植生と土壌
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「地理探究」A (1) ア (ア) の「地形,気候,生態系などに関わる諸事象を基に,それらの事象の空間的な規則性,傾向性や,地球環境問題の現状や要因,解決に向けた取組などについて理解すること」。
このノートは、気候に応じて帯状に並ぶ植生と土壌を扱います。植物・動物と、それを取り巻く気候や土壌は互いに影響し合い、一つのまとまり(生態系)をつくっています。
0. 何を押さえるか
植生と土壌は、気候帯とほぼ対応して分布します。気候の影響を強く受けてできた土壌を成帯土壌、もとになった岩石(母岩)の影響を強く受けた土壌を間帯土壌と呼びます。
| 気候 | 植生 | 成帯土壌 | 土の性質 |
|---|---|---|---|
| 熱帯雨林気候 | 熱帯雨林(常緑広葉樹の密林) | ラトソル | 赤色、やせている |
| ステップ気候 | 短い草の草原(ステップ) | チェルノーゼム | 黒色、肥沃 |
| 冷帯湿潤気候 | タイガ(針葉樹林) | ポドゾル | 灰白色、酸性でやせている |
| ツンドラ気候 | コケ類・地衣類 | ツンドラ土 | 湿って、やせている |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 植物がよく茂る熱帯雨林の土は、肥沃ではなくやせている。養分は土ではなく植物の体に蓄えられている
- 肥沃な黒土は、雨の少ない半乾燥の草原にできる。雨で養分が流されにくく、枯れた草が腐植として積もるから
- ラトソル(熱帯・赤)とテラローシャ・テラロッサ(母岩の影響・赤っぽい)は別物。前者は成帯土壌、後者は間帯土壌
1. 気候と植生
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(1)-ア-(ア)
植生は、気温と降水量のかけ合わせで決まります。
暖かく雨の多い地域では森林が、雨の少ない地域では草原が、寒い地域では針葉樹林やコケの原野が広がります。
アマゾン川流域の熱帯雨林は、特に何と呼ばれるか?
セルバ
常緑広葉樹が何層にも重なって茂り、生物の種類が非常に多い。東南アジアやアフリカの熱帯雨林はジャングルとも呼ばれる。
熱帯の河口付近や海岸の、海水と淡水が混じる泥地に育つ森林を何というか?
マングローブ
潮の満ち引きで海水につかる場所でも育つ樹木の林。魚介類のすみかになり、高潮から海岸を守る働きもある。
サバナ気候の地域に見られる、長い草の草原と、まばらな樹木(疎林)からなる植生を何というか? 南アメリカでの呼び名も 1 つ答えよ。
サバナ。南アメリカではリャノ(オリノコ川流域)やカンポ(ブラジル高原)
雨季には草が茂り、乾季には枯れる。乾季に葉を落とす樹木が点在する。
地中海性気候の地域に多い、夏の乾燥に耐えるよう葉が硬く小さい樹木を何というか? 代表的な樹木も答えよ。
硬葉樹。代表はオリーブやコルクがし
葉の表面が硬く、水分が逃げにくい。夏の乾燥に強い果樹の栽培が、地中海式農業の柱になっている。
冷帯に広がる、針葉樹の大森林を何というか?
タイガ
モミやトウヒ、カラマツなど少ない種類の針葉樹がまとまって広がる。ロシアやカナダに広く、林業が営まれている。
2. 成帯土壌
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(1)-ア-(ア)
気温と降水量は、落ち葉がどれだけ速く分解されるか、養分がどれだけ雨で流されるかを決めます。
そのため土壌も、気候帯に沿って帯状に分布します。
熱帯の土壌ラトソルが赤く、やせているのはなぜか?
高温多雨で有機物の分解が速く、養分が雨で流されて、鉄やアルミニウムの酸化物が残るから
腐植がほとんどたまらず、赤い色は鉄の酸化物による。焼畑で耕地にしても、数年で地力が落ちる。
ウクライナからロシア南部に広がるステップに分布し、世界有数の穀倉地帯を支える黒色の肥沃な土壌を何というか?
チェルノーゼム
雨が少なく養分が流されにくいうえ、枯れた草が厚い腐植層をつくる。北アメリカのプレーリーにはプレーリー土、アルゼンチンのパンパにはパンパ土という肥沃な黒色の土がある。
タイガの下に分布する、灰白色で酸性の強い、やせた土壌を何というか?
ポドゾル
低温で落ち葉(針葉)の分解が遅く、酸性の水が上の層の養分を洗い流すため、表層が灰白色になる。農業には向かない。
3. 間帯土壌
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(1)-ア-(ア)
同じ気候の中でも、もとになる岩石が特徴的だと、その影響を受けた土壌ができます。
間帯土壌は特定の農産物の栽培と結び付いて問われることが多いです。
地中海沿岸に分布する、石灰岩が風化してできた赤い土壌を何というか?
テラロッサ
イタリア語で「赤い土」の意味。地中海式農業の果樹の栽培などに使われる。
ブラジル高原南部に分布し、コーヒーの栽培に適した、玄武岩などが風化してできた赤紫色の土壌を何というか?
テラローシャ
ポルトガル語で「紫色の土」の意味。肥沃で、ブラジルのコーヒー栽培を支えてきた。
インドのデカン高原に分布し、綿花の栽培に適した黒色の土壌を何というか?
レグール(レグール土)
玄武岩が風化してできた土で、水を保ちやすい。黒色綿花土とも呼ばれる。
4. 生態系としての植生と土壌
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(1)-ア-(ア)
植物は土から養分を吸い、落ち葉や枯れ枝を土に返します。この循環が保たれている限り生態系は続きますが、植生を失うと土壌も急速に劣化します。
生物と、それを取り巻く大気・水・土壌などの環境が、互いに影響し合う一つのまとまりを何というか?
生態系
植物・動物・微生物と環境の間を、物質やエネルギーが循環している。どこか一部が壊れると、全体に影響が及ぶ。
熱帯雨林を伐採すると、森林が元に戻りにくいのはなぜか?
養分の多くが樹木に蓄えられていて、伐採すると土がやせ、強い雨で表土も流されるから
土そのものに養分が少ないので、森林を失うと植物が育ちにくい土地になる。