現代世界の地域区分
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「地理探究」B (1) ア (ア) の「各種の主題図や資料を基に,世界を幾つかの地域に区分する方法や地域の概念,地域区分の意義などについて理解すること」。
内容の取扱いは、現代世界が自然,政治,経済,文化などの指標によって様々に地域区分できることに着目し、それらを比べるよう求めています。
このノートは、地域とは何か(地域の概念)、どんな指標で地域区分をするか、主題図をどう読むか、なぜ区分するのかを扱います。
0. 何を押さえるか
| 指標の種類 | 指標の例 | 区分の例 |
|---|---|---|
| 自然 | 気温・降水量、植生、地形 | ケッペンの気候区分、植生帯 |
| 政治 | 国家、国家群の加盟関係 | EU・ASEAN などの地域統合 |
| 経済 | 1 人当たりの所得、産業の構成 | 先進国と発展途上国、農業地域 |
| 文化 | 宗教、言語、民族 | イスラーム圏、ラテン系・ゲルマン系・スラブ系の言語圏 |
同じ世界でも、使う指標が違えば境界線の引き方が変わります。地域区分に「唯一の正解」はなく、目的に合った指標を選ぶことが大切です。
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 等質地域は「同じ性格が広がる範囲」、機能地域は「中心と結び付く範囲」。気候区は等質地域、通勤圏や商圏は機能地域
- 階級区分図には割合や密度などの相対値を使う。人口や生産量のような絶対値は、図形表現図やドットマップで表す
- 地域区分は目的で変わる。ある指標で同じ地域に入る国が、別の指標では別の地域に分かれることがある
1. 地域の概念
根拠: 学習指導要領 地理探究-B-(1)-ア-(ア)
地理でいう地域は、何らかの共通点や結び付きによってまとめられた地表の範囲です。
どのようなまとまりとして捉えるかによって、地域の概念はいくつかに分けられます。
気候や土地利用など、同じ性格をもつ事象が広がっている範囲としてまとめた地域を何という?
等質地域
気候区・農業地域・宗教の分布による地域などが当たる。境界は性格が切り替わるところに引く。
中心となる都市と、それに結び付く周辺とがまとまってできる地域を何という?
機能地域(結節地域)
大都市の通勤圏・商圏や、新聞・テレビの放送が届く範囲などが当たる。
大都市の通勤圏は、等質地域と機能地域のどちらとして捉える地域か?
機能地域
通勤する人々の流れで中心の都市と結び付いた範囲だから。景観が同じかどうかでは決まらない。
都道府県や市町村のように、行政などの目的で人為的に境界を定めた地域を何という?
形式地域
これに対し、等質地域や機能地域のように実際の事象のまとまりから捉えた地域は実質地域と呼ばれる。
「中東」「極東」という地域の呼び方は、どこから見た位置関係にもとづく名か?
ヨーロッパ
地域名には、名付けた側の視点が入っていることがある。地域の概念を考えるときの例になる。
2. 指標による地域区分
根拠: 学習指導要領 地理探究-B-(1)-ア-(ア)
地域区分では、何を基準に分けるかという指標を決めます。
自然,政治,経済,文化など、指標を変えると世界の分け方も変わります。
気温と降水量を指標とし、植生の分布も手がかりにして世界の気候を区分したのは誰の区分か?
ケッペン(の気候区分)
自然の指標による地域区分の代表。植物の生育に影響する気温・降水量で境界を決めている。
ケッペンの気候区分やホイットルセイの農業地域区分で分けられた地域は、等質地域と機能地域のどちらに当たるか?
等質地域
どちらも、同じ性格(気候・農業の型)が広がる範囲をまとめている。ホイットルセイは作物や家畜の組み合わせ、経営の方法などを指標に世界の農業地域を区分した。
1 人当たりの所得(GNI)などの経済の指標で世界を区分すると、大きくどのような 2 つのまとまりに分かれる?
先進国と発展途上国
両者の格差とそこから生じる問題を南北問題という。発展途上国の間での格差は南南問題と呼ばれる。
ヨーロッパを言語の系統という文化の指標で区分したときの、大きな 3 つのまとまりは?
ラテン系・ゲルマン系・スラブ系
おおむね南ヨーロッパがラテン系、北西ヨーロッパがゲルマン系、東ヨーロッパがスラブ系。宗教(カトリック・プロテスタント・正教会)の分布とも重なる部分が多い。
同じ世界を区分しても、指標によって地域の境界が一致しないのはなぜ?
事象ごとに分布の広がり方が違うから
たとえばトルコは、宗教ではイスラーム圏に入るが、言語ではアラビア語圏に入らない。どの指標を選ぶかで見える地域が変わる。
3. 主題図と地域区分の意義
根拠: 学習指導要領 地理探究-B-(1)-ア-(ア)
地域区分の手がかりになるのが、特定のテーマの分布を表した主題図です。
表したいデータの性格に合った表現方法を選ばないと、分布を読み違えることになります。
地形図のような一般図に対し、人口分布や土地利用など特定のテーマを表した地図を何という?
主題図
地域区分では、複数の主題図を重ねたり比べたりして、共通する範囲や境界を見つける。
人口密度や高齢者の割合を、地域ごとに色の濃淡で塗り分けて表す主題図を何という?
階級区分図
面積の大小に左右されないよう、割合や密度などの相対値を使う。絶対値を塗り分けると、広い地域ほど目立って誤解を招く。
人口や生産量などの絶対値を、円や棒の大きさで地図上に表す主題図を何という?
図形表現図
点の数で分布を表すドットマップも、絶対値を表すのに向いている。
気温や降水量のように連続して変わる量を、同じ値の地点を結んだ線で表す主題図を何という?
等値線図
等温線図・等降水量線図などがある。人や物の移動の量と向きを表すのは流線図。
世界を地域に区分することの意義は何か?
複雑な世界を単純化して捉え、地域どうしを比べたり特色を考えたりしやすくすること
区分の結果は目的によって変わる。何のために分けるのかを先に決めることが大切。