アングロアメリカ
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「地理探究」B (2) ア (ア) の「諸地域に見られる地域的特色や地球的課題などについて理解すること」。
このノートは、アメリカ合衆国とカナダの地域的特色を、自然、適地適作の農業、工業地域とサンベルト、多民族社会の順に扱います。地下水をくみ上げる大規模灌漑による水の枯渇は、この地域に現れた地球的課題の例です。
0. 何を押さえるか
アメリカ合衆国の農業は、降水量(東西)と気温(南北)の違いに合わせて、地域ごとに作物が特化しています。
| 地域 | 自然条件 | 主な農業 |
|---|---|---|
| 五大湖周辺〜北東部 | 冷涼、氷河に削られたやせた土地、大都市に近い | 酪農 |
| 中西部(コーンベルト) | 温暖で湿潤、肥えた土 | トウモロコシ・大豆と家畜の混合農業 |
| 北部・カナダの平原 | 冬の寒さが厳しい | 春小麦 |
| カンザス州など中部 | 冬が比較的穏やか | 冬小麦 |
| 南部 | 温暖、長い生育期間 | 綿花 |
| 西経 100 度より西 | 乾燥 | 企業的牧畜、灌漑農業 |
| カリフォルニア州 | 地中海性気候(Cs) | 果樹・野菜(灌漑) |
生産量や輸出量の順位は毎年変わるので、このノートでは扱いません。
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 西経 100 度線は降水量の境。東は湿潤で畑作、西は乾燥で放牧や灌漑農業になる
- 春小麦と冬小麦。冬が厳しすぎて秋に播けない北部では春に播く。冬が穏やかな地域では秋に播いて越冬させる
- サンベルトは北緯およそ 37 度より南。寒い北部(スノーベルト)から工業が移ってきた地域
1. 自然
根拠: 学習指導要領 地理探究-B-(2)-ア-(ア)
西に新期造山帯のロッキー山脈、東に古期造山帯のアパラチア山脈があり、その間に広大な中央平原が広がります。
北部は氷期に大陸氷河に覆われ、五大湖やカナダの多くの湖が残されました。
アメリカ合衆国で、西経 100 度の経線が農業の大きな境目になるのはなぜか?
年降水量 500mm 前後の線とほぼ重なり、東が湿潤、西が乾燥に分かれるから
東側は畑作が中心、西側は放牧や、地下水・河川水による灌漑農業が中心になる。
ロッキー山脈の東のふもとに広がる、乾燥した短い草の草原の台地を何というか?
グレートプレーンズ
その東の、より湿潤で丈の長い草の草原はプレーリーと呼ばれ、肥えた土の穀倉地帯になっている。
五大湖は、主に何の働きでできた湖か?
大陸氷河の侵食
氷期に北アメリカ北部を覆った大陸氷河が地面を削り、そのくぼみに水がたまった。
2. 適地適作の農業
根拠: 学習指導要領 地理探究-B-(2)-ア-(ア)
アメリカ合衆国の農業は、広い土地と機械、化学肥料、資本を使う大規模な企業的農業です。
穀物の流通や種子・肥料の供給を担うアグリビジネスの企業、なかでも穀物メジャーが、生産から輸出までに大きな力をもっています。
気候や土壌、市場への距離に合わせて、地域ごとに最も適した作物を集中して作るアメリカ合衆国の農業の特色を何というか?
適地適作
地域ごとに作物が特化するので、小麦地帯・コーンベルト・酪農地帯のような帯状の農業地域ができた。
中西部のコーンベルトで、トウモロコシ・大豆の栽培と肉牛・豚の飼育を組み合わせた混合農業が発達したのは、どのような自然条件があったからか?
夏が高温で雨が多く、プレーリーの肥えた土が広がっていたから
作物を売るだけでなく、家畜の飼料にして肉として出荷する。ヨーロッパの混合農業を移民が持ち込んだ。
五大湖周辺からニューイングランドにかけて酪農が盛んなのはなぜか?
冷涼で氷河に削られたやせた土地が多く、大都市の市場に近いから
穀物栽培には向かないが牧草は育つ。生乳は傷みやすいので、大消費地に近いことが有利になる。
アメリカ合衆国北部やカナダの平原で、秋ではなく春に播く小麦が作られるのはなぜか?
冬の寒さが厳しく、秋に播くと越冬できないから
春に播いて秋に収穫する春小麦という。冬の穏やかなカンザス州などでは秋に播いて初夏に収穫する冬小麦が作られる。
グレートプレーンズで、地下水をくみ上げるセンターピボット方式の灌漑が広がった結果、心配されている問題は何か?
地下水(オガララ帯水層)の水位の低下・枯渇
回転するアームで円形に散水するので、上空から円形の畑が並んで見える。くみ上げる量に補給が追いつかず、将来の水の確保が課題になっている。
3. 工業地域とサンベルト
根拠: 学習指導要領 地理探究-B-(2)-ア-(ア)
工業は、鉄鉱石と石炭に恵まれた北東部・五大湖沿岸から始まり、1970 年代以降は南部・西部のサンベルトへと中心が移りました。
鉄鋼業や自動車工業が衰えた北東部・中西部の旧工業地域は、ラストベルトと呼ばれることもあります。
アメリカ合衆国・メキシコ・カナダは、2020 年に NAFTA に代わる USMCA を発効させ、自由な貿易を続けています。
五大湖沿岸で鉄鋼業が発達したのは、どのような原料と輸送の条件があったからか?
メサビ鉄山の鉄鉱石とアパラチア炭田の石炭を、五大湖の水運などで結び付けられたから
ピッツバーグやシカゴ、デトロイトなど、鉄鋼業や自動車工業の都市が並んだ。
アメリカ合衆国のサンベルトで、1970 年代以降に伸びた工業は主にどのような分野か?
航空宇宙・電子などの先端技術産業
サンベルトは北緯およそ 37 度より南の、日差しの多い温暖な地域という意味の呼び名。メキシコ湾岸では石油化学工業も発達した。
工業の中心が北東部からサンベルトへ移ったのはなぜか?
温暖で、土地と労働力が安く、州による企業の誘致や石油資源にも恵まれたから
労働組合の力が強く賃金の高い北東部より、工場を建てやすい条件がそろっていた。
サンフランシスコの南郊のシリコンバレーに、半導体や ICT 産業の企業が集積したのはなぜか?
大学などの研究機関と、新しい企業に資金を出す投資家が近くにあったから
研究から生まれた技術がすぐに起業に結び付き、企業や人材がさらに集まった。
4. 多民族社会
根拠: 学習指導要領 地理探究-B-(2)-ア-(ア)
アングロアメリカは、先住民の土地にヨーロッパからの移民が入り、アフリカから奴隷として連れてこられた人々、さらにアジアやラテンアメリカからの移民が加わってできた多民族社会です。
アメリカ合衆国で、スペイン語を話すヒスパニックの人々がとくに多く暮らしているのは、どの地域か?
メキシコと接する南西部の州
カリフォルニア州やテキサス州など。メキシコ系が多く、かつてメキシコ領だった地域も含まれる。
アメリカ合衆国でアフリカ系の人々が南部に多く暮らしているのはなぜか?
かつて綿花などのプランテーションの労働力として、奴隷として連れてこられたから
20 世紀には仕事を求めて北部の工業都市へ移る人も増えた。
カナダのケベック州で、フランス語を話す住民が多数を占めているのはなぜか?
フランスの植民地として開拓された地域だから
のちにイギリス領となったが、フランス語とカトリックの文化が受け継がれた。カナダは英語とフランス語を公用語とし、さまざまな民族の文化を尊重する多文化主義の政策をとっている。
移民が元の文化を溶かして 1 つになる「るつぼ」に対して、それぞれの文化を保ったまま共存する社会をたとえた言葉は何か?
サラダボウル
サラダの野菜がそれぞれの味を保ったまま 1 つの料理になる様子にたとえた。