地球環境問題
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「地理探究」A (1) ア (ア) の「地形,気候,生態系などに関わる諸事象を基に,それらの事象の空間的な規則性,傾向性や,地球環境問題の現状や要因,解決に向けた取組などについて理解すること」。
このノートは、地球環境問題の現状・要因・解決に向けた取組を扱います。多くの問題は、原因をつくる地域と被害を受ける地域が国境を越えて離れているため、国際的な取組が欠かせません。
0. 何を押さえるか
| 問題 | 主な原因 | 主な影響 | 主な国際的な取組 |
|---|---|---|---|
| 地球温暖化 | 二酸化炭素などの温室効果ガスの増加 | 海面上昇、異常気象、生態系の変化 | 気候変動枠組条約、京都議定書、パリ協定 |
| 砂漠化 | 干ばつに、過放牧・過耕作・薪の採りすぎが重なる | 耕地・牧草地の喪失、食料不足 | 砂漠化対処条約 |
| 熱帯林の減少 | 過度な焼畑、農園・牧場の開発、木材の伐採 | 生物多様性の低下、温暖化の加速 | 生物多様性条約 |
| 酸性雨 | 硫黄酸化物・窒素酸化物の排出 | 森林の枯死、湖沼の酸性化 | 長距離越境大気汚染条約 |
| オゾン層の破壊 | フロンなどの排出 | 有害な紫外線の増加 | ウィーン条約、モントリオール議定書 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- オゾン層の破壊(原因はフロン)と地球温暖化(原因は温室効果ガス)は別の問題。フロン類は温室効果ガスでもあるので混同しやすい
- 京都議定書は先進国だけに削減義務、パリ協定はすべての国が目標を出す
- 砂漠化は気候の変化だけでなく人間の活動も原因。干ばつと、人口増加に伴う土地の使いすぎが重なって進む
1. 地球温暖化
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(1)-ア-(ア)
化石燃料の大量消費や森林の減少で、大気中の二酸化炭素などが増え、地表から出る熱が宇宙へ逃げにくくなっています。
気温の上昇の幅や将来の予測は、使うシナリオや研究によって幅があるとされます。
地表から出る熱を吸収して大気を暖める働きをもつ、二酸化炭素・メタンなどの気体をまとめて何というか?
温室効果ガス
二酸化炭素は主に石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料を燃やすことで増える。メタンは家畜や水田などからも出る。
地球温暖化によって海面が上昇するのは、主にどんな仕組みによるか? 2 つ答えよ。
海水の温度が上がって膨張することと、陸上の氷河や氷床がとけて海に流れ込むこと
海面上昇は、ツバルやモルディブのような標高の低いサンゴ礁の島国や、大河川の三角州に住む人々に大きな影響を与える。
1997 年の京都での会議(COP3)で採択された、温室効果ガスの削減目標を定めた取決めを何というか? その特徴は?
京都議定書。先進国だけに、数値で削減を義務づけた
排出が増えていた発展途上国には削減義務がなく、そのことが課題とされた。
2015 年に採択され、先進国・発展途上国を問わずすべての国が削減目標を出すことにした取決めを何というか?
パリ協定
世界の平均気温の上昇を産業革命前から 2℃ より十分低く保ち、1.5℃ に抑える努力をすることを目標にしている。
2. 砂漠化と熱帯林の減少
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(1)-ア-(ア)
砂漠化も熱帯林の減少も、自然の条件に、人口増加や開発による土地の使いすぎが重なって進みます。
どちらも、一度失われると回復に長い時間がかかります。
サハラ砂漠の南の縁に沿って広がり、1960 年代末から続いた干ばつをきっかけに砂漠化が深刻になった地域を何というか?
サヘル
アラビア語で「岸・縁」の意味。干ばつに、人口増加による過放牧・過耕作や、燃料用の薪の採りすぎが重なって植生が失われた。
砂漠化の人為的な原因として挙げられる 3 つの「過〜」は?
過放牧・過耕作・過伐採(薪炭材の採りすぎ)
植生が失われると地表がむき出しになり、風や雨で肥えた表土が失われる。乾燥地で排水の悪い灌漑を続けると、塩類が地表にたまる塩害(土壌の塩性化)も起きる。
熱帯林が減少している主な原因を 3 つ挙げよ。
休閑期間を短くした過度な焼畑、農園や牧場の開発、木材を得るための伐採
東南アジアでは油やしの農園、アマゾンでは牧場や大豆畑の開発が目立つ。熱帯林が減ると、多くの生物のすみかが失われ、蓄えられていた二酸化炭素も放出される。
熱帯の海岸でマングローブ林が減っている原因として、特に東南アジアで問題になった開発は何か?
えびの養殖池の造成
輸出向けのえびを育てる池をつくるために伐採された。マングローブは高潮を和らげ、魚介類を育てる働きをもつ。
3. 酸性雨とオゾン層の破壊
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(1)-ア-(ア)
大気の汚染は、風に乗って国境を越えて広がります。原因を出した国と被害を受けた国が違うことが、解決を難しくしてきました。
酸性雨の原因となる、工場や自動車から出る 2 種類の物質は?
硫黄酸化物と窒素酸化物
大気中で水に溶けて硫酸や硝酸になり、強い酸性の雨や雪として降る。偏西風の風下にあたる北ヨーロッパの森林や湖沼が大きな被害を受けた。
酸性雨がもたらす被害を 3 つ挙げよ。
森林の枯死、湖沼の酸性化による魚の減少、石造りの建造物や彫刻の溶食
大理石などでできた歴史的な建造物が溶かされる被害も出ている。
オゾン層を破壊する主な原因物質は何か? また、オゾン層が特に薄くなる場所が現れるのは、どこの上空か?
原因物質はフロン。南極上空にオゾンホールが現れる
オゾン層は太陽からの有害な紫外線を吸収している。フロンはかつて冷蔵庫・エアコンの冷媒やスプレーなどに広く使われた。
1987 年に採択された、フロンなどオゾン層を破壊する物質の生産・消費を段階的に削減する取決めを何というか?
モントリオール議定書
1985 年のウィーン条約(オゾン層保護のための枠組み)に基づく。国際的な環境の取決めの中でも、成果を上げた例とされる。
4. 国際的な取組
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(1)-ア-(ア)
地球環境問題への国際的な取組は、1970 年代から国連の会議を中心に進められてきました。
1972 年にストックホルムで開かれ、「かけがえのない地球」を合言葉にした国連の会議は? この会議をきっかけに設立された国連の機関は?
国連人間環境会議。設立されたのは国連環境計画(UNEP)
環境問題を話し合う初めての大規模な国際会議だった。
1992 年にリオデジャネイロで開かれ、気候変動枠組条約や生物多様性条約が署名のために開放された国連の会議を何というか?
国連環境開発会議(地球サミット)
「持続可能な開発」を基本の考え方にかかげ、その行動計画としてアジェンダ 21 を採択した。
水鳥の生息地として国際的に重要な湿地を保全する条約と、絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引を規制する条約を、それぞれ何というか?
湿地はラムサール条約、野生動植物の取引はワシントン条約
ラムサール条約は 1971 年、ワシントン条約は 1973 年に採択された。日本では釧路湿原が最初のラムサール条約の登録地。