に小麦。夏は乾燥するので、根が深く乾燥に強い樹木作物を育て、雨の降る冬に穀物を作る
1. 遊牧と焼畑農業
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(2)-ア-(ア)
作物の育ちにくい乾燥地やツンドラでは家畜に頼り、養分の乏しい熱帯の土では森を焼いて耕します。
どちらも、移動することで自然の回復を待つ仕組みです。
乾燥帯やツンドラで、水や草を求めて家畜とともに住まいごと移動しながら暮らす牧畜を何というか?
遊牧
乾燥帯では羊・ヤギ・ラクダ、ツンドラではトナカイを飼う。モンゴルでは組み立て式の住居ゲルを使う。
チベット高原で、高地の寒さと薄い空気に強い家畜として遊牧されるのは何か?
ヤク
毛・乳・肉のほか、糞も燃料に使う。アンデスの高地ではリャマ・アルパカが同じ役割を担う。
焼畑農業で、数年耕すと別の土地へ移るのはなぜか?
灰の養分が尽き、地力が落ちるから
熱帯の土壌は雨で養分が流されやすくやせている。休閑して森が戻るのを待つが、人口が増えて休閑期間が短くなると森林が回復しなくなる。
焼畑農業で主に栽培される作物は何か?
キャッサバ・タロイモ・ヤムイモなどのいも類
陸稲やとうもろこしも作られる。やせた土地でも育つ作物が中心になる。
2. オアシス農業
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(2)-ア-(ア)
乾燥帯でも、湿潤な地域から流れてくる川や地下水があれば、その周りだけで農業ができます。
外来河川の水を使った灌漑農業が古くから営まれ、流域に古代文明も生まれたエジプトの川は?
ナイル川
外来河川は湿潤な地域に源流があり、乾燥地域を涸れずに流れる川。ティグリス川・ユーフラテス川も代表例。
山麓の地下水を、蒸発を防ぐため地下の水路で耕地まで引く施設を、イランでは何と呼ぶか?
カナート
北アフリカではフォガラ、アフガニスタンなどではカレーズと呼ぶ。同じ仕組みの別名として並べて覚える。
3. アジア式の稲作と畑作
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(2)-ア-(ア)
季節風(モンスーン)が雨をもたらす東アジア・東南アジア・南アジアでは、狭い土地に多くの人手をかける集約的な農業が営まれます。
季節風の影響で雨の多いアジアで、狭い水田に多くの労働力をかけて米を作る農業を何というか?
アジア式稲作農業(集約的稲作農業)
降水量の多い沿岸部や大河の下流域に広がる。人口密度の高い地域と重なる。
アジアの中でも降水量の比較的少ない華北やインドの内陸部で、小麦・綿花・大豆などを集約的に作る農業を何というか?
アジア式畑作農業(集約的畑作農業)
稲作に必要な水が足りない地域で営まれる。稲作との境目は降水量の違いで説明できる。
同じ耕地で 1 年に 2 回、同じ作物(米)を作ることを何というか?
二期作
高温で水の得られる地域でできる。同じ耕地で 1 年に 2 種類の作物を作るのは二毛作で、区別する。
4. ヨーロッパの商業的農業
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(2)-ア-(ア)
中世ヨーロッパの三圃式農業は、耕地を冬作物・夏作物・休閑地に分けて回すものでした。
休閑地に飼料作物を入れて家畜を増やし、都市の市場に売るようになったことで、混合農業・酪農・園芸農業へと分かれていきます。
中世ヨーロッパで、耕地を冬作物・夏作物・休閑地の 3 つに分けて順に回した農業を何というか?
三圃式農業
地力の回復を休閑に頼った。休閑地に飼料作物を植えて家畜を飼うようになり、混合農業へ発展した。
穀物と飼料作物を輪作し、飼料で育てた豚や牛の肉を売ることを主な収入にする農業を何というか?
混合農業
ヨーロッパの中部から東部に広がり、新大陸のアメリカのコーンベルトにも伝わった。
酪農がヨーロッパで北海・バルト海沿岸やアルプス地方に広がったのはなぜか?
冷涼で穀物が育ちにくく、牧草なら育つから
北ヨーロッパは氷河に削られてやせた土地も多い。鮮度が大事な牛乳を売るため、大都市の近くでも営まれる。
地中海式農業で、夏に栽培されるオリーブ・ぶどう・コルクがしに共通する性質は何か?
夏の乾燥に強い樹木作物であること
地中海性気候は夏に雨が少ない。根を深く張る樹木作物を夏に、雨の降る冬に小麦を作る組み合わせになる。
アルプス地方で、夏は家畜を高地の牧場に上げ、冬は麓の村で飼う牧畜を何というか?
移牧
人々は村に定住しており、家畜だけを季節で移すのが遊牧との違い。