ラテンアメリカ
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「地理探究」B (2) ア (ア) の「諸地域に見られる地域的特色や地球的課題などについて理解すること」。
このノートは、メキシコ以南のアメリカ大陸とカリブ海の島々の地域的特色を、自然と高度による土地利用、大土地所有と農業、資源と工業化、民族構成の順に扱います。アマゾンの熱帯林の減少は、この地域に現れた地球的課題の代表的な例です。
0. 何を押さえるか
赤道付近のアンデス山脈では、同じ場所でも標高によって気温が変わり、高さごとに土地の使い方が分かれます。
| 高さ(下から) | 気温 | 主な土地利用 |
|---|---|---|
| 低地 | 高温 | バナナ・さとうきび・カカオ |
| 山腹の中ほど | 温暖 | コーヒー、トウモロコシ |
| 高地 | 冷涼 | じゃがいも、高山都市 |
| さらに高い草地 | 寒冷 | リャマ・アルパカの放牧 |
資源や農産物の生産量・輸出量の順位は毎年変わるので、このノートでは扱いません。
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 大土地所有の呼び名は国で違う。ブラジルはファゼンダ、アルゼンチンはエスタンシア、メキシコなどスペイン語圏はアシエンダ
- ブラジルだけポルトガル語。ほかの多くの国はスペイン語が公用語
- 輸入代替型と輸出指向型。輸入品を国内で作る工業化から、外国企業を誘って輸出品を作る工業化へ移った
1. 自然と高度による土地利用
根拠: 学習指導要領 地理探究-B-(2)-ア-(ア)
南アメリカの西の縁には新期造山帯のアンデス山脈が連なり、東には安定陸塊の高原とアマゾン川の大平原が広がります。
アマゾン川流域の熱帯雨林(セルバ)は、道路の建設や牧場・農地の開発で減少が続いています。
アンデス山脈の高地で、じゃがいも畑よりさらに高い草地で行われる牧畜は何か?
リャマ・アルパカの放牧
標高が上がるほど気温が下がるので、低地から高地へ、熱帯の作物→コーヒー→じゃがいも→放牧と土地利用が変わる。
ボリビアのラパスやエクアドルのキトのように、赤道付近で標高の高い土地に大きな都市が発達したのはなぜか?
高地は低地より涼しく、一年中過ごしやすいから
赤道付近の低地は高温多湿だが、標高の高い土地は年中春のような気候になる。こうした都市を高山都市という。
アルゼンチンのラプラタ川流域に広がる、小麦・トウモロコシの栽培や牧牛が盛んな温帯の草原を何というか?
パンパ
東の湿潤な地域は穀物栽培と牧牛、西の乾燥した地域は牧羊が中心になる。
チリ北部の海岸に、雨がほとんど降らないアタカマ砂漠ができるのはなぜか?
沖を流れる寒流のペルー海流が大気を冷やし、上昇気流が起きにくいから
下の空気が冷やされて大気が安定するので雲が発達しない。寒流の影響でできる海岸砂漠の例。
2. 大土地所有と農業
根拠: 学習指導要領 地理探究-B-(2)-ア-(ア)
スペインとポルトガルの植民地支配のもとで、少数の地主が広い土地を所有し、多くの農民が土地をもたないまま働く大土地所有制が生まれました。
この仕組みは独立後も残り、農地改革が進まないことが、農村の貧困や都市への人口流出の背景になってきました。
ブラジルで、コーヒーの栽培などを行ってきた大農園を何と呼ぶか?
ファゼンダ
ポルトガル語の呼び名。大地主の土地で、多くの労働者が雇われて働いた。
メキシコなどスペイン語圏のラテンアメリカで、大土地所有制による大農園を何と呼ぶか?
アシエンダ
アルゼンチンではエスタンシア、ブラジルではファゼンダと呼ぶ。パンパのエスタンシアでは、冷凍船の実用化でヨーロッパへ牛肉を輸出できるようになり、大規模な牧畜が発達した。
ラテンアメリカで大土地所有制が残ったことは、どのような問題につながったか?
土地をもたない農民が多く、農村の貧困や都市への人口流出が起きた
都市へ出ても職が足りず、郊外にスラムが広がる原因の 1 つになった。
ブラジル中西部のセラードを大豆の大産地に変えた、土壌の改良とはどのようなものか?
酸性の強いやせた土に石灰をまいて中和し、肥料を加えたこと
セラードは低木がまばらに生える熱帯の草原。大規模な畑作地帯になった一方で、自然の植生が失われている。
3. 資源と工業化
根拠: 学習指導要領 地理探究-B-(2)-ア-(ア)
ラテンアメリカは、チリの銅、ブラジルのカラジャスなどの鉄鉱石、ベネズエラの原油など、豊かな鉱産資源をもちます。
工業化は、輸入していた製品を国内で作ることから始まり、やがて外国の資本を受け入れて輸出向けの生産を伸ばす方向へ転換しました。
アンデス山脈の鉱山から産出し、チリの輸出を長く支えてきた鉱産資源は何か?
銅
新期造山帯のアンデス山脈には銅の鉱床が多い。輸出が銅に偏るので、価格の変動が経済を大きく揺さぶる。
それまで輸入していた工業製品を、関税などで保護しながら国内で作れるようにする工業化を何というか?
輸入代替型工業化
ブラジルやメキシコなどが進めたが、国内市場が小さく効率が上がらなかったため、のちに輸出指向型へ転換した。
メキシコがアメリカ合衆国との国境付近に設けた、輸入した部品を関税なしで組み立て、製品を輸出する工場の制度を何というか?
マキラドーラ
安い労働力を求めるアメリカ合衆国などの企業が進出した。輸出指向型の工業化の例。
ブラジルで、さとうきびから作られ自動車の燃料に使われている燃料は何か?
バイオエタノール
植物由来で、燃やしても大気中の二酸化炭素を増やしにくいとされる。一方で、燃料用の畑が食料生産や森林と土地を奪い合う問題もある。
4. 民族構成
根拠: 学習指導要領 地理探究-B-(2)-ア-(ア)
先住民(インディオ)、スペイン・ポルトガルなどから来たヨーロッパ系、奴隷として連れてこられたアフリカ系、その混血の人々、さらにアジアからの移民が暮らし、国ごとに構成が大きく違います。
アンデスの国々には先住民が、カリブ海の島々にはアフリカ系が、アルゼンチンやウルグアイにはヨーロッパ系が多く暮らしています。ブラジルには日系の人々も多く暮らします。
ラテンアメリカで、先住民とヨーロッパ系の白人との混血の人々を何と呼ぶか?
メスチーソ
メキシコやアンデスの国々などに多い。アフリカ系と白人の混血の人々はムラートと呼ばれる。
ラテンアメリカの多くの国がスペイン語を公用語とするなかで、ブラジルの公用語は何か?
ポルトガル語
ブラジルはポルトガルの植民地だったため。ほかの多くの国はスペインの植民地だった。
アルゼンチンやウルグアイで、住民の多くをヨーロッパ系が占めるのはなぜか?
先住民が少なく、温帯の草原にヨーロッパから多くの移民が入植したから
ヨーロッパに似た温帯の気候で、牧畜や小麦栽培の働き手としてスペインやイタリアなどから移民が渡った。