企業的農業とプランテーション
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「地理探究」A (2) ア (ア) の「資源・エネルギーや農業,工業などに関わる諸事象」の空間的な規則性,傾向性を理解すること。
このノートは、世界市場に売るために大規模に営まれる企業的穀物農業と企業的牧畜、植民地の時代に始まったプランテーション農業、そして農業をとりまく産業全体を担うアグリビジネスを扱います。
0. 何を押さえるか
企業的農業は、広い土地・大型機械・大きな資本を使い、世界市場へ売ることを目的にします。
| 農業 | 主な地域 | 何を作る・飼う | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 企業的穀物農業 | 北アメリカのプレーリー、アルゼンチンのパンパ、オーストラリア南東部 | 小麦・とうもろこし・大豆 | 大型機械で少人数・労働生産性が高い |
| 企業的牧畜 | 半乾燥の草原(グレートプレーンズ、乾燥パンパ、オーストラリア内陸) | 肉牛・羊 | 広い牧場で放牧 |
| プランテーション農業 | 熱帯・亜熱帯の旧植民地 | コーヒー・カカオ・天然ゴム・油やし・さとうきび・バナナ | 欧米の資本・単一の商品作物 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 企業的と商業的。商業的農業も売るための農業だが、主に国内や近くの市場向け。企業的農業は世界市場へ大量に売る
- プランテーションは自給のためではない。熱帯で行われるが、輸出向けの単一の作物を作る
- アグリビジネスは農家そのものではない。種子・肥料・農薬・機械から、流通・加工・販売までを担う企業の活動全体を指す
1. 企業的穀物農業
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(2)-ア-(ア)
19 世紀以降に開拓された新大陸の広い平原では、少ない人手で大型機械を使い、輸出向けの穀物を作ります。
北アメリカのプレーリーやアルゼンチンのパンパで、大型機械を使って小麦などを大規模に作り、世界市場へ輸出する農業を何というか?
企業的穀物農業
人口が少なく土地の広い新大陸で発達した。1 人あたりの生産量が大きく、国際価格の動きを強く受ける。
地下水をくみ上げ、回転するアームで散水するため、上空から見ると円形の畑になる灌漑の方式を何というか?
センターピボット方式
アメリカのグレートプレーンズなど半乾燥地で広まった。地下水のくみ上げすぎによる水位の低下が問題になっている。
出荷前の肉牛を囲いの中に集め、とうもろこしなどの濃厚飼料を与えて太らせる肥育場を何というか?
フィードロット
アメリカのグレートプレーンズに多い。穀物地帯と牧畜地帯の間で、飼料の穀物と牛が結び付く。
2. 企業的牧畜
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(2)-ア-(ア)
穀物が育つには雨が足りない半乾燥の広い草原では、大規模な放牧が行われます。
アルゼンチンのパンパのうち、降水量の多い東側(湿潤パンパ)と、少ない西側(乾燥パンパ)では、それぞれ何が中心か?
湿潤パンパは小麦・とうもろこしと肉牛、乾燥パンパは羊の放牧
降水量がおよそ年 550 mm 前後を境に、東の湿潤な側ほど畑作と牛、西の乾燥した側ほど羊になるとされる。
オーストラリア東部の内陸で、掘り抜き井戸から湧き出す地下水を羊の飲み水に使ってきた盆地を何というか?
大鑽井盆地(グレートアーテジアン盆地)
地下水は塩分を含み農業用水には向かないが、家畜の飲み水には使える。
ラテンアメリカで、少数の地主が広大な土地を持つ大農園を、アルゼンチンでは何と呼ぶか?
エスタンシア
ブラジルではファゼンダ、メキシコなどではアシエンダと呼ぶ。植民地の時代からの大土地所有制に由来する。
3. プランテーション農業
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(2)-ア-(ア)
プランテーションは、欧米の資本が熱帯・亜熱帯の植民地で、輸出向けの単一の作物を大規模に作らせたことに始まります。
労働力は、はじめは奴隷、のちには移民や現地の人々が担いました。
熱帯・亜熱帯で、欧米の資本と現地の安い労働力を使って、輸出向けの単一の商品作物を大規模に作る農業を何というか?
プランテーション農業
植民地の時代に始まった。独立後は国営化されたり、現地の資本の経営に移ったりした例も多い。
特定の一次産品の輸出に頼る経済を何というか?
モノカルチャー経済
天候や国際価格の変動で国の収入が大きく揺れる。多くの旧植民地がこの構造を抱えてきた。
マレーシアで、天然ゴムの農園の多くが別の作物の農園に切り替わった。何に切り替わったか?
油やし(パーム油)
合成ゴムの普及で天然ゴムの価格が伸びず、食用油や洗剤などに使うパーム油の需要が伸びたことによる。
4. アグリビジネスと農業の産業化
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(2)-ア-(ア)
現代の農業は、農家の外にいる多くの企業と結び付いています。
品種の開発のような技術の変化も、どこで何を作るかを変えています。
種子・肥料・農薬・農業機械の供給から、農産物の流通・加工・販売までを担う農業関連の産業を何というか?
アグリビジネス
アメリカで大きく発達した。大企業が生産から販売までを結び付け、農家と契約して作物を作らせることも多い。
穀物の集荷・貯蔵・輸送・販売を世界規模で担い、国際的な穀物の流れに大きな影響力を持つ多国籍企業を何というか?
穀物メジャー
産地の倉庫や港の施設、輸送船を押さえ、各国の需要に合わせて穀物を動かしている。
遺伝子を操作して、除草剤に強い・害虫に強いなどの性質を持たせた作物を何というか?
遺伝子組み換え作物
大豆・とうもろこし・綿花などで広く作られている。種子を開発する企業の力が強まる一方、安全性や生態系への影響を心配する声もある。